今回は、介護にかかる平均費用や、介護保険サービスを利用する際の介護サービス利用限度額などとあわせ、公的年金だけで賄えるのか確認してみましょう。
介護にかかる平均費用は総額約600万円・介護年数は平均5年1カ月
公益財団法人 生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度」によれば、介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)の月々の平均は8万3000円です。介護を行った場所別の平均は、施設介護が月12万2000円、在宅介護が月4万8000円となり、施設介護が約2.5倍も多いことがわかります。一方、介護にかかる一時金の平均は74万円。一時金には介護に適した住宅改造費や介護用ベッドの購入費などが含まれています。
この一時金については、詳しい内容を確認できませんが、介護環境を整える際の費用と考えると、施設介護よりも、在宅介護の方がまとまった費用を必要とするのではないでしょうか。
●介護に要した費用 さらに、介護に要した期間の平均は、61.1カ月(5年1カ月)という結果になりました。
●介護期間 介護費用の平均的な総額は「74万円+8万3000円×61.1カ月(5年1カ月)=581万1300円」です。しかし、この数値はあくまでも平均的な総額です。上記の結果より、介護にかかる期間は「4~10年未満が31.5%」「10年以上が17.6%」もあり、介護期間が5年以上に及ぶこともあるでしょう。そうなれば、もっと多くの介護費用がかかる可能性があることも認識しておく必要があります。
介護保険を使った介護サービスの費用負担のしくみ
ここで、介護保険を使った介護サービスの費用負担のしくみを確認しておきましょう。介護サービスは、要介護度は「自立」を含めると8段階あります。在宅で介護サービスを受ける場合、要支援や要介護の認定区分ごとに、利用できる介護サービスの量(支給限度額)が、下記のように定められています。●介護サービス利用限度額
介護サービスを受ける場合、限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担となります。しかし、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
公的年金の範囲で介護ができるか、親の年金額を事前に確認
「もし、親に介護費用が必要になったら?」に対して備えるとすれば、親の年金受給額を確認しておくことも必要です。参考として、厚生労働省の「2021年(令和3年)度厚生年金保険・国民年金事業の概要」によれば、老齢厚生年金の男女含めた平均月額は14万3965円(老齢基礎年金含む)です。年金額は、勤続年数や現役時代の年収などで、個々に異なります。また、もし、老齢基礎年金のみという場合であれば、平均月額は5万4040円(国民年金加入期間25年以上・新規裁定者)です。まずは、親がもらっている正確な公的年金額を前もって確認しておき、その範囲内で、どの程度の介護サービスが受けられるのかシミュレーションしておくようにしましょう。