失業率は5%の大台に突入。四半期のGDPはマイナス成長。株価は1万円前後を行ったり来たり。蟻地獄のように出口の見えないデフレスパイラル。
この未曾有の平成大不況を生き残るために、各企業が、TOEICを採用に、昇進にどのように活用しているのか、業界別に取り上げてみたい。第一回目は、航空業界(ANA・JAS)にスポットを当てて、企業とTOEICの現状についてみてみたい。
まずは、相変わらず根強い人気を誇るを誇るANAとTOEICの関係から見てみよう。
ANAの場合、新卒採用にあたりTOEICのスコアが直接合否に影響することはない。だが、人事部の話では、総合職で700点、客室乗務員や特定地上職(空港でのカウンター業務等)で600点くらいの英語力は欲しいとのことだ。
入社に備えて、また、面接でのセールスポイントにするためにも、就職シーズンの前に、最低でも希望職種が求めているスコアを獲得しておく必要があろう。
入社後のスコアの目安は600点。厳格な運用はしていないとのことだが、管理職の応募要項には600点と記されている。国際業務を担当するグローバルビジネス要員にエントリーするには、600点の獲得が義務づけられる。
国際業務に必要とされるスコアは730点と830点の二種類。海外駐在員に必要とされるのが前者の730点。スターアライアンスの業務に必要なスコアが後者の830点となっている。海外で支障なく仕事ができる英語力が求められているのだから、当然のことながら条件が厳しくなる。
ただ、ANAの場合、会社として年に二回のTOEICを行っているが、強制ではない。ただし、スコアの方は人事の方に管理され、業務に反映される。
ANAのスタンスとしては、TOEICのスコアは個人が携わることのできる業務の範囲を拡大できるといった意味合いが強そうな感じがする。
JASの場合はどうだろうか。
入社試験の英語は会社側で作るオリジナルの問題で、採用の可否にはTOEICは影響しない。しかし、内定者には英語力を見るためにTOEICを受けることになっている。総合職組では、700点くらいの英語力を一応の基準にしている。
採用後の試験とは言え、いやむしろ採用後の試験だからこそ、700という基準点を最低限クリアする学力を身につけることが、入社後のことを考えると必要となる。
入社後は、路線の関係上、会社としてTOEICの試験を課すようなことはないが、業務内容に応じて、各自勉強することが求められる。会社がTOEICを受けることを強制しないのは、社員を本当のビジネスマンとして見ていることの表れであろう。
最後に、クローズアップ記事を書くにあたり快く協力してくださったANAならびJASの広報室、人事部のみなさまに心からお礼を申し上げたい。
ANA http://www.ana.co.jp/
JAS http://www.jas.co.jp/