社会人の大学・大学院

勉強時間が「欧米・アジア最下位」の日本人に教えたい。趣味にもできる、社会人の“意外な勉強”5選

終身雇用が難しくなってきた昨今、転職やキャリアアップに備えましょう。社会人の勉強は、学生時代より多様に選択肢があり、実は楽しめる要素が多いものです。「1人で」「黙々と」勉強することに苦手意識がある人にもおすすめしたい、社会人の勉強を5つ紹介します。「これも勉強といえるのか!」と意外性があるかもしれません。

西島 美保

執筆者:西島 美保

社会人の学びガイド

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「これも勉強といえるのか!」 多様で楽しい社会人の勉強

パーソル総合研究所が2022年11月に発表した「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」によれば、社外の学習・自己啓発活動を行っている日本人の割合は、読書、研修・セミナー・勉強会への参加、資格取得のための学習、通信教育・eラーニング、大学・大学院などほぼすべての学習項目において、アジア・欧米の18カ国・地域(日本、中国、韓国、台湾、香港、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナム、インド、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン)の中で最下位という結果に(※1)。
 
また、総務省統計局が2022年に発表した社会生活基本調査(令和3年度調査)によれば、日本の社会人の勉強時間は平均13分でした(※2)。
 
学校を卒業した後は仕事に忙殺されるからなのか、自己研鑽に時間を割かない傾向にある日本人ですが、このような状況だからこそ、社会人になってから勉強をするメリットのひとつとして、新しい知識やスキルなど他の人とは違った能力を身につけ、他者に差をつけられるということがあります。1日13分以上勉強すれば、日本の平均以上である「勉強している社会人」の方に入れてしまうのです。
 
日ごろから勉強していると、見ていてくれる人はいるものです。業務に生かせる勉強もあるでしょうし、新しいプロジェクトへの抜てきなど、何らかのチャンスが舞い込む可能性も広がるでしょう。終身雇用が難しくなってきた現代において、転職やキャリアアップに備えておくこともできます。
 
学生時代のイメージから、勉強に苦手意識を持つ社会人もいるかもしれません。しかし、社会人の勉強は、学生時代より多様に選択肢があり、実は楽しめる要素が多いものです。
 
「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」の各項目から、「1人で」「黙々と」勉強することに苦手意識がある人にもおすすめしたい、社会人の勉強を5つ紹介します。「これも勉強といえるのか!」と意外性があるかもしれません。
 

(1)研修・セミナーへの参加

研修やセミナーに参加することで、興味ある内容を専門の人から学ぶことができます。仕事関連の研修でもいいですし、大学の公開講座など、無料または安価で参加できるものも多数ありますので、何を勉強していいか分からない人は、「おもしろそうだな」「聴いてみたいな」とご自身の気持ちに合うものに気軽に参加してみてはいかがでしょうか。
 
仕事と全く関係のない内容でも意外な発見があっておもしろいですよ。医療系の講座には若い人から年配の人まで多くの人が参加しています。アート系の講座で色の世界を学ぶなどもおもしろいです。
 

(2)勉強会への参加――「ジモティー」やSNSでも探せる

1人だと挫折しがちな勉強も仲間がいることで乗り越えられる可能性が高くなります。例えば興味があるサロンに入会し、仲間とともに活動してはいかがでしょうか。SNSで勉強会を探すのもおすすめです。「ジモティー」などで自宅や勤務先近くでの勉強会を探すこともできます。
 
最近では、SNSの無料通話機能を利用して友人と電話をつなぎながら一緒の時間に勉強する、というのも流行っています。1人だとさぼりがちだけれどこれだと仲間がいるので集中できる、という人もいます。
 

(3)NPOやボランティアなど社会活動への参加

学習の種類として「NPOやボランティアなど社会活動への参加」があることを意外に感じるかもしれませんが、欧米ではボランティア活動は地域社会においてその人を育成し、成長させる有効な機会として捉える考え方があり、企業でも従業員にボランティア活動を推奨する会社が一般的です。
 
日本でも1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにボランティア活動が盛んになり、企業でもボランティア活動を推奨したり、ボランティア休暇などを付与したりする会社も出てきました。

ボランティア活動は、自己投資(特に自分の時間を投資する)という意味で、お金では買えない多くの学びがあると感じる人は多く、厚生労働省の発表によれば2017年時点で707万人もの人が実際にボランティア活動を行っているそうです(※3)。
 
ボランティアを始めてみたい方は、地域福祉・ボランティア情報ネットワークで探すことができるほか、市区町村のボランティアセンターなどに問い合わせてみるのがいいでしょう。頑張らなくてもできそうなことからやってみましょう。
 

(4)大学・大学院、専門学校で学ぶ

大学や大学院では主に専門分野を学ぶことができ、学位を取ることも可能です。学歴を変えたい、新しい学位が欲しい、大学で体系的に学びたい学問がある、という人にはおすすめです。

大学での学び方としては、単位を必要とせず学びたい科目だけを聴講する聴講生や、教育職員免許、学芸員、司書などの資格取得を目的とするなど単位取得を目的とする科目等履修生、また学位をその大学でとるなら1年次入学または編入学など、さまざまな学びの形があります。

専門学校は主に実践的なビジネススキルを短期間で効率的に学ぶことができ、即戦力として活躍できる能力を身につけることを目的としています。専門分野に特化しているため、資格取得や就職にも強い学校が多いのが特徴です。

大学、専門学校いずれにしても、学費は他の学びに比べると高額になることが多いので、支払い計画をきちんと立てることが必要です。
 

(5)勉強会を主催する――マネジメント能力や企画力、発信力の向上にも

学びの方法として勉強会を主催することも「学習」とカテゴライズされています。勉強会を自分で企画、実施することで、学びそのものを促進する輪の中心となり、勉強そのものだけでなく、人をどのように引き付けるかのマネジメント能力や企画力、発信力などを同時に高めることができます。
 
勉強会はまずは実際にやってみることが大切です。始めてみると思い通りにならないことも多々ありますので、それを織り込んだ上で、気軽に周囲に声をかけ、どうしたら人が継続的に集まってくれるか仲間と相談し、考えながら実行していくのがいいでしょう。
 

社会人の勉強は、堅苦しく考えず、楽しむのが大事

学生時代のように机の前に座って何時間もテキストや問題集と格闘、というような勉強を思い浮かべると「したくない」と二の足を踏んでしまう社会人も多いかもしれません。でも社会人の勉強はもっと気楽に考えて大丈夫。勉強方法も、勉強する内容も、期間も、自由に柔軟に選んでいいのです。さまざまに試してみる、失敗する、成功する、その過程さえを楽しんでしまうのもありです。
 
社会人生活も長くなり、「何から始めたらいいのか」「何をしたらいいのだろうか」と、手の付け方が分からずなんとなく始められないという人も、あまり堅苦しく考えず、まずは興味のあるものから短い時間でも触れてみることをおすすめします。


<参考>
※1:グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)
※2:「令和3年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
※3:ボランティア活動(厚生労働省)


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