損害保険

自転車保険入ったほうがいいの?火災保険に入っていても、自転車保険は必要?

多くの自治体で自転車保険へ加入が義務づけられています。そこで今回は、「加入義務のある自転車保険とはどんな補償なのか?」「火災保険に入れば、新たに自転車保険は必要ないのか?」などについて詳しい説明をします。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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年齢に関係なく乗れる自転車は、通勤、通学、買い物などの日常生活に欠かせません。そんな便利な乗り物の自転車ですが、歩行者との接触事故も多く、多くの自治体で自転車保険へ加入が義務づけられています。それを受け、自転車保険の加入を検討する人が増えています。

そこで今回は、「加入義務のある自転車保険とはどんな補償なのか?」「火災保険に入れば、新たに自転車保険は必要ないのか?」などについて詳しく解説します。
自転車保険に加入したほうがいいの?

自転車保険に加入したほうがいいの?

自転車保険の補償内容は、「個人賠償責任補償」と「傷害補償」、2つの要素を組み合わせたもの

自転車保険とは、自転車事故でケガを負わせた相手への賠償を補償する「個人賠償責任補償」と、自転車事故で受けた自分のケガを補償する「傷害補償」の2つの補償を組み合わせてパッケージ化したものです。

2つの要素が含まれた自転車保険で、とくに重視しなければならない補償は、相手への賠償(個人賠償責任補償)です。その理由は、自転車の事故で、死亡や意識不明などに至るケースが全国で起こったためです。「気軽に乗れる自転車でのケガがそんなに大きいの?」と考える方もいるかもしれません。実際は、自動車事故と同じくらい、深刻な事態を招きます。

自転車保険の加入義務化の背景「自転車事故の高額賠償事例」とは

まずは、実際に高額賠償になった事例を確認してみましょう。

(1)男子高校生と保険勧誘員による自転車同士の衝突事故
男子高校生が、朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性保険勧誘員(60歳)が運転する自転車と衝突。保険勧誘員は頭蓋骨を骨折し、9日目に死亡となりました。男子高校生への賠償金額は3138万円です(さいたま地裁:平成14年2月)。

(2)男子高校生と会社員による自転車同士の衝突事故
自転車運転中の男子高校生が車道を横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突。会社員は、言語機能の喪失、重大な障害を負うことになりました。男子高校生への賠償額は9266万円です(東京地裁:平成19年4月)。

(3)自転車で走行中の小学5年生と歩行者(62歳女性)の衝突事故
自転車で坂道を下ってきた小学5年生の少年と、歩行していた62歳の女性が衝突。62歳の女性が意識不明となりました。この事故では、小学生に対して、9520万円の損害賠償が請求されました(神戸地裁:平成25年7月)。

出典:兵庫県HP「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」内の、参考資料「自転車事故による高額賠償事例

自転車保険の加入が義務化された背景は、自転車の重大事故により、高額な賠償金が請求される事例が発生しているためです。

自転車事故に備えるために必要なのは「個人賠償責任保険」

このように、自転車事故を起こした場合、被害者が死亡したり、障害が残ったりすることが多くあります。請求される賠償額は、大きなもので約1億円となります。そこで、加害者・被害者の両者を守るため、自転車保険の加入が義務づけられました。

ただ、自転車事故を補償するために、必ずしも「自転車保険」に入る必要はありません。たとえば、すでに加入している火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約に、「個人賠償責任保険」がついていれば、すでに補償されているため、新たに自転車保険に加入する必要はないでしょう。

個人賠償責任保険とは、日常生活において、契約者本人とその家族が偶然な事故によって、他人を死傷させたり、他人の財産に損害を与えたりした場合に負う「法律上の損害賠償責任」について補償する保険のことをいいます。「日常生活における偶然の事故」には、自転車事故も含まれています。

もし、自転車保険の加入を検討するのであれば、まずは、火災保険や自動車保険の特約を確認して、個人賠償責任保険がついていない場合のみ、新たに検討するのがよいでしょう。

個人賠償責任保険、必要となる補償額は少なくとも1億円以上

先述の事例でもわかるように、自転車事故では5000万~1億円という高額な賠償額を請求されることもあります。

もし、こうした事故に備えるのであれば、補償額は少なくとも1億円以上を検討するようにしましょう。

個人賠償責任保険における「家族」の範囲とは

個人賠償責任保険の加入対象は、未成年、高齢者関係なく自転車に乗るすべての人です。個人賠償責任保険は、1つの契約で、家族みんなが補償されます。「家族」の範囲はどこまでになるのか一般的な事例で確認しておきましょう。

《例》夫が契約した個人賠償責任保険の補償範囲
(1)記名被保険者である本人=夫

(2)記名被保険者の配偶者=妻

(3)記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
親族とは6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。「おじいさん」「おばあさん」、「娘や息子」などは問題なく適用されます。

(4)記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子ども
子どもが大学に行ったり、就職して一人暮らしを始め別居したりの場合でも、未婚であれば補償されます。未婚とは、婚姻歴のないことをいいます。

なお、家族の範囲は保険会社によって異なることがありますので、個別によく確認するようにしましょう。

自転車保険を検討する際の注意点

実際、自動車保険や火災保険等の契約を確認してみると、個人賠償責任保険(特約)に加入していたということがあるのではないでしょうか。

ある方の事例では、火災保険の特約に2000万円の個人賠償責任保険がついており、「自転車保険の補償としては1億円が欲しい。個人賠償責任保険の特約付き火災保険とは別に自転車保険に加入し、残り8000万円分を上乗せしようか考えている」ということがありました。

2000万円と8000万円に分けて、2つの保険に加入した場合、賠償額1億円になると両方の申請が必要になり面倒です。新たに自転車保険の加入を検討するよりも、もともと加入していた火災保険の特約を見直し、個人賠償責任保険の補償額を2000万円から1億円に変更すればよいのではないでしょうか。保険会社に確認してみることをおすすめします。

まとめ

自転車保険に加入する際は、同居家族の誰かが、個人賠償責任保険にすでに加入していないかどうか確認しましょう。

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