寺・神社/はじめての寺・神社

パワースポット(3ページ目)

パワースポットは新しい言葉のようですが、実は、日本古来の神社や寺は、多くがパワースポットなのです。山、樹木、森、湧き水など、神様とみなされるものが住む場所が、伝統的なパワースポットです。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

山を歩いて神仏に会おう

山を駆け回って神仏に出会い、神通力を得た役行者(東京、目黒不動尊にて)
修験道は、古い形の神道に仏教と道教が混じった日本独特の宗教です。修験道では山を歩くこと自体が修行であり、ぎりぎりまで心身を酷使することによって神仏の存在を感じることができるとされます。また、それによって神通力(一種の超能力のようなもの)も得られるとされました。

修験道の開祖は奈良時代の実在の人物、役行者です。役行者は奈良の吉野山を駆け回り、日本独特の蔵王権現という仏様を感得しました。この役行者さんが桜の木に蔵王権現の姿を刻んだことから、吉野は桜の名所として有名になりました。

役行者と吉野、金峯山寺の話
金峯山寺と吉野は、現在でも山伏が歩く伝統的なパワースポットです。わたしもかつて、この付近の山中を山伏に先導されて歩いたことがあります。わたしのようにやわな者にはとうてい歩ききれないほど険しい道だったのですが、何とか最後まで歩けたのは、やはり、吉野の神仏のおかげだと思います。パワースポットは、ただ行くだけでなく、歩くことによって神仏と出会う場所だと実感できます。

修験道は江戸時代まではたいへん盛んで、行者だけでなく、一般庶民たちも聖地とされる山を目指して旅をしました。江戸から行く聖地の山はいくつもありましたが、中でも富士山や神奈川県の大山が人気でした。

そういうわけで、日本人にとっては、古代から山がパワースポットなのです。この感覚は今もわたしたちの中に残っており、山上の寺や神社に行くと、とてもすがすがしく前向きな気持ちになります。パワースポットという言葉は、一見目新しいようでいて、実は日本の伝統に根ざしたものだったんですね。


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