今の時間を充実させつつ、先々のことを考え「本腰を入れて貯蓄する」ことも始めましょう。今回は、40歳代のシングルの平均貯蓄額をチェックした上で、老後資金を増やす方法を紹介します。
40歳代おひとりさまの平均貯蓄額と中央値はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」によると、40歳代のおひとりさまの貯蓄額は以下のとおりです。●40歳代おひとりさまの金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
対象となるのは「324世帯」
・金融資産非保有:40.4%
・100万円未満:11.1%
・100万~200万円未満:5.2%
・200万~300万円未満:4.0%
・300万~400万円未満:3.7%
・400万~500万円未満:2.5%
・500万~700万円未満:4.6%
・700万~1000万円未満:7.7%
・1000万~1500万円未満:6.2%
・1500万~2000万円未満:2.2%
・2000万~3000万円未満:4.3%
・3000万円以上:4.3%
・無回答:3.7%
なお、上記のデータにおける40歳代おひとりさまの貯蓄額の平均は559万円、中央値は47万円です。
平均の貯蓄額は「559万円」。40歳代時点の貯蓄額としたら、この数字は高いと感じる人も中にはいることでしょう。しかし、平均は、上記のデータのうち貯蓄額が突出している「1000万円以上:17.0%」の人々が引き上げてしまっているのかもしれません。
平均額に比べて、より実態に近いデータとして参考になるのは「中央値」でしょう。「中央値」とは値の小さい順、もしくは大きい順に並べた真ん中にある値です。平均額559万円と中央値47万円には、約500万円もの開きがありますが、これは「金融資産が無い」と答えた人が40.4%もいるためです。「貯蓄額100万円未満」の人も含めると、約半数の人が老後のための貯蓄を準備できていないことがわかります。
40歳代は、お金に余裕ができることもあり、生活スタイルにこだわりを持ったり、旅行に出かけたりなど、アレもコレもしたいと思う時期かもしれません。また「定年までは、まだ20年近くもある」という油断があるのかもしれませんが、そろそろ老後に向けた資金準備が必要といえるでしょう。
なお、この調査における「金融資産」とは「運用または将来の備えとしての資産」のことで、日常的に使う預貯金等は含まれません。ちなみに「金融資産非保有」と答えた方の中で、銀行口座を持っていて、かつ、預貯金の額を回答した世帯のみの平均預貯金額は「266万円」です。
まだ、老後までは20年近くありますが、日常的に使うお金と同じ枠でお金を管理していると「つい、使ってしまった……」ということもあるのではないでしょうか。できるだけ「老後資金」という枠組みを設けて管理した方がよいでしょう。
老後の貯蓄を増やすために40歳代おひとりさまが始めることは?
ここでは、40歳代の単身世帯が、今から老後の貯蓄を増やすためにすべき2ステップをご紹介します。最初のステップとしては、「支出の見直し」です。
収入が多くなるからといって、家計費の枠をその分大きくしてしまわないよう気をつけましょう。そして、家計費の中の固定費である通信費、保険料、住宅費、水道光熱費、サブスク代などを見直しましょう。というのも、固定費は一度見直せば、削減効果が高く、継続性もある費目だからです。
次のステップとしては、預貯金を確保したうえで「資産運用を始める」です。
普通預金や定期預金は、必要な際にいつでも引き出せるという点では良いですが、今のような物価が上がるインフレの状況下であれば、同じ金額で購入できるものが減ります。
ご存じのとおり、普通預金や定期預金の金利は低く、そこで老後資金の準備をしても、思うようには増えないでしょう。それよりは、投資信託や株式投資などの資産運用を始めてみましょう。
仮に、毎月3万円、4万円を20年間投資し、2%・4%複利でそれぞれ運用できた場合の結果は次のとおりです。
【2%複利で20年間の運用を行ったとき】
・毎月3万円(年間36万円)→884万3905円
・毎月4万円(年間48万円)→1179万1873円
【4%複利で20年間の運用を行ったとき】
・毎月3万円(年間36万円)→1100万3239円
・毎月4万円(年間48万円)→1467万985円
ただし、投資をすると資産が目減りしてしまうリスクもあります。そうならないためにも、商品を分散し、長期的に積立てていくようにしましょう。