定年・退職のお金

人生100年をワクワク過ごす!高齢者がお金をかけずに心身を強くするには?

2023年5月、新型コロナ感染症が5類感染症に移行しました。コロナ禍の長い自粛生活により虚弱の高齢者が増えています。今こそ人生100年をワクワク過ごすために体力と気力を回復させるときです。体操やウォーキングで体力と筋力をアップしましょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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<目次>

自粛生活で、体や心が弱ってしまった高齢者が増えた?

コロナ禍での自粛生活は、私たちの身体機能と精神機能を低下させました。高齢者の多くは、外出は生活必需品の買い出し程度、サークル活動や友人・知人との会食、冠婚葬祭等は不参加、という日々を過ごしたようです。その結果「フレイルを発症した高齢者が約23%(通常の約1.5倍)に上りました(参考資料:ニッセイ基礎研究所「コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(総括編)」*)。
*コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(総括編)
フレイルは要支援・要介護への入り口です。運動や食事で回復可能!さあ、身体を動かしましょう。

歩くと疲れる、痩せてきた、外出がおっくう、はフレイルのサイン! 屋内でも杖を使って歩きましょう


フレイルとは、加齢により身体的機能と認知機能が低下し、「健康」と「要介護」の中間の「虚弱」の状態を指します。放っておくと要介護や寝たきりにつながります。要支援・要介護になるのは嫌、できればピンピンコロリで生き抜きたい、と考える人は、できるだけ早く体力回復を目指し行動を起こしましょう。まずは、自宅で気軽に参加できる体操をご紹介します。もちろん無料です!
 

ラジオ体操やテレビ体操は優れもの

知らない人はいないというラジオ体操やNHKのテレビ体操は毎日決まった時間に放送されているので参加しやすく、生活のリズムが整うというメリットもあります。

ラジオ体操第1は3分強という短さの中に13種類のパターンの体の動きがあり、「肩こりの改善、呼吸機能の促進、消化器の働きを改善、腰痛の予防が期待できる体操が含まれています(公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット)」。YouTubeであれば、時間に関係なくいつでも楽しくできます。ラジオ体操のほかにも全国の自治体が介護予防のため考案した体操の動画(ご当地体操マップ(厚生労働省))もなかなか楽しめます。
 
でも自宅内だけで事足りる生活をしていると、だんだん外出がおっくうになってきます。これは認知機能の低下につながり、危険です。屋外での活動を少しずつ加えていきましょう。
 
  • 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネットはこちら
  • ラジオ体操第1(NHK)YouTubeはこちら 
  •  NHK「テレビ体操」YouTubeはこちら
  • ご当地体操マップ(厚生労働省)はこちら
 

健康維持には一日5000歩~8000歩

コロナ禍で目立ったのが散歩やウォーキングを楽しんでいる人たちです。どちらも体脂肪燃焼や体質改善、生活習慣病予防に効果的と言われる有酸素運動です。
 
広辞苑には、散歩は「気晴らしや健康のために、ぶらぶら歩くこと」、ウォーキングは「健康増進や運動のために歩くこと」とあります。いずれであっても目標歩数は、寿命延長や健康維持に関する次の2つの研究結果から、5000~8000歩と考えていいようです。これは、掃除や家事、買い物など日常生活の歩数も含みます。
 
(1)「毎日の歩数と死亡との量反応関係を解明」(早稲田大スポーツ科学学術院の渡辺助教授や京都先端科学大学の木村客員研究員らとの共同研究):
高齢者全体の長寿効果は、一日5000歩から7000歩で頭打ちになる。1日当たりの歩数が5000歩未満の高齢者は1000歩増やすことで死亡リスクが23%低下し、フレイルの高齢者は5000歩を超えると死亡リスクが減少する。
 *高齢者の寿命延長に必要な歩数は?
 
(2)中之条研究(東京都健康長寿医療センター研究所):
健康状態を良好に保つためには、歩数が平均して1日8000歩程度で、そのうち速歩き(中強度の活動)が平均して一日に20分程度含まれるのが望ましい。
東京都 健康長寿医療センター「研究所NEWS No,265 2014.11」
 
ウォーキングは思いのほか身体に負担がかかりますので、ウォーミングアップ(*)とクールダウン(*)を必ず行いましょう。また、小牧市の「歩く知恵袋 (「歩数」「速歩き」と「予防(改善)できる病気・病態)」(*)は、ウォーキングの全体像と中之条研究をわかりやすく解説しています。
「ウォーミングアップ(準備体操)」
ウォーキング後のストレッチ!運動の疲労蓄積を防ぐクールダウン
小牧市「歩く知恵袋 (「歩数」「速歩き」と「予防(改善)できる病気・病態)」
 
ウォーキングもいつも同じコースでは飽きるかもしれません。そんな時は、自治体が作成しているウォーキングマップ(コース)を活用してはいかがでしょうか。一人じゃ飽きるんだよね……という人は、次に紹介するグループでの運動はいかがでしょうか。
 

自由参加型の体操で体力アップできる?

小規模のラジオ体操会が各地で開催されています。仲間づくりもできそうです。

だんだん動きがスムーズになった。皆から「元気の気」をもらってるようだ


毎朝近くの運動公園で20人前後の高齢者がラジオ体操をしています。夏休みのラジオ体操の高齢者版で年間通して開催されています。こんなラジオ体操会(*)が近くでも開催されているかもしれません。 
 
全国のラジオ体操実施会場(NPO法人全国ラジオ体操連盟)
 
フレイル傾向の人には、平成14年に高知市が筋力向上を目的に開発した「いきいき百歳体操」(*)がお勧めです。社会福祉協議会が立ち上げ支援をしており、全国の自治会館や公民館、自治会館などで開催されています。詳しくは社会福祉協議会や地域包括センターでご確認ください。
 
いきいき百歳体操(高知市)
 
これら以外にも公民館に登録しているサークルや自治会の老人会などが開催する街歩きの会、ハイキング会、ノルディック・ポール・ウォーク会、JR東日本が主催する「駅からハイキング・ウォーキング」のほかにも、鉄道各社が駅を拠点としたウォーキングイベントなど、気軽に参加できるものがたくさんあります。
 
体力がついてきたら、例えば公民館のフォークダンスやヨガ、健康体操、太極拳など適度な運動量のサークルに参加して、さらにワクワクいきいきの毎日を過ごしましょう。
 

 医療費や介護費の不安を低減できる?

老後の最大の不安は健康です。病気や介護のため日々の生活からゆとりがなくなることは避けたいものです。体操やウォーキング以外に厚生労働省の健康日本21「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」(*)を参考に、日常生活で今より10分多く体を動かし健康維持を図りませんか。それによって、老後の家計にのしかかる医療・介護費用の不安を軽減し、前向きで明るく楽しい日々を過ごすことができるでしょう。
 
アクティブガイド(厚生労働省)
 
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