膝痛(ひざつう・しっつう)とは? まずは痛みの原因をチェック!
筋力が衰えると活動量が減ってしまい、膝痛を起こすことがある
■打撲後の急性外傷による膝の痛み
転んだり、人や物にぶつかったりして、膝を打撲してしまった場合は、膝痛の原因はすぐ特定できるでしょう。「急性外傷」と呼ばれる状態で、痛みや腫れ、熱感など炎症症状が見られます。この場合は、応急手当として患部を氷などで冷却し、安静に保つことが良いとされていますが、痛みが強くなる場合は早めに医療機関を受診して医師の診察を受けることが大切です。
■運動中や運動後の膝の痛み
運動中や運動後に膝が痛くなってしまったというケースもあるでしょう。久しぶりのジョギングやランニングや、路面の硬い場所で運動を続けてしまったときなどによく見られます。膝関節は体重を支える荷重(かじゅう)関節であり、跳んだり、走ったりといった動作が続くと大きな負担がかかり、痛みが起きてしまうことがあります。加齢による筋力低下や、体重増加など、個人の体力的な要因も挙げられます。
安静にすることで痛みが軽減する場合もありますが、痛みが変わらなかったり、むしろ強くなったりする場合もあります。靱帯や膝の半月板を傷めてしまった場合は、日常生活にも支障をきたしてしまうため、医師による適切な治療を受け、患部の組織修復を優先させることが必要です。一方で、医療機関で患部に問題がないことが分かった場合は、安静にするのが逆効果になることがあります。
運動不足が原因の膝痛の改善法……運動で悪循環を断ち切ろう!
膝が痛いと、歩いたり階段の上り下りをしたりするのが億劫になり、近距離でも車で移動したり、エレベーターやエスカレーターを利用して、活動量そのものを低下させてしまうことがあります。強い痛みがある場合は大きな負担のかかる動作は避けるべきですが、痛みが軽減した後も「膝が痛くなるかも……」という不安から、体を動かす機会を減らしてしまわないよう、注意が必要です。体を動かす機会が減ってしまうと、膝周辺部を始めとする下肢の筋力が低下し、腿が上がらずちょっとした段差につまずきやすくなったり、体のバランスを崩しやすくなったりします。すると膝痛だけではなく、姿勢の崩れによる腰痛などのリスクも高まり、ますます体を動かさなくなってしまいます。活動量が減ると消費エネルギーも減ってしまうため、結果として体重が増えやすくなり、増えた重さが膝関節に加わってさらに膝に負担をかけるという悪循環が起こってしまいます。
運動不足による膝痛を改善するためには、膝に痛みがない範囲で柔軟性を高めるためのストレッチを行ったり、膝周辺部の筋トレを行ったりといったことから始めることが大切です。
運動不足が原因の膝痛を改善する運動法……まずは軽い負荷からスタート
加齢による膝痛の代表的なものとして「変形性膝関節症」が挙げられます。これは加齢による関節軟骨のすり減りや、靱帯損傷・半月板損傷といった外傷後の後遺症などによって起こると言われています。膝周辺部の筋力を高めることが予防や改善につながるため、積極的に運動が推奨されている膝痛の一つです。筋力の衰えが顕著であればジョギングやランニングなどの運動はハードルが高いかもしれません。まずは膝に荷重がかからない状態で太ももの筋肉を鍛えていきましょう。そこから少しずつ荷重を加えていくと、筋力アップにつながります。トレーニングとあわせてストレッチも行い、膝関節の動きを良くすることも大切です。
■膝に荷重がかかりにくい膝痛改善エクササイズ
太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)に力を入れて、その状態をキープする
- 《椅子に座って》片足の膝を伸ばし、足首を立てた状態でそのまま5~10秒ほどキープして元に戻す
- 《床に座って》両足を投げ出した長座の姿勢で膝を軽く曲げ、曲げた片膝の下にバスタオルやクッションなどを入れて、それを押しつぶす。太ももの前の筋肉に力を入れて5~10秒ほどキープして元に戻す
もう少し頑張れそうな人は少し工夫して、膝への荷重を軽減したエアロバイクやウオーキングを試してみるのもよいでしょう。
- エアロバイクを使った有酸素運動
- プールなどを利用し、浮力のある状態でウオーキングを行う
スクワットは浅くしゃがみ込むことから始めてみよう
- 膝が前に出ないように気をつけながら、浅めにしゃがみ込むスクワットを行う。椅子の背もたれなどを利用して行うとバランスを崩さずに行うことができる。
■参考