飲酒・アルコール

飛行機内ではお酒に弱くなる?地上での飲酒より酔いやすいワケ

【大学教授が解説】「飛行機内での飲酒は、地上で飲むよりも酔いやすくなる」という話がありますが、これは本当です。揺れや気圧、精神的な影響によってもアルコールへの強さは変わります。機内のアルコールのサービスなどで酔ってしまわないように、なぜ飛行機内でのお酒には注意が必要かをわかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

飛行機内での飲酒は地上より酔う? アルコールのサービスには注意

飛行機内での飲酒は酔う

飛行機内での飲酒は地上で飲むより酔いやすい? その理由とは

国際線など長時間の空の旅では、お酒をサービスしてくれることがあります。好きなお酒が飲み放題となると、ついつい手が出てしまうという方もいるでしょう。

でもご注意を。飛行機に乗っていると、地上にいるときよりもお酒に酔いやすくなり、少し飲んだだけでも気分が悪くなったり、吐いてしまったりすることがあります。飛行機内で酔いやすくなる理由をわかりやすく解説します。
 

機内でお酒に酔いやすくなる理由……機体の揺れ、気圧変化も影響

地上か上空かという話もありますが、第一に、飛行機は乗り物です。乗り物酔いしやすい人は、お酒を飲んでいなくても気分が悪くなることがあります。車で乗り物酔いをすることはないという人でも、飛行機が上下に激しく揺れると、めまいを覚えることがあるでしょう。

加えて、飛行機は空気の薄い上空を移動するため、気圧が変化します。飛行機の中はできるだけ地上に近い気圧になるよう調節されていますが、それでも地上よりも低気圧になっています。地上で買ったポテトチップスの袋を飛行機に持ち込むと、上空に達したときにはパンパンに膨れ上がります。ポテトチップスの袋の中に閉じ込められた空気圧の方が、機内の気圧よりも相対的に高くなるからです。

飛行機に乗った私たちの体も、上空に行くと、ポテトチップスの袋と同じ状態になり、体を流れる血液の圧力によって、手足がむくみます。また、耳の蝸牛や三半規管を満たすリンパ液の圧力が相対的に高くなるため、耳が遠くなったり平衡感覚が失われます。これらが重なると、少しのお酒でも吐き気が起きやすくなるというわけです。
 

酔いやすさは、気持ちやストレスの影響によっても変化する

第二に、気分が悪くなるかどうかは、気持ちにもかなり影響されます。例えば、心の底から嫌いな人などを「吐き気がするほど嫌い」と評する言い回しがありますが、私たちは嫌なことを見たり経験したりすると、実際に気分が悪くなります。これは大脳が対象物を拒もうとするために起こる反応です。

最近の飛行機は快適になったとはいえ、狭い空間に長時間閉じ込められている点に変わりはありません。日常とは異なる空間で、多くの人がストレスを感じるものです。ストレスがあり吐き気を催しやすい状況でお酒を飲めば、普段よりもすぐに具合が悪くなってしまうのは当然ともいえます。

飛行機内でのお酒は酔いやすいことを前提に、地上では酔わない自信がある人も、ほどほどの量で楽しむのがよいでしょう。
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