憧れの俳優は田中裕子さん
――憧れの俳優はいらっしゃいますか? 理由も含めて教えてください。土屋:田中裕子さんです。『まれ』でご一緒できたことは本当に貴重な、宝物のような体験です。理由はもちろん、演技です。
裕子さんは演じていらっしゃるときの目が本当に素晴らしくて。ご一緒する前に、映画や舞台のDVDで演技を拝見して「すごい!」と感じていましたが、実際に裕子さんの視線を自分の目で受け止めたときは感動しましたし、「なるほど、こういうことか……!」と納得もしました。少しでも近づきたいと願いながら頑張っています。 ――俳優として今後はどのような活動を考えていらっしゃいますか? 10年先、こうありたいという理想や目標があったら教えてください。
土屋:俳優の仕事である演技は、基本的に「現実の真似」です。常に「現実を超えることができない」というコンプレックスはあるのですが、演技だからこそ表現できることもありますし、その表現にメッセージを込めることも今の時代は自由です。
しかし、いつか時代が変われば、メッセージを自由に込めることができなくなってしまうかもしれません。子どもの頃に『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)を初めて見たとき、最初は楽しく笑いながら見ていたのに、途中から雰囲気が変わって、子ども心に「政治が芸術に与える影響」を痛感したことを覚えています。
でも今の時代は、幸いなことに表現が自由なので、自分が携わった作品を通して、大切だと思うことを込め続けていきたいなと思います。そうやって参加していく作品のうち、1つでも、1場面でも、遠い未来の誰かの心に触れて、少しでも元気や勇気を与えることができたらうれしいです。
――メッセージに希望があって素敵です!
土屋:そんな思いを胸に、10年先もまずは俳優として演技を続けていたいと思います。続けることって本当に難しいと思うので。その上で、できることなら少しずつでも自分より若い人たちの役に立ちたいです。指導というとおこがましいですけど、取り組めたらと思っています。
土屋太鳳(つちや・たお)さんのプロフィール
1995年2月3日生まれ。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス審査員特別賞を受賞し、2008年に映画『トウキョウソナタ』で女優デビュー。2015年上半期連続テレビ小説『まれ』(NHK)でヒロインを務め、第40回エランドール賞新人賞を受賞。最近の主な作品は、映画『哀愁しんでれら』(主演/2021)『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』(2021)『大怪獣のあとしまつ』(2022)、ドラマ『やんごとなき一族』(主演/2022年4月期フジテレビ)『警部補ダイマジン』(2023年7月期テレビ朝日)、Netflix『今際の国のアリス』(山崎(※)賢人とW主演/Season1:2020年12月、Season2:2022年12月、Season3:配信予定日未定)など。※「崎」は正式には「たつさき」
映画『マッチング』2024年2月23日公開
ウェディングプランナーの輪花(土屋太鳳)は、恋愛に奥手だったため、同僚に勧められてマッチングアプリの会員に登録。吐夢(佐久間大介)とデートをすることになったのだが、実際に現れた吐夢は暗く、輪花はがっかりしてしまう。一方、吐夢は輪花に執着してストーカー化してしまう……。監督・脚本:内田英治
出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、後藤剛範、真飛聖、片山萌美、杉本哲太、斉藤由貴、片岡礼子
構成・文:斎藤香