<目次>
高齢猫が元気に長生きするカギは日ごろからの体調チェックにあり
野生で生きる動物は、弱った姿を見せてしまうと、敵に襲われる危険が増します。そのため具合が悪い猫は、防衛本能が働き、体調の悪さを周りに悟られないよう行動する習性があります。そのため、病気になっていても元気そうに見え、気づいたときはかなり症状が進んでしまっている場合が多くあります。早い段階で発見できれば、ある程度、治せた病気でも症状が悪化したあとでは、そもそもの治療が困難になったり、入院や手術が必要になり治療が高額になったりします。また、飼い主さんの気持ちが急な病気を受け入れられず「なんとか治したい」と先行してしまえば、いろんな病院を転々とすることになり、その都度、検査代、治療費がかかります。中には、高額な検査代で、数万円~数十万円という費用を払った飼い主さんもいます。
飼い主さんが現役で働いているのであれば、仕方ないと思えても、年金でやりくりしている場合は、このような突発的な出費は大きな負担になります。そうならないためにも、高齢猫の異変を早めに気づいてあげましょう。今回は、高齢猫のお世話のついでに行う健康チェックを紹介します。
猫の11歳以上は人間年齢の60~70代、体調に変化が見られる時期
猫は年齢ごとにライフステージがあり、11歳以上は人間年齢でいうところの60~70代。ちょうど、高齢猫の仲間入りとなる時期です。猫の見た目では、毛繕いをあまりしなくなるため毛艶がなくなってきたり、筋肉が落ちて細くなったりします。行動では、高い所に昇らなくなったり、動きが鈍くなったりします。
しかし、猫によっては、相変わらず活発に動き、ジャンプが得意な場合もありますので、個体差があるといえます。ただ、元気そうに見えても11歳以上の猫はシニア世代。高齢猫ということを意識して日常の様子をよく観察しましょう。
高齢猫のお世話のついでで「健康チェック・記録」を始めよう
飼い猫が11歳を超えたぐらいから、体重や排せつ物を観察して、ノートやパソコンに記録しておきましょう。そうすることで、猫の異変に早く気付くことができます。毎日猫と接したり、トイレ清掃をしたときのついでに健康チェックしましょう。そのやり方とポイントを紹介します。●高齢猫を抱っこしたついでに体重をチェック
高齢猫で体重が減る場合に疑われる病気は、慢性腎不全、糖尿病、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、がんなどがあります。どれも定期的に体重チェックをしておけば、いち早く体重の異変に気が付くことができます。
高齢猫の体重は、まず、猫を抱っこして体重計に乗り体重を測り、その体重から人の体重を差し引けば確認できます。猫を抱っこしたついでに行えば、負担にもなりません。我が家では、週に1回ぐらいしていますが、獣医師に聞いたところ、1カ月に1回ぐらいで十分とのことでした。
そのつど、猫の体重を記録しておき、もし、1カ月で5%以上体重が減ることがあれば、動物病院で診察してもらった方がよいでしょう。
●トイレ掃除のついでに高齢猫のオシッコ・ウンチをチェック
毎日、何気なく始末しているオシッコやウンチには、高齢猫の病気を早期発見する情報が詰まっています。たとえば、オシッコの量が増えるのは、慢性腎不全や糖尿病、甲状腺機能亢進症などがあります。
日々のオシッコの量や色などをよく観察して、気が付いたことを記録しておきましょう。オシッコの量は、猫砂であれば、塊の大きさや個数、シーツであれば、シミの大きさを目安にすれば、だいたいは把握できます。
また、ウンチのトラブルの便秘や下痢にもさまざまな病気が隠れていることがあります。毎日、排便があるかどうかや、ウンチの量や形・色を記録しておきまよう。
●毎日のブラッシングのついでに高齢猫の顔まわりをチェック
ブラッシングは換毛期だけという方も多いですが、獣医師によると、ブラッシングでの適度な刺激が、血流促進にもつながるので、毎日行っても大丈夫とのことです。
ブラッシングついでに、高齢猫の顔まわりを観察することで、見た目の異変をチェックすることができます。
たとえば、目ヤニがついていたり、涙目になっていたりしていませんか?目の損傷や鼻炎などになっていることがあります。とくに季節の変わり目などは注意しましょう。
また、「口の周りがいつもよりも汚れているな」と思ったら、口内炎や歯周病になっているかもしれません。放置しておくと、どんどん悪くなってしまいます。動物病院で早めに治療してもらいましょう。