今回は、高齢者が「過去1年間の大きな支出項目」と感じた項目をみて、高齢者の暮らしぶりをイメージしてみましょう。
高齢者が感じる「過去1年間の大きな支出項目」の1位は「食費(59.4%)」
内閣府が発表した「2019年(令和元年)度 高齢者の経済生活に関する調査結果」の中で、「過去1年間の大きな支出項目(複数回答)」を尋ねたところ、以下のような結果となりました。調査の対象になった高齢者は、全国の60歳以上(平成31年1月1日現在)の男女(施設入所者は除く)です。 【過去1年間の大きな支出項目】
・1位:食費(59.4%)
・2位:光熱水道費(33.1%)
・2位:保健・医療関係の費用(33.1%)
・4位:交通費、自動車維持費等の費用(25.7%)
・5位:趣味やレジャーの費用(19.1%)
高齢者が感じる「過去1年間の大きな支出項目」の1位が「食費」、2位が「光熱水道費」や「保健・医療関係の費用」と、生活するのに欠かせない費目が上位に挙がっています。
中でも、食費の割合は約6割を占めています。多くの高齢者にとって、食費は家計の中でもっとも負担が大きいと感じていることがわかります。
ご参考として、総務省が行う家計調査で世帯主の年齢が65歳以上となる総世帯の2022・2023年の食費の平均金額を確認してみましょう。
・2022年の1カ月あたりの食費の平均金額:5万9984円(エンゲル係数28.3%)
・2023年の1カ月あたりの食費の平均金額:6万3876円(エンゲル係数29.2%)
参照:「家計調査 65歳以上の総世帯の2022年・2023年」
エンゲル係数は「食費÷消費支出×100」で求められます。家計費から税金などを除いた生活費を消費支出といいます。消費支出のうち、食費の割合が高いとエンゲル係数が高くなり、割合が低いとエンゲル係数は低くなります。
つまり、エンゲル係数が高い場合、支出の中の食費が高く娯楽やその他消費に使うお金の余裕がなく、生活水準が低いことを意味します。
上記の場合であれば、生活費の約3割が食費ということになり、最近の食品の価格上昇も大きく影響していると言えるでしょう。
食費を節約するポイント3つ
食品の価格の上昇が家計の負担となっていることは事実ですが、こんな時こそ、普段の何気ない習慣を少し見直すだけで節約につながることがあります。ここでは、食費を節約するポイントを3つご紹介します。
●食費を節約するポイント1:予算を決める
たとえば、食費の予算をエンゲル係数を25%ぐらいに抑えたいと思えば、相応の月額予算を決めて、さらに週予算へ落とし込みましょう。予算を決めると、優先順位の高いものから選ぶ癖がつき、必要なものだけ買う習慣がつきます。
●食費を節約するポイント2:まとめ買いで無駄をなくす
買い物に行く頻度は、週1~2回ほどに抑えましょう。買い物頻度が少ないと、1回あたりの荷物の量も限定的になり、無駄なものを買わなくなります。
その際も、あらかじめ必要な食材をメモしておくと、さらに、安いからという理由だけで不必要なものまで購入してしまうこともなく、余計な買い物をすることがなくなります。
●食費を節約するポイント3:家庭菜園を作って自給自足
家庭菜園は、作る労力や材料費で高くつくのでは?と思うかもしれません。確かに最初は、道具をそろえなければならないですし、それ以外でも水やりなどが手間と感じることもあります。しかし、一度道具をそろえてしまえば、再利用できるものも多いですし、たくさん野菜がつくることができれば「コスパが良い!」と感じることも多くなるのではないでしょうか。
小松菜やホウレンソウ、ルッコラやクレソンなどは、種と土とプランター、ジョウロなど最低限の材料で簡単に栽培できます。栽培方法は、ネットや書籍で調べたり、ホームセンターの方に聞いたりすれば、誰でも問題なく取り掛かれます。
定年後の趣味の準備と、実益を兼ねてチャレンジしてみてはどうでしょう。最初は、1種類から始めて、慣れたら2~3種類と徐々に増やしていくと負担にならないでしょう。