覚えてもすぐ忘れる子の残念な勉強法TOP5!
「覚えてもすぐ忘れる子」に共通する勉強法とは?
今回は覚えてもすぐ忘れる子に共通する残念な勉強法TOP5を、効果的な覚え方とともにご紹介していきます。
残念な勉強法 第5位:一度に一気に覚える
ヒトの記憶は本来、一度頭に入れたらその情報は抜けないようになっています。それなのにすぐ忘れてしまうのは、記憶が消失したのではなく、思い出せないだけです。それを何かをきっかけに思い出すのです。でも、受験では限られた時間内に思い出さないといけません。では、どうすれば瞬時に思い出せるようになるのでしょうか。それは、覚えたことを何回も思い出すようにすることです。何回も思い出すことで、脳はその情報を大事な情報として、すぐに取り出せる手前の引き出しに入れるらしいのです。
つまり、すぐに思い出せるようになるためには、いったん忘れることが必要です。覚えて、忘れて、また覚えてをくり返すことで、覚えていられる期間が長くなります。1回目、2回目、3回目と間を空けて、回数を重ねることで、だんだん記憶に残る期間が長くなっていくのです。
100のことを100全て1日に一気に覚えるのではなく、小分けに復習しながら覚える、期間を置いて覚えているかを確認して、忘れていたものを覚え直す、こういうサイクルで勉強すると長い間、頭に残ります。また、もしドイツの心理学者である、ヘルマン・エビングハウスが考案した、人が忘却するメカニズムを端的に表した「エビングハウスの忘却曲線」をご存知ない方がいらっしゃったら、ぜひネットで調べて、お子さんと共有してもらえたらと思います。
まとめて覚えたものはまとめて忘れます。イベント的に「今日一日はこれを徹底的に覚える日にする!」とモチベーションを高めて取り組むのは良いですが、基本的には、ペンキを2度塗り、3度塗りするように、間を空けてくり返し覚えていきましょう。
残念な勉強法 第4位:身近なことに置き換えて覚えない
勉強がおもしろくないのは、勉強する内容が身近に感じられないからです。たとえば、短歌と俳句について学習するとします。俳句は明治時代だから、短歌が先で、俳句が後。短歌は五七五七七、俳句は五七五の音数、歴史は短歌の方が古くて平安時代に流行して……なんて覚えても、すぐ忘れてしまいます。子どもは、「そんな大昔の短歌や俳句なんかどうでもいい」と思っていますからね。
そこで「短歌と俳句を現代に置き換えたら、なんだろう?」と考えてみましょう。短歌はYouTube、俳句はTikTok。数分から数十分の動画YouTubeが広がることで生まれた、数秒~数十秒の短い動画プラットフォームのTikTok。短歌を集めるように命じた天皇はGoogle的存在、和歌や俳句で有名な人物は現代でいえば、ヒカキンみたいなインフルエンサー。こんなふうに、身近なことに置き換えるのです。
野菜を丸かじりするのが苦手な子でも、細かく砕いてカレーやハンバーグに入れると食べられますよね。勉強も一緒で、そのまま覚えるにはちょっと歯ごたえがありすぎると思ったら、「身近なものに置き換えて覚えられないかな?」と、ひと工夫すると頭に入りやすくなります。
残念な勉強法 第3位:物語として頭に入れない
物事を覚えるのに、物語の力を使わない手はありません。たとえば「桃太郎と一緒に鬼退治に向かった仲間はどんな動物か?」といわれたら、「犬、猿、キジ」とすぐ答えられるはずです。この「犬、猿、キジ」って、紙に何度も書いて覚えたわけではないですよね。でも、ちゃんと記憶されています。それは桃太郎という物語を聞くなかで、桃太郎がきび団子を犬、猿、キジにあげて仲間に加えていくストーリーが自然と頭に入っているからです。
このように、物語として頭に入れる方法は、暗記勉強の代表格、歴史を頭に入れるときに特に効果的です。
残念な勉強法 第2位:声に出さない
覚えてもすぐに忘れてしまう子は、覚える内容が書かれたテキストやプリントを、上から眺めるだけで、声に出していません。もちろん、暗記に入る前に共通点を見つけて、グルーピングなどの工夫ができないかと考えるのは合理的な考えです。でも、覚える段階に入ったら、黙ってじっと見て覚えようとするのは非効率的です。声に出しましょう。何回も声に出すことで、目だけでなくて、口、耳も使うことになります。身体の器官を多く使うほど、記憶に残りやすくなるものです。
声に出すことに加えて、さらに効果的な方法があります。それは、誰かに教えることです。塾講師が担当科目に精通しているのは、頭がいいからではなく、毎日生徒たちに教えているからです。教えることで、いちばん記憶が深まっているのは教える本人です。教える人がいなかったら、架空の誰かに教えるように声を出して、説明する。こうすると、黙って覚えるよりも、3倍記憶に残ります。
残念な勉強法 第1位:すぐ覚えようとする
覚えるのって、勉強において「最終手段」なんです。いくら工夫して覚えても、覚えたことは、結局そのうち忘れますからね。でも「理解」したことは、頭の中に残り続けます。だから、覚えてもすぐ忘れてしまう子は、「勉強=覚えること」という認識を、「勉強=理解すること」に改めるのが、勉強ができるようになる第一歩です。ただ覚えるだけの作業は苦痛ですが、理解するのはおもしろいですからね。
勉強していて、覚えた方がいいことに出会ったら、いきなり暗記に入らずに、どうにかして覚えないで頭に入れる方法がないかと頭を使うんです。
たとえば、日本の海流
・北から南に流れる親潮(千島海流)は寒流
・南から北に流れる黒潮(日本海流)は暖流
これらを頭に入れる必要があるとします。
・寒い北から流れるから寒流、地図だと上から下向きの流れ、上から目線で下のものに命令してくるのが親だから親潮
・暖かい南から流れるから暖流、暖かいと日焼けして黒くなるから黒潮
などと、理解とこじつけで頭に入れると、頭から抜けにくいです。
トップ校に進学する子の多くは、親に褒められるからとか、偏差値を上げて合格の可能性を高めるためとか、そんなことのために勉強してはいません。ただおもしろいから勉強するのです。勉強は最高のエンタメだということを知っているんですよね。
「勉強=理解すること」という認識になれば「勉強=楽しいこと」になっていきます。覚えるのは最終手段、単純暗記にしない方法を考えましょう。
ということで、今回は「覚えてもすぐ忘れる子」の残念な勉強法と、効果的な覚え方を紹介しました。覚え方を変えることで、苦痛でしかない暗記から、楽しい学びや本質的な理解へと変わっていくきっかけになれば幸いです。
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