家事

靴下を「裏返しのまま」洗濯するのは悪なのか?洗濯物のタブーを解決

「脱ぎっぱなしの靴下を出されるのが許せない」「洗濯物を裏返しで出されるとイラつく」「こんな洗剤で洗っていいの?」「洗濯って夜、干しちゃダメなの?」。巷にはびこる“タブー”、根強い洗濯の固定観念を住生活ジャーナリストの藤原千秋が解きほぐしていきます。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

洗濯物のタブーを解決! 靴下を「裏返しのまま」洗濯するのはダメ?

靴下を「裏返しのまま」洗濯するのはダメ?

靴下を「裏返しのまま」洗濯するのはダメ?

多くの家庭で「洗濯」は日々待ったなしの家事。溜めると臭い、着るものがなくなると困る。そんな静かな重圧のせいか他人からすれば「たかがその程度のことで」というような細かな行き違いでも、ともすると家庭内に剣呑(けんのん)な雰囲気をもたらしたりしがち。

各々が育ってきた家庭や地域でタブーだった振る舞いをされたり、見たりすると、「許せない」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし時代は変遷し、洗濯まわりの事情も、価値観も変わってきています。特に健康や命に関わるわけでもないことに対しては、おおらかに捉えた方が、いらぬストレスを抱えず「ラク」なのでは……。 はたして、許せる?許せない? 善!?悪!?

洗濯の固定観念、なるべくロジカルに切り分けていきましょう。
 
<目次>
 

「脱ぎっぱなし」のまま洗濯するのは悪行なのか?

「脱いで丸まったままの靴下が洗濯に出されていた、許せない」

「脱いで袖が引っ込んだままのシャツをそのまま洗っちゃった、へこむ」

「脱ぎっぱなし」衣類の愚痴や悔恨や呪詛は21世紀が20年過ぎても未だ絶える様子を見せません。

しかし果たして「脱ぎっぱなし」洗濯はそんなにまでも悪いことでしょうか。泥砂や機械油にまみれた衣類はともかく、せいぜい汗や皮脂が付着した程度の洗濯物に関しては、洗濯機で洗う際にそこまでの厳密性を求める必要はないのではないでしょうか。

「丸まったまま干すと乾かないからいちいち伸ばさなければならないのが面倒くさい」

ならば丸まったまま干せばいいだけです。乾きが悪く臭くなるのは脱いだ本人の受け取る「結果」でしかありません。

ところでシャツや下着関係を裏返しのまま洗うことは、洗濯の機序としてまったく悪いことではありません。おおむね大人の着る服では外側に付く汚れよりも内側から付く汗や皮脂が主な汚れなので、そちら側(つまり裏)を表にして洗う方が効率的ですし、デニム等含め色物は表の磨耗や色あせを予防するためにも、すべて裏返しで干した方がいいくらいです。

また裏返したまま脱いで洗うと袖部分が他の洗濯物に絡まずに済むというメリットもあります。売り物ではないので裏返しのまま干して取り込み、着るとき本人が表に戻せばいいのです。
 

すべての洗濯物を「お洒落着用洗剤」で洗ってはいけないのか?

「普通の洗剤(弱アルカリ性洗剤)で洗ったらニットが縮んじゃったので、もう全部の洗濯物をお洒落着用の中性洗剤で洗って柔軟剤なしなんですけど、それじゃダメなんですか?」

無問題です。何も問題ありません。ただタオルなどはしっかり脱水した方が乾きやすくイヤな臭いが出にくくなりますので、デリケートな衣類だけ脱水を短くして取り出し、雑に扱えるものはしっかり脱水してから干すようにする一工夫を加える余地があるとよりいいでしょう。
 

夜、洗濯物を干すのは悪なのか?

「おばあちゃんが言ってた。だから夜は洗濯物を干しちゃダメ!」

ご近所からだらしなく見えるから、夜露で濡れるから、魔が憑くから、虫が卵を産むから、犯罪に巻き込まれる隙ができるから。「洗濯物の夜干し」は昔から忌み嫌われてきましたし、今でも避ける人は避けます。気持ちの問題を迷信と斬って捨てるのは乱暴です。夜干しせずに回る生活であればあえて夜に干さなければならない理由は特にありません。

ただ育児や仕事の時間を繰り返すなかで、無理のない洗濯時間が夜にしか取れないということは現状、普通にありえます。洗濯乾燥機を活用したり部屋干し+除湿機利用がメインだったりすれば他人の目や犯罪、夜露や虫とも、そもそも無縁で済みますので気にする必要はないでしょう。魔については塩を撒くなど工夫してはいかがでしょうか。
 

黒い洗濯物に付く白系の繊維クズが許せない!

「白い洗濯物に黒いクズが付くことって滅多にないけど黒いものに白い繊維が付くのはしょっちゅうでイラつく……! でも色分けして洗うのは面倒」

実は白いものをより白くすることに洗濯界は長年注力してきました。ふつうの洗剤に「蛍光増白剤」を添加してしまうほどに。でも黒いものをより黒くする工夫はほとんどというか、全くなされていません。でも今どきは濃色の服の方が多かったりします。

黒い服にくっつく白い繊維クズの出どころを確認しましょう。おそらくはフワフワしたタオル類の毛羽だったりはしないでしょうか。そうしたら、この白い毛クズの発生源になりそうなもの(タオルなど)のほうを大きい洗濯ネットに隔離して洗濯するようにしましょう。黒系の洗濯物から毛クズを取り去るには、すすぎ効果を受けやすい状態(外に出しておく)ほうが有利です。すすぎに少量の柔軟剤を使用するのも毛クズを取るのに有効です。

~内心に根強い、許しがたい洗濯のタブーがあったら、ガイドまでぜひご一報ください~

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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