「自分がイメージする顔」と「他人から見た自分の顔」は違う
自分ではごく普通にしているつもりなのに、相手にネガティブに受け取られてしまって、傷ついたり悩んだりしている人は少なくありません。これは、「脳内でイメージしている自分の顔」と、実際に「他人から見えている自分の顔」の違いから生じるコミュニケーションギャップです。たいていの人は、鏡に向かってポーズをとるように、いつでもどこでも表情をつくることなどできません。できたとしても、そのままずっとキープすることは難しいでしょう。
不意打ち写真に写り込んだ自分に愕然としたことはありませんか? あるいは、スマホ画面やショーウィンドウに映る自分の顔がふと目に入って、ゾッとしたことはありませんか?
頬や口角が下がっているとか、眉間にシワが寄っているとか、口がひん曲がって不機嫌そうな雰囲気だとか、どれも普段鏡でチェックしている自分とはまるでかけ離れた表情……。残酷なことに、それが「他人から見た普段のあなた」にほかなりません。それほど、自分と他人では「顔の見え方」が違うのです。
不機嫌顔の原因は「顔の運動不足」
脳内でイメージしている自分の表情と、実際の表情にギャップが生まれる原因の一つに、「顔の運動不足」が挙げられます。目や口を動かす表情筋も筋肉なので使わないと衰えてしまい、自分のイメージに顔の動きがついていかなくなるのです。学生時代に取り組んでいた競技に数年ぶりにトライしても、当時のように体が動かないのと同じこと。特に40代以降の方は要注意です。
加齢とともに筋肉や肌の弾力が衰えると、顔立ちがのっぺりと平面的になり喜怒哀楽が表に出づらくなります。つまり、年齢を重ねるごとに愛想のない雰囲気になってしまいがちなのです。
自分としては普段通りでいるつもりなのに、「怖い人」や「不機嫌な人」に見られて損をしてしまうこともあります。
でも安心してください。
それはあなたの顔立ちや性格のせいではなく、単に顔の運動不足によって動かし方がわからなくなってしまっているだけ。
ですから、表情筋の運動不足を解消して顔がスムーズに動くようになれば、見た目の印象から生じるコミュニケーションギャップも解消されて、人間関係もスムーズになっていきますよ。
マスクを外した「直後」に実践したい準備体操
表情筋の衰えによって、表情が乏しくなっている人にぜひやっていただきたいエクササイズが「しゅーおーはーへー体操」です。これは、いわば顔の準備体操。朝起きた直後に全力疾走ができないように、顔も急には動きません。表情をつくる際にも、準備体操が肝心なのです。
最近は、花粉症対策でマスクの装着時間が増えている人も多いはず。マスクをつけていると、表情筋が動かしづらく、顔が停滞しがちになります。
マスクを外した直後にこの「しゅーおーはーへー体操」を行うと、顔が動かしやすくなるだけでなく、血行やリンパの流れが促進されて、顔も気持ちもスッキリするのでおすすめです。
【実践編:しゅーおーはーへー体操】
1. 左右の口角を寄せて唇をすぼめ、「しゅー」と息を吐き出す。 2. 口はすぼめたまま、「おー」と鼻の下を伸ばす。ほうれい線をしっかり伸ばすイメージで。 3. 目をぱっちり開きながら「はー」と頬を持ち上げ、上の歯を8本見せて笑う。 4. 鼻から息を吸い、舌を下に出しながら「へー」と息を吐く。 この4ステップを3~5回、心地よい疲れを感じる程度に繰り返すだけOKです。
しっかり準備体操をすることで表情力の“スイッチ”が入りやすくなり、すぐに「愛想のいい顔」がつくれるようになります。