Q:老齢基礎年金のみ受給した場合、住民税非課税のままでいられますか?
「68歳、男性、独身。老齢基礎年金・老齢厚生年金とも繰り下げ中で年間所得金額は45万円以下、住民税は非課税となっています。今回、老齢基礎年金のみの受給を考えております。年間の受給額はおよそ93万円ぐらいで公的年金等控除額の110万円以下なので、住民税非課税のままでいられるでしょうか?」(ネズミ男さん)老齢基礎年金を受給した場合、住民税非課税でいられますか?
A:老齢基礎年金93万円のみの受給であれば、住民税非課税のままでいられるでしょう
住民税が非課税になるかどうかの基準は、都道府県や市区町村によって若干異なるので、仮にここでは東京都にお住まいの場合、ということでお答えします。住民税といっても、所得割と均等割というものがあり、東京都の場合、所得割・均等割とも非課税となるためには以下の4つの要件のいずれかにあてはまっていることが必要です。
その4つとは以下の通りです。
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下の人
- 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方で、たとえば、同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合には合計所得金額が45万円以下の人
ここでいう合計所得金額ですが、質問者「ネズミ男さん」の場合、「老齢基礎年金93万円ぐらい」のみの受給ということなので老齢基礎年金の所得金額がそのまま合計所得金額になる、ということになります。
老齢基礎年金の所得額の算出方法は老齢基礎年金からは公的年金等控除額を差し引いたあとの金額となります。ネズミ男さんの年齢は68歳とのことですから、公的年金等控除額は65歳以上の場合が適用され、最低でも110万円を差し引くことができます。
つまり、
老齢基礎年金93万円―公的年金等控除額110万円
という計算式が成り立つので老齢基礎年金のみの場合で算定した合計所得金額は0円ということになり、上記3の合計所得金額が45万円以下の人、という要件に該当します。したがって住民税非課税ということになります。
なお、今後、「ネズミ男さん」は老齢厚生年金の受給も開始することも想定されますが、その場合、老齢基礎年金も老齢厚生年金も税法上の所得区分は公的年金等にかかる雑所得となりますので、老齢基礎年金と老齢厚生年金の額面を合計した上で公的年金等控除額110万円を差し引いて公的年金等にかかる雑所得としての所得金額をもとめることになります。
もちろん、公的年金以外に所得がなければ、公的年金等にかかる雑所得としての所得金額がそのまま合計所得金額となります。
なお、公的年金等にかかる雑所得の速算表は以下のとおりとなります。老齢厚生年金の受給が開始されて以降の所得はこちらの速算表をあてはめて計算し、「合計所得金額が45万円以下の人」に該当すれば、引き続き、住民税における所得割・均等割とも非課税となるための規定にあてはまることになります。
なお、冒頭で述べたようにこれは東京都の非課税も規定をもとに、解説したものです。「ネズミ男さん」のお住まいの都道府県や市区町村の非課税の規定も同様に存在しますので、その地方自治体の非課税の規定にあてはまるかを、市区町村役場などに確認することをおすすめします。
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