失言のデメリット
悪意はなくとも、失言をすると、個人や組織の信頼性を損なってしまう可能性があります。特に公の立場にある人物の失言は、その人物だけでなく、関連する組織の評判にも悪影響を与え、場合によっては辞職に追い込まれることもあります。公的立場でない人でも、職場での失言は、昇進の機会に影響することもありますし、なにより人間関係に亀裂を生じさせてしまうのは大きな痛手です。
皆さんの周りにも、余計なひとことで友人、同僚、ビジネスパートナーなどとの関係が悪化させてしまった人がいるのではないでしょうか。このように悪化してしまった関係を修復するのには時間がかかります。
また、人種、性別、宗教などに関する不適切な発言は、社会的な非難や抗議を引き起こす可能性があります。最近では、SNSなどのプラットフォームで迅速に拡散されてしまうので、予想しない大きな問題に発展するリスクも高くなっています。失言が名誉毀損や差別にあたる場合、法的な責任を問われることもあると考えておいた方がいいでしょう。
これらのデメリットを避けるためには、公私にかかわらず配慮ある発言が大切になります。どんな点に気をつけたらいいか確認しておきましょう。
失言を減らすためにチェックしたい5つのポイント
「この言い方は大丈夫かな」と迷ったときには、発言の前に以下のポイントをチェックしてみてください。失言が多い人は、たいていチェックする間もなく発言してしまうわけですが、知っておくのと知らないのでは大きな差になります。(1)思慮深く話せているか
言葉を発する前に、その内容と影響を考える。急いで話すのではなく、言葉に重みを持たせる。
(2)聞き手を考慮に入れているか
聞く人の感情や立場を理解し、それに合わせた言葉選びをする。
(3)多様性を尊重しているか
性別、人種、文化などに関する偏見を持っているように聞こえないか確認し、尊重のある言葉遣いを心がける。
(4)プライバシーを守れているか
他人のプライバシーに関わる話題に踏み込む前に、その情報を共有することが適切かどうかを考える。
(5)批判的な発言になっていないか
他人の選択や意見を否定するような発言は、アドバイスであっても関係を傷つける原因になるので避ける。
スピーチなどの際には、話す前にこのチェックポイントを見直してください。ほんの少し意識するだけでも失言を減らせるはずです。
うっかり失言をしてしまったときには
川勝知事は、過去に「御殿場にはコシヒカリしかない」という発言をして、謝罪をしています。それにもかかわらず、今回もまた失言をしてしまいました。あろうことか会見では、問題発言のように受け取られたのはメディアの切り取り報道のせいだと言ってしまい、インパクトを残しました(実際には切り取りではなく全文が掲載されていました)。
うっかり失言をしてしまったときには、速やかに謝罪するのが大切です。筆者の研究テーマは謝罪と許しです。どのように謝ればいいのか。ポイントとタイプ別のヒントについてまとめた記事も参考になさってください。
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