「警察庁」は、内閣総理大臣の所轄下にある国家公安委員会が管理し、トップは警察庁長官です。地方機関として全国に6つの管区警察局と2つの警察情報通信部があり、47都道府県警察を指揮監督します。また、付属機関に、皇宮警察本部、科学警察研究所、警察大学校があります。
「警察本部」は都道府県知事の所轄のもと、都道府県公安委員会が管理します。北海道警察本部は北海道警、神奈川県警察本部は神奈川県警、京都府警察本部は京都府警などの略称で呼ばれ、トップは警察本部長です。ただし、東京都の警察本部は「警視庁」、トップは警視総監、庁舎は東京都千代田区霞が関2丁目、警察庁の隣にあります。
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都道府県警察の職員数は警察庁の約37倍
警察庁「令5年版 警察白書」によると、令和5年4月1日現在の警察職員の定員は警察庁が約8000人、都道府県警察は約29万人です。都道府県の警察職員数は警察庁の約37倍です。●警察庁:8026人
(警察官2291人、皇宮護衛官882人、一般職員4853人)
●都道府県警察:28万8276人
(地方警務官631人、地方警察官25万9171人、一般職員2万8474人)
(注)地方警務官は警視正より上の階級の人で国家公務員扱い(後述の「「巡査から警視総監前9つの階級がある」をご参照ください)。
出所:警察庁「令和5年版 警察白書」(PDF)
巡査から警視総監まで9つの階級がある
警察官になるには、国家公務員コースと地方公務員コースがあります。多くは地方公務員コースで都道府県に警察官として採用され、昇任試験を受けながら9つの階級を上っていきます。スタートは巡査、次に巡査部長→警部補→警部→警視と進み、トップは警察本部長(警視総監)です。巡査から警視までは地方公務員(以降「地方警察職員」)ですが、警視正になると一般職国家公務員(以降「地方警務官」)になります。国家公務員1種・2種試験に合格した人は巡査部長や警部補からスタートしますが、階級に関係なく国家公務員扱いです。
●警察官の階級
巡査→(階級外 巡査長)→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監→警察本部長(警視総監)
※太字は国家公務員
※巡査長は、巡査のうち勤務成績が優秀で実務経験が豊富な人に与えられる称号で階級にはない。警察庁のトップである警察庁長官も階級外
都道府県の警察官の定年退職手当は平均約2199万円
令和3年の都道府県警察官の離職者数は9279人で、定年退職が4834人(退職者の52%)。次いで普通退職(例えば自己都合退職)が3833人(同41%)、勧奨退職が380人(同4%)です(総務省「令和3年度地方公務員の退職状況等調査」より)。では、総務省「令和4年 給与・定員等の調査結果等」から、警察職で、60歳定年退職者の退職手当支給額トップ5の自治体をご紹介します。
1位:東京都/2292.7万円(東京都/2309.1万円)
2位:静岡県/2282.5万円(神奈川県/2273.2万円)
3位:福島県/2270.4万円(滋賀県/2265.9万円)
4位:神奈川県/2269.3万円(静岡県/2265.0万円)
5位:島根県/2251.3万円(愛知県/2248.2万円)
※平均額は2198.9万円(2196.6万円)
※支給最低額は1990.5万円(1975.2万円)
※支給平均額を上回っているのは47都道府県中26都府県
※( )内は前年
出所:総務省
「令和3年度地方公務員の退職状況等調査」
「(令和4年地方公務員)給与・定員等の調査結果等」
令和5年4月1日現在、地方警察官は25万9171人で、都道府県警察のほぼ90%を占めています(警察庁「令5年版 警察白書」より)。地方警察官の階級は巡査~警視です。階級を職名で表わすと、巡査と巡査長は係員、巡査部長は主任、警部補は係長、警部が本部の次席・課長補佐等/警察署の課長等、警視は本部の課長・次長当/警察署長・副所長等です(京都府警察「京都府警察の仕組み」より)。職名から考えると、都道府県警察職の定年退職手当の平均約2199万円は、私たちの身近な警察官の平均的な額と考えていいのではないでしょうか。
出所:
警察庁「令和5年版 警察白書」(PDF)
京都府警察「京都府警察の仕組み」