完全栄養食に含まれている「栄養素」って?
そもそも完全栄養食に含まれている「栄養素」とは何なのでしょうか。一般的に、5大栄養素や微量栄養素などが「栄養素」と呼ばれる成分です。栄養素にはエネルギー源となる炭水化物や脂質、体の組織を作るたんぱく質、体の調子を整えるビタミンやミネラルなどがあります。文部科学省によって策定された「日本食品標準成分表(八訂)」に掲載されている成分を指すと考えていいでしょう。
栄養素と混同しやすいものには、ポリフェノールやフィトケミカルなどがあります。しかし、これらの成分は取ると健康に良い作用が期待されるものであり、必ずしも生きていくために必要なものというわけではありません。
これらをまとめると、「栄養素」は生きていくために欠かせない成分であり、食品標準成分表に掲載されているものといえるでしょう。完全栄養食は、1食あたりに必要な「栄養素」全てが含まれている食品とされています。ただし、この言葉は公的に使われることはなく、あくまで俗語であるということを知っておきましょう。
完全栄養食はダイエットにいい?
完全栄養食という言葉からも健康的なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。そして、健康的なものはダイエットにもいいだろうと、置き換えダイエットなどに活用している方もいるかもしれません。代表的な完全栄養食と呼ばれているパンは、1個当たりのエネルギーが約200kcalとなっています。そして、全ての栄養素が1日に必要な量の30%程度含まれているとされています。
ダイエットの基本はカロリー制限と運動のバランスで、摂取カロリーを抑えることもポイントの一つとなります。例えば、1日に必要な摂取エネルギー量が1800kcalの方であれば、1食当たりのエネルギー量は600kcalとなります。1食を完全栄養食のパンに置き換えれば、1食当たり400kcal程度減らすことができるということになります。
置き換えダイエットでは極端にエネルギー量を減らすため、栄養のバランスが偏ったり、不足してしまったりすることがありますが、完全栄養食ではエネルギー量を減らしつつも必要な栄養素を摂取できるというのが魅力です。ダイエットにいい、悪いと断定することはできませんが、栄養素のことだけを考えると試してみる価値はあるといえるでしょう。
完全栄養食ダイエットで気を付けたいことって?
完全栄養食と呼ばれる食品は栄養価が高いことが一番の魅力といえます。しかし、気を付けたい点があることも確かです。●かえって食事の管理がおろそかになってしまう
精神的に安心しすぎてしまって、他の食事の管理がおろそかになってしまうことには気を付けましょう。完全栄養食を食べているからといって、誰もが痩せるわけではありません。他の食事や間食のとり方も見直すことが大切です。
●飽きてしまいやすい
同じものを食べ続けることで、飽きてしまいやすいというリスクもあります。続けられなくなったとき、同じような栄養バランスの食事を自分で管理するのは難しいでしょう。元の食事に戻したときにリバウンドしてしまうかもしれません。
完全栄養食は、エネルギーを抑えながらも栄養価の高い食事ができるという点で魅力的に感じられます。しかし、コストや心理的な依存など、続けていくうちに違った部分で課題が生じる場合があります。「完全栄養食」というキャッチコピーは心に響くものではありますが、言葉やブームに惑わされずに、メリットとデメリットを理解しながらとり入れていくといいでしょう。