税金

確定申告で、物理的に所得税を支払うことができない場合はどうしたら良いのでしょうか?

お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、確定申告の所得税が払えない場合についてです。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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お金のこと、難しいですよね。老後の不安から、ますますお金を貯めたい、家計を守りたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。皆さんからのちょっとした疑問にオールアバウトの専門家が回答するコーナーです。今回は、確定申告の所得税が払えない場合についてです。専門家に質問したい人は、コメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:確定申告での所得税を払えない場合は、どうしたらいいのでしょうか?

「個人事業者です。会社員からフリーランスになってまだ二年目なので税制のことは詳しくありません。私は借金があるので、その利息の支払いのために所得を増やし、借金を減らしたいのですが、そうすると必然的に確定申告での所得税が増えてしまうと思います。確定申告での所得税について、今年はなんとか支払いできましたが、物理的に所得税を支払うことができない場合はどうしたら良いのでしょうか?」(ひんさん)
確定申告の所得税が払えない場合はどうする?

確定申告の所得税が払えない場合はどうする?

 

A:振替納税制度の利用、または延滞税の仕組みについて知識をつけ、延滞税の負担を軽微にしましょう

フリーランスの人が開業当初、財務内容を早期に健全化させるため、「借金があるので、その利息の支払いのために所得を増やし、借金を減らしたい」という方向性は間違っていないと考えます。その一方で、借金の返済は必要経費ではないので所得は圧縮されず、資金繰りのみに悪影響を与えるというのも事実ですので、「ひんさん」のような状況に陥ることについても理解はできます。

しかし、税務署サイドからみると、「納付期限に納税が遅れた」という事実があることからいろいろなペナルティがかかってくる可能性があります。ペナルティを避ける、あるいは軽微にする方法をふたつ紹介したいと思います。
 
ひとつめの方法は「振替納税制度を利用する」ということです。たとえば、2022年・令和4年確定申告でいうと、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」という書式に納税者本人の口座情報、住所、氏名、その口座の金融機関の届出印を押印の上、振替納税を利用する税目の納期限までに、納税地を所轄する税務署に提出(郵送も可能)すれば、実質的に振替納税日まで納付期限が延長されたことになります。
 
2022年(令和4年)の確定申告について所得税の振替納税日は2023年4月24日(月)、消費税の振替納税日は2023年4月27日(木)になっています。

所得税の本来の納付期限は3月15日(水)、消費税の本来の納付期限は3月31日(金)までですので、つまり実質、1カ月ほど両税目とも「納付期限の猶予がもらえた」のと同じことになるのです。
 
二つ目のポイントとは「延滞税の仕組みをよく知る」ことです。延滞税の仕組みを知ることで納税が遅れたときのペナルティを軽微にすることができるからです。

文面では「物理的に所得税を支払うことができない場合」とあり、その他の情報は不明ですが、ここでは仮に以下のようなケースで説明します。
「36万円の所得税を納付期限までに12万5000円、残りの所得税は11万7500円ずつ、それぞれ30日後と60日後に支払う」

この場合、本来の納付期限に納税が遅れるということになるので、「延滞税」というペナルティが課せられます。ただし納期限までの期間及び納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間についての延滞税の割合は2023年1月1日~2023年12月31日の間においては2.4%と比較的、軽微なものです。一方、納期限の翌日から2カ月を経過する日の翌日以後についての同割合は8.7%と2.4%に比べ4倍近くになるのでなるべく、2カ月以内に支払うことをおすすめします。

延滞税の計算ですが以下となります。

納付すべき本税の額(1万円未満端数切り捨て)×延滞税の割合×日数/365日(100円未満端数切り捨て)

これを上記のケースにあてはめると延滞税は、以下のように算定されます。
(11万円×2.4%×30日/365日)+(11万円×2.4%×60日/365日)=649円→600円

延滞税は600円となります。この延滞税の額をできるだけ低くおさえたい、ということがありますから、以下のように納付期限までにより多くの所得税を支払うと仮定して延滞税を計算してみます。
「36万円の所得税を納付期限までに18万5000円、残りの所得税は8万7500円ずつ、それぞれ30日後と60日後に支払う」

延滞税の計算式は以下となります。
(8万円×2.4%×30日/365日)+(8万円×2.4%×60日/365日)=472円→400円

以上のように算定され、延滞税は400円となります。期限内により多くの所得税を納付することで、延滞税が600円→400円と、安くなるということです。

延滞税をおさえるためには、なるべく納付期限までに本来の税金分を多めに支払い、残額を期限から2カ月後までに納税する、ということがポイントです。
 

実際、私のクライアントにもこのようなケースにあてはまる方がいます。所得税を納付できない場合、確定申告完了後、税務署の担当官と分割納付の方法と金額について相談して決める場合もあります。所得税を払えない場合は、税務署に相談するのも一考でしょう。

いずれにせよ、「所得税を納付しない状況を放置する」ということは行ってはならないことと考えます。早め早めにアクションを起こすことが重要です。

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