今回は、医療費控除を受けるための条件、対象になるスポーツ施設、医療費控除を申請する際の必要書類などをご紹介します。
所得控除の1つである「医療費控除」はどんな制度?
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までに支払った自分と同一生計の家族に支払った医療費が一定額を超えるときに適用される所得控除のことです。医療費控除を受ければ、所得税や住民税を安くすることができます。医療費控除の対象になる金額は「実際に支払った医療費の合計額-保険から支給された給付金-10万円」で計算できます(医療費控除の上限は200万円まで)。
医療費控除で医療費の対象になるものは、病気の治療費、通院にかかる交通費、薬代、あん摩マッサージ、はり、きゅうなどの整体による施術費用など。病気の予防や健康増進のための費用は対象から外れます。そのため、本来であればスポーツジムの利用料は医療費控除の対象外です。
しかし、3つの条件をクリアしていれば、スポーツジムの利用料も医療費控除の対象になります。
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となる3つの条件とは
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象になるのは、以下の3つの条件を満たす必要があります。●スポーツジムの利用料が医療費控除になる条件1:医師から「運動療法処方箋」をもらうこと
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象になるには、医師から「運動療法処方箋」をもらう必要があります。運動療法処方箋とは、病気の治療に必要な運動方法や量、行うタイミングなどが記載された書類です。
●スポーツジムの利用料が医療費控除になる条件2:厚生労働省が指定した健康増進施設を利用すること
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象になるには、「運動療法処方箋」に基づく運動が受けられる「指定運動療法施設」を利用する必要があります。
2024(令和6)年1月時点での指定運動療法施設は、全国に251あります。該当する施設は、厚生労働省のホームページの「運動型健康増進施設(認定施設一覧)」から、確認していただくことができます。
●スポーツジムの利用料が医療費控除になる条件3:週1回以上、8週間以上継続して通うこと
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象になるには、指定運動療法施設での運動を「週1回以上、8週間以上継続して」行う必要があります。
理由は、医師からもらった「運動療法処方箋」に基づく運動を実施することが、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の治療に効果的とされているためです。
医療費控除を受けるには確定申告が必要
スポーツジムに通っている人で、上記の3つの条件を満たしているという方は、医療費控除の対象になります。医療費控除は、年末調整では該当しない所得控除であるため、確定申告が必要になります。確定申告には、「医療費控除の明細書」、指定運動療法施設が発行した「運動施設の利用料金領収書」、医師の証明書である「運動療法実施証明書」の書類の準備が必要です。
制度をうまく利用して、お得に健康維持することを目指しましょう。
参照:国税庁「指定運動療法施設の利用料金に係る医療費控除の取扱いについて」