飲酒・アルコール

Q. お酒を飲むだけで、楽しい気分になるのはなぜ?

【薬学博士・脳科学者が解説】お酒を飲むと楽しい気分になるのは、なぜでしょうか? お酒の席では、普段あまり話さない人とも会話が弾んだり、気持ちが理由もなく晴れやかになったりするものです。お酒で気分が変わる理由を、わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. お酒を飲むだけで、なぜ楽しい気分になるのでしょうか?

お酒を飲むと楽しくなるのはなぜ?

お酒を飲むと楽しくなるのはなぜ?


お酒が好きな理由として、「楽しい気分になれるから」と答える方は少なくないでしょう。しかしお酒を飲むだけで、なぜ私たちは明るい気持ちになるのでしょうか? わかりやすく解説します。

Q. 「お酒を飲むと楽しい気分になるのは、なぜでしょうか? 普段あまり話さない人ともお酒の席ではうちとけて話せたり、場が盛り上がったりしますが、考えてみればなぜそんなことが起きるのか、不思議です。」
 

A. エタノールが交感神経の働きを和らげ、心と体がリラックスするから

まず、お酒には、体と心の緊張を取り除き、リラックスさせる効果があります。

私たちの体の働きは、無意識のうちに自律神経によって調節されています。とくに私たちが活動状態にあるときは、周囲の変化を感じ取って、即座に反応できるように準備しておく必要があります。そのため主に交感神経が働いて、体を緊張させています。交感神経が働くと、心臓の鼓動は速くなり、血圧は上がり、汗がたくさん出たり、瞳孔が開いたりするなどの変化が現れます。

お酒を飲むと、エタノールが脳に作用し、麻酔薬のように神経の働きを麻痺させます。そのため、特に交感神経を働かせて緊張を維持しようとする脳からの指令が出にくくなります。交感神経の働きが鈍くなることで、心と体はリラックスし、会話もはずみ、楽しい気分になるのです。

もう一つ、お酒を飲むと気持ち良くなる秘密があります。脳内の神経活動を担う神経伝達物質の一つに「ドーパミン」があります。一般に脳内でドーパミンがたくさん分泌されると、「快い」という感情が生まれます。そして、エタノールには脳内ドーパミンの分泌を増やす作用があることが明らかとなっています。

ただし、お酒によるドーパミンの分泌を増加させる効果は、飲みはじめてから20分くらいしか続きません。たくさん飲み過ぎると逆効果になるので、「気持ちよくお酒を楽しむ」ためにも、適量にとどめておくのが賢明でしょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます