背に腹は代えられない
もうひとつ、近年のビジネス界のトレンドとして検討の余地大いにありなのは、運送業務の部分的アウトソーシングです。あくまで社員ドライバー中心に運送業務を回しつつも、人手不足対策をアウトソーシングの外部ドライバーで補うというやり方です。近年はあらゆる業務でアウトソーシングを受ける企業が続々誕生しており、運輸業界の本業である輸送の部分でもさまざまな形でアウトソーシングを請け負う企業が存在しているのです。もちろんコストはかかりますが、業務の安全面を考えれば背に腹は代えられないでしょう。
一定の頻度で一部の輸送をアウトソーシングするなり、困ったときのみ緊急ドライバーの派遣を受けてくれる企業と事前契約するなり、やり方はさまざまです。中小企業は、ややもすると余計なコストを払いたくないと何事も自前主義にこだわりがちなのですが、管理やら訓練やら福利厚生やらトータルコストで考えると、アウトソーシングの方が低コストであるなどというケースも間々あります。どのようなやり方で、どのぐらいのコストで、どのような効果が期待できるのか、一度真剣に検討してみる余地は十分にありそうです。
東京商工リサーチの最新の調査によれば、2023年上半期における倒産件数は前年同期比で3割も増えており、その主な原因として物価高とともに人手不足が挙げられています(※2)。運輸業は人手不足産業の最たる業種です。「2024年問題」も控え、中小の運輸業者は転ばぬ先の杖として、なにがしかの対策を早急に考える必要があるのではないでしょうか。北海道のトラック事故から、そんなことを切に思わされた次第です。
参考
※1:HTB北海道ニュース 2023年6月28日
※2:東京商工リサーチ 2023年上半期の全国企業倒産状況