マネジメント

ジャニーズ事務所の「社名変更」は功を奏するか? 過去には“不祥事イメージ”を払しょくした企業例も(3ページ目)

不祥事に揺れる旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)は二度目の記者会見で「社名を変更する」と発表しました。社名とは、いわば企業の顔であり企業イメージの根幹をなす存在でもあります。一般に、企業はどのようなときに社名変更を行い、どのようなメリットあるいはデメリットがあるのか、見ていきましょう。※サムネイル写真:All About ニュース編集部

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

不祥事からのイメージ転換に成功した会社も

社名変更が企業のイメージアップにつながった過去事例も

社名変更が企業のイメージアップにつながった過去事例も

不祥事からのイメージ転換を狙った社名変更での成功事例を、ひとつ上げておきましょう。

2008年1月に、日本たばこ産業(JT)の食品系子会社JTフーズの冷凍餃子を食べた10人が、重体者を含む重篤な食中毒症状を起こす事件が発生しました。中国の工場内で農薬に類するものが混入された疑いが強いとの結論を得ましたが、事実の公表が遅れて被害が拡大した疑いもあって、同社の企業イメージは著しく傷つきました。

親会社にとっても食品事業は重要な事業分野であり、連日の報道による同社製品の買い控えおよび同社のイメージダウンでの売上激減はグループ業績に与える影響も大きく、企業イメージの早期回復が経営の重要課題になったといいます。

そこで事件のほとぼりが冷めた約半年後、同じJTの子会社加ト吉をJTフーズの親会社にすることで消費者向けにはJTフーズブランドを封印。さらに加ト吉をテーブルマークと社名変更して、JTフーズブランドを、旧社名のイメージを払拭したテーブルマークブランドに刷新したのです。

本件は、実務上は「加ト吉→テーブルマーク」の社名変更でしたが、実質的には「JTフーズ→テーブルマーク」のブランド変更を行ったわけです。その後テーブルマークブランドは、JTフーズのイメージを全く引きずることなく、今や冷凍食品業界における主要ブランドの一角を占める存在として君臨しています。社名変更のタイミング、頃合いの良いネーミングといい、不祥事イメージ払しょくの見事な成功事例だったと言っていいでしょう。

現在、不祥事の影響でさまざまな批判の矢面に立たされている旧ジャニーズ事務所ですが、今回の社名変更を有益なイメージ転換に活用するためには、過去の他社事例などを十分検証した上での慎重な対処が必要であることがよく分かると思います。
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