今回は、60歳代の「おひとりさま」の貯蓄がどのくらいあるのかみてみましょう。
60歳代おひとりさまの貯蓄額の平均や中央値はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」によると、60歳代のおひとりさまの貯蓄額は以下のとおりです。●60歳代おひとりさまの金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
調査対象は「423世帯」
・金融資産非保有:33.3%
・100万円未満:8.5%
・100万~200万円未満:4.7%
・200万~300万円未満:2.8%
・300万~400万円未満:4.3%
・400万~500万円未満:2.4%
・500万~700万円未満:3.5%
・700万~1000万円未満:2.8%
・1000万~1500万円未満:6.6%
・1500万~2000万円未満:4.5%
・2000万~3000万円未満:8.0%
・3000万円以上:15.1%
・無回答:3.3%
上記のデータにおける60歳代おひとりさまの貯蓄額の平均値は1468万円、中央値は210万円です。
平均の貯蓄額が「1468万円」と大きい数値ですが、上記のデータのうち貯蓄額が突出している「2000万~3000万円未満:8.0%」や「3000万円以上:15.1%」が大きく影響していると考えられます。そのため、実態をみるときは、値の小さい順、もしくは大きい順に並べた真ん中にある値である「中央値」の方が参考になります。つまり、60歳代おひとりさまの貯蓄額の目安は、中央値の210万円といえます。
なお、この調査における「金融資産」とは「運用または将来の備えとしての資産」のことで、日常的に使う預貯金等は含まれません。ちなみに「金融資産非保有」と答えた方の中で、銀行口座を持っていて、かつ、預貯金の額を回答した世帯のみの平均預貯金額は「280万円」です。
60歳代は「貯蓄が少ない……」場合でも諦めない!
これらの結果をみて「私の貯蓄額はだいたい中央値ぐらい」という方もいれば「私、少ない……」という方もいるでしょう。今になって「もっと、若いうちから貯蓄しておけばよかった……」と後悔する方もいるかもしれません。実際、蓄えは多い方が安心ですが、使ってしまったお金を悔やんでも増えるわけではありません。それよりも、これからの老後をどのように過ごすのかを考えましょう。その際、「働けるうちはしっかり働く」という選択はベターといえるでしょう。
というのも、厚生労働省は高齢者の雇用を推し進めるため、60歳未満の定年の禁止と、65歳までの定年制の廃止、定年の引上げ、継続雇用制度のいずれかの導入を企業に義務づけています(高年齢者雇用確保措置)。
厚生労働省の「2022(令和4)年「高年齢者雇用状況等報告」集計結果」によれば、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は235,620社(99.9%)であり、このうちの約7割が「継続雇用制度の導入」を実施しています。
さらに、業務委託や創業支援も含めた70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は65,782社(27.9%)、70歳以上まで働ける制度のある企業は92,118社(39.1%)となっています。
たとえ60歳代時点での貯蓄が少なくても、働けるだけ働いて収入を得ることは可能です。働きながら、70歳代、80歳代に向けたお金の計画を立てましょう。固定費を削減したり、毎月一定額を貯蓄したり、できることから始めていけば、将来は変わるはずです。