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平均貯蓄率33.6%。20代、30代で貯蓄ぐせをつける【2023年時点・最新版】

コロナ禍によって、生活スタイルに変化が起き、家計収支にも大きな影響を与えています。家計にどのような変化が起きているのでしょうか。総務省が発表した『家計調査 家計収支編2022年』から年代別に見ていきましょう。収入、支出、貯蓄額など、参考にしてください。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>
コロナ禍によって、生活スタイルに変化が起き、家計収支にも大きな影響を与えています。家計にどのような変化が起きているのでしょうか。

収入増、支出増。平均貯蓄率は低下

総務省が発表した『家計調査 家計収支編2022年』(2023年2月公表)から、二人以上世帯のうち、勤労者世帯の家計収支がどうなっているのか、見ていきましょう。データはすべて年間の数値を月額平均にしたものです。
 
【2021年のデータはコチラ】
平均貯蓄率は34.2%。20代、30代の貯蓄グセをつけることが大事
二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

2021年の同調査と比較すると、平均収入は2021年の60万5316円から61万7654円と増加しています。消費支出も2021年の30万9769円から32万627円と増加しています。税金や社会保険などの非消費支出も約4000円増加しており、支出全体では約1万5000円の増加という結果です。
 
家計収支の黒字額は、2021年より約3000円減少し、18万286円。月額平均の貯蓄純増額は、2021年からほぼ横ばいで16万8218円という結果になっています。可処分所得に対する貯蓄割合を示す平均貯蓄率は、34.2%から33.6%に下がりました。
 
支出の内訳を見ると、消費支出全体に対する各項目の支出割合は、さほど大きな変化はありませんが、水道光熱費が3000円ほど増加し、電気料金の値上げなどの影響が出始めているかもしれません。収入が増加した分、支出も増加しており、コロナ禍から脱し、徐々に消費行動が回復しているように思われます。

年代別では20代、30代の貯蓄率が高い

 では、年代別では、どうなっているか見ていきましょう。まずは、20代、30代。
二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

収入は、20代が前年から約3300円増加し51万3018円。30代では約2万6500円の増加で59万5266円。一方の支出は、20代で約3000円、30代では約1万3000円の増加となっています。貯蓄純増は、20代は前年とほぼ同じで約17万8000円。30代は約1万3000円の増加で約20万6000円になりました。20代、30代ともに収入も支出も増加し、貯蓄額も純増しています。
 
貯蓄率は20代が40.6%、30代は41.4%と全年代を通して最も高くなっています。30代は収入が増えた分、支出も増えていますが、家計の黒字分をしっかり貯蓄に回していることがうかがえます。
 
40代以降についてはこの後説明しますが、20~30代の収入は40代以降と比べて低くなっています。それでも貯蓄をしっかりとしているというのは、心強いものです。この傾向は例年同じで、20代、30代とも貯蓄率が40%台というのは、堅実な世代ということができるかもしれません。実際、ライフプランのなかで、結婚して子どもが生まれる、または子育てが一段落し、子どもが高校に上がるまでの期間は、お金を貯められる時期でもあります。この期間に貯蓄のベースを作っておくことが、20年後、30年後に生きてきます。

子どもの教育費負担が重くなる40代、50代

40代では、収入が前年から約1万2800円の増加で66万1425円。50代では約3400円微増の69万6148円。支出は40代で約1万7000円の増加、50代で約1万6000円の増加となりました。
 
40代、50代は子どもの教育費などにお金がかかり始める年代。収入も増えるが支出も増えるという状況です。貯蓄純増額は収入増を超える支出の増加の影響で、40代は17万8376円と前年より3万4000円もの減少、50代も同じく18万527円で前年より1万9500円の減少となりました。貯蓄率は40代が33.4%、50代が32.8%となっています。
二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

この年代では、子どもにかかるお金は教育費だけではなく、食費、被服費、通信費など、生活全般で大人と同じかそれ以上のお金がかかってきます。また、住宅購入で住宅ローンの返済を抱えている世帯も多くなります。可処分所得は20代、30代に比べると多いように見えても、実際に自由に使えるお金は少なく、貯蓄に回す余裕もなくなってきます。
 
50代は貯蓄をしながら、子どもの大学進学費用などでまとまったお金が出ていく時期であり、並行して老後に向けた資金作りもしなければなりません。このことを念頭に置けば、20代、30代のうちから、将来に向けての貯蓄を始めておくことが大事であるといえるでしょう。

定年後も働くことで、家計に余裕ができる60代、70代

60歳で定年。住宅ローンを完済し、子どもは独立。定年後は悠々自適に暮らす。そんな時代は、遠い昔に過ぎ去りました。60歳以降も、再雇用や再就職などで働けるうちは働き、生活費を貯蓄から取り崩すのではなく、働いて収入を得る世帯が増えています。少なくとも公的年金受給が始まる65歳までは、生活費に相当する収入を得ることが大切で、貯蓄の取り崩しが少なければ、老後生活を安心して迎えることができるのです。
 
60代以降も約40万、50万円もの収入がある、というこの結果を見ると、65歳までは働く、できる限り働く、ということが定着しつつあるのでしょう。定年退職後も働いて収入を得るということを若い年代でもイメージしておく必要はあるでしょう。
二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

二人以上世帯のうち勤労者世帯の家計収支(月額平均)

また、定年退職後に問題になるのは、生活コストの削減です。データの支出のなかで、教育費がガクッと減るのは当然として、これだけ収入があるからなのか、食費などは子どもが独立する前と後で、それほど変化がありません。働いて収入を得ることで、現役時代の生活レベルを維持するのもいいことですが、生活のダウンサイジングを心がけ、この先のリタイア生活に向けた準備をしておきたいものです。

平均は平均だからではなく、自分の消費傾向をチェックする

今回のデータでは、各年代とも収入、支出ともに増加しましたが、20代、30代で貯蓄が増えた一方、40代、50代では貯蓄を増やすことができませんでした。コロナ禍の影響よりも、物価上昇、公共料金の値上げといった生活インフラのコスト増が、家計にとって厳しい状況になりつつあるようです。活発な消費活動も大事なことですが、物価上昇に備えた家計管理が今後は重要になってくるでしょう。
 
無理な節約は長続きしません。一度見直せば節約効果の高い固定支出を改めてチェックし、家計全体での支出バランスを調整していくほかありません。
 
家計は世帯それぞれに事情があり、他の世帯と比べることに、あまり意味はありません。しかし、こうしたデータから消費支出の割合をチェックし、我が家の家計と比較し、使いすぎている費目はないか、それは削ることができるのか、今は無理でも、子どもが成長したら生活コスト全体を削減できるのか。または、これからどのくらい増えるのか。そうした家計チェックに使うことができます。
 
とかく、家計は近視眼的に、毎月のやりくりに目が行きがちです。また月によっても変動があります。年間でかかったお金を月平均にならし、昨年と変わったところはないか、来年はどうなるか、そうした結果の確認と予測を立てることも大事なことです。
 
数字の見方はいろいろありますが、「こんなに収入ないから」「平均の数字は高すぎる」というばかりではなく、うまく活用して、健全な家計管理に役立たせてほしいと思います。
 
※データ出典/総務省統計局「家計調査 家計収支編 2022年調査」より、二人以上世帯のうち勤労者世帯のデータより抜粋して、筆者作成
 
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