実際、現役時代に仕事中心に時間を使ってきた方であれば、忙しくて趣味をする時間がなかったかもしれません。また、お金がかかる外出は「たまに」で十分ということであれば、老後は家の中で過ごすことが多くなってしまうでしょう。
シルバー人材センターで働くときの質問や疑問を詳しく聞いてみました
そんな方が「少しでも収入を得たい」「体を動かして健康を維持したい」「地域の方々に喜ばれたい」などを望むなら、地域で見かける「シルバー人材センター」への会員登録を検討してみてはどうでしょう。今回は、シルバー人材センターで働くときの質問や疑問を、公益社団法人富山市シルバー人材センターの松田事務局次長に答えていただきました。
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シルバー人材センターの仕事に関する質問や疑問にお答えします!
――富山市シルバー人材センターには、市内に住んでいない人は入会できますか?松田事務局次長:シルバー人材センターは、おおむね、各市区町村に設置されていますので、それぞれのお住いの地域のセンターに入会していただくことになります。富山市に限らず、他の地域のシルバー人材センターも、設置されている市町村外に住んでいる方は入会できません。
――入会すれば必ず仕事がありますか? また、希望する仕事にだけ就けるのですか?
松田事務局次長:シルバー人材センターは、官公庁や企業、個人など依頼主(発注者)に、広く仕事を募っていますが、受注できる仕事の内容や量は、景気や雇用情勢、季節などに左右されます。入会しても、タイミングによっては仕事があるとは言い切れません。
また、依頼された仕事も、会員登録された方の希望に沿うかといえば、そうでない場合もあります。たとえば、剪定や除草などの屋外の仕事の依頼が多いのですが、事務作業などの屋内でできる仕事を希望される会員が多いです。なるべく、会員の持っている能力や希望にマッチした仕事をご紹介するようにしていますが、必ずと言い切れるわけではありません。
――収入を得る就職先がないので入会したいのですが。
松田事務局次長:シルバー人材センターでは、有料職業紹介事業も行っていますが、請負・委任業務やシルバー派遣事業については、常用雇用ではない点をご理解いただきたいです。
「空いた時間を有効に使う」「生活にメリハリをつけて人と交流する」などの目的を軸に、柔軟(短期間、短時間など)に働きたいという方に適した制度です。
なお2004(平成16)年度から、従来の「請負・委任」の外、依頼先の指揮命令や監督などを受けて就業する「シルバー派遣事業」を行っています。 ――研修などはありますか?
当センターが実施する講習会は、原則、参加無料です。
屋内作業の講習会は「障子・襖張り替え講習」「保育補助スタッフ講習」「介護補助スタッフ講習」「施設清掃スタッフ講習」「家事支援スタッフ講習」などがあります。
一方、屋外作業の講習会は「剪定講習」「雪つり・雪囲い講習」「刈払機作業スタッフ講習(安全講習)」などがあります。
シルバー人材センターのフォローに関する質問や疑問
――働いてケガをすると労災保険から治療費が支払われます。シルバー人材センターの仕事でケガしたときはどうなりますか?松田事務局次長:シルバー人材センターでの仕事の雇用形態は「請負・委任」と「シルバー派遣」があります。労災保険の有無は雇用形態により異なります。
「請負・委任」では、シルバー人材センターと会員、または仕事の依頼主(発注者)と会員の間には雇用関係がないので、労災保険の適用はありません。しかし、シルバー人材センターは、会員が就業中、または就業場所への行き帰りに事故に遭ったときなどを補償する傷害保険に加入しており、治療日数等に応じて支払います。ただし、医療費の支払いについては、会員が加入している各自の国民健康保険等で対応していただきます。
一方、「シルバー派遣」では、派遣契約期間における就業中、または就業場所への行き帰りに事故に遭ったときなどは、労災保険が適用されます。
――もし、会員が仕事中に、依頼主や第三者に損害を与えてしまったときはどうなりますか?
松田事務局次長:たとえば、機械を使った除草中に、石が飛んで「窓ガラスを割ってしまった……」ため、第三者に損害を与えることがあります。そのような万一の場合に備えて、シルバー人材センターは、損害賠償責任保険に加入し補償をしています。
――仕事以外で参加できることはありますか。
松田事務局次長:会員登録された方に長く残ってもらうため、さまざまな楽しい集まりを企画しています。
富山市シルバー人材センターでは、シルバー人材センターの会員が講師をする会員向けの「シルバーワークショップ」の受講について、年1回使える無料券を配布しています。
また、女性の活躍を推進するための女性部会「ひまわり」では、会報誌『ひまわり通信』の発行や、先進地シルバー人材センターの視察研修を企画したりしています。「ひまわり」では、他のシルバー人材センターの女性会員の活動状況を聞くなど、交流を図っています。
さらに、会員互助会「さわやかクラブ」では、パソコンやグラウンドゴルフ、パークゴルフや手芸など、さまざまなクラブ活動を行っています。一泊や日帰り旅行、会員作品展なども企画して、実施しています。