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「みんなのヒーローでいることが私の使命」女優のんが“求められるイメージ”を大事にするワケ(3ページ目)

映画『天間荘の三姉妹』の主演・のんさんにインタビュー! 天界と地上の間に存在する“三ツ瀬”で初めて自分の居場所を見つけるヒロインの「たまえ」を熱演したのんさんに、撮影の裏話や今後の活動など、さまざまなお話を語っていただきました。

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

みんなの「ヒーロー」でいることが私の俳優としての使命

のん「天間荘の三姉妹」

みんなにとってのヒーローでいたい!と語るのんさん

――この映画は、家族の温かさも重要な要素ですが、のんさんが家族の温かさを感じるのはどんな時ですか?
 
のん
:家族に対して「ムカつくなあ」とサラッと気軽に言える時でしょうか(笑)。家族とは、喧嘩していても仲良くしていても、何があっても家族であることに変わりはないし、そういう関係性がいいですね。
 
私がやりたいことに突き進んでいても、何も言わずに見守っていてくれたり、一緒にいても気を使わず楽にいられたりするところが、家族の温かさだと思います。
 
――たまえには「人を元気にする力」がありますが、のんさんには、どんな力が備わっていると思いますか?
 
のん
:私は「ヒーロー」でいることが自分にとって大切だと思っています。そういうポジションでいて、みんなに元気になってもらったりする力には自信がありますし、それを求められていると感じています。
 
ダメなところもたくさんあるけど、無鉄砲で、自力で人生を切り開いていって、みんなを引っ張っていくようなキャラクターという軸を大切にしています。
 
――イメージチェンジを考えたことはないんですね。
 
のん
:はい。私自身のキャラクターイメージのストライクゾーンはとても広いと思うので、真逆な役をやるのは、今の自分には得策ではないと思っています。
 
人に響く、一番威力のある演技をしたいと思った時に、求められているイメージで、周囲の皆さんの期待にどう応えていくか、どう驚かせるかを考えるのが大事だと考えています。
 

ウィークポイントがチャームポイントになる!

「天間荘の三姉妹」

(C)2022 高橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会 ※高橋のタカはハシゴダカ

――のんさんにとって、演技の面白さや喜びはどういうところにありますか?
 
のん
:演技のレッスンで「自分のウィークポイントはチャームポイントになる」ということを学んできました。役の魅力的なところを解釈するやり方も大切だけど、その魅力を際立たせるために、その役の短所も掴むこと。それがその役の人間味につながっていくという教えを受けたんです。
 
――なるほど。弱点を生かすんですね。
 
のん
:それは役を演じる俳優自身にも当てはまることで、自分のダメなところやコンプレックスが、お芝居には面白おかしく生かせる。それが俳優の仕事の魅力でもあります。自分のマイナスな個性が、演技をサポートしてくれて、すごく感情移入できるんです。そういうところが演じる上での気持ち良さ、喜びかなと思います。
 

『あまちゃん』のアキが私の基盤となっています 

――のんさんにとって、これまでのキャリアでターニングポイントになった時期、作品はありますか?
 
のん
:NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)ですね。あのドラマでたくさんの方に私を知っていただけたし、私が演じたアキのキャラクターが、今の自分の軸になっていると思います。さまざまな作品でどういう表現を打ち出していくか、深く考えるきっかけになっています。 もうひとつは、声の出演をさせていただいた『この世界の片隅に』(2016)です。本当に素晴らしい作品だったし、片渕須直監督の仕事に打ち込む姿勢、ものすごい集中力と熱量を持ってお仕事をされる姿には影響を受けました。
 

女優・創作あーちすと のんの今後と大好きな映画

のん「天間荘の三姉妹」

女優・創作あーちすと のんの今後についても語ってくれました

――のんさんは俳優のお仕事だけでなく、イラスト、音楽、映画監督などアーティストとして“女優・創作あーちすと”の活動もされていますが、今後の展開について教えてください。
 
のん
:創作活動は、絵の創作が最初で、そのあとに音楽、映画監督と続いています。昨年からやっている「リボンアート」は、新しい表現を模索していまして、どういう形でリボンを表現していくか考えながら、新たな世界を作り上げていきたいと思っています。
 
また、『Ribbon』に続く映画監督作品は、面白い題材を見つけたら、脚本を書きたいと思っていて、今はいろいろなアイデアのインプット期間。気長に待っていただければと思います。音楽活動は来年、最新アルバムを発売する予定。現在、曲作りの真っ最中なので、楽しみにしていてください! ――All Aboutは映画に関するテーマも扱っているので、最後に、のんさんの好きな映画を教えていただきたいです。

のん
:『キツツキと雨』(2012)です。役所広司さんが木こりの役なのですが、彼が仕事をしているところに映画の撮影隊がやって来るんです。最初は迷惑そうだったんですが、いつの間にか映画撮影の現場に魅了されていくというお話です。木こりさんが自分の本業をほっぽらかして、どんどん映画スタッフとの距離を縮めて、いつの間にかスタッフみたいになっていくところとか、人間の面白みがいっぱい詰まった映画で大好きです。
 
――素敵なお話をたくさん、ありがとうございました。『天間荘の三姉妹』全力応援していきます!
 
撮影・取材・文/斎藤 香
ヘアメイク:森かおり(クララシステム)
スタイリスト:町野泉美
 

のんさんのプロフィール

1993年、兵庫県生まれ。2010年に映画『告白』で女優デビュー。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)でヒロインの天野アキを演じ人気を博す。2016年、アニメーション映画『この世界の片隅に』に声の主演。作品は大ヒットし、数々の映画賞を受賞した。他の出演作は『星屑の町』(2020)『私をくいとめて』(2020)『さかなのこ』(2022)。また、監督・主演・脚本・編集を担当したYouTube Originals『おちをつけなんせ』(2019)を配信。劇場映画監督デビュー作は『Ribbon』(2022)。また女優・創作あーちすと のんとして、アート、音楽など、幅広くクリエイティブな活動を行なっている。
 

映画『天間荘の三姉妹』

「天間荘の三姉妹」

(C)2022 高橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会 ※高橋のタカはハシゴダカ

2022年10月28日公開
監督:北村龍平
原作:高橋ツトム「天間荘の三姉妹―スカイハイー」(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL刊) ※高橋のタカはハシゴダカ
出演: のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊(友情出演)、三田佳子(特別出演)、永瀬正敏(友情出演)、寺島しのぶ、柴咲コウ
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