マネジメント

小売・飲食業で「スタッフの髪型、ヘアカラー自由化」が相次ぐ。が…“懸念点”がないとは言えないワケ(2ページ目)

髪型・髪色は自由で、ピアスやネイルの装着も可能……近年、小売り、飲食のチェーン店でこうした従業員の就業ドレスコードを緩和する動きが目立っています。企業が服装ルールの制限を緩和する狙いや懸念点について、企業コンサルの筆者が解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

企業が就業ドレスコードを緩和する理由

髪色・髪型を自由化し、ネイルやピアスも装着可能となったベルク

髪色・髪型を自由化し、ネイルやピアスも装着可能となったベルク

さて、これら就業ドレスコード緩和の理由ですが、先のベルクが「ダイバーシティ推進の観点」をあげています。ダイバーシティ(diversity)の直訳は「多様性」ですが、組織やグループなどで多様な人材を登用し、それぞれが持つ個性や能力を生かすことで組織の競争力を高めよう、という考え方です。近年、性差別撲滅を目指す“ジェンダー平等”や年齢による世代間差別“エイジズム軽減”などが、世界的に叫ばれる中で、国際化が進む日本企業も世界水準での人事管理が必要になってきたことの現われと言えます。

もう1つ、今回の一連の企業の動きの背景に、人手不足が深刻化する中での「人材の確保」という狙いが大きく存在していることも否めないでしょう。中でも少子化による若年労働層の減少は、彼らを主力労働力とする小売業や飲食業にとって深刻な問題です。さらに人材確保の観点からはもう1つ、労働力不足を補う外国人労働力の活用を考えて、彼らの風習や生活スタイルを受け入れられる制度を整備する、という狙いも同時にありそうです。

この小売業、飲食業における就業ドレスコードの緩和策、企業にもスタッフにもいいことずくめのように思えますが、企業側には懸念点がないわけではありません。

>次ページ:就業ドレスコード緩和の根底にある「大きな課題」
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