50代はお金を貯める頑張りどころ
50代は最後のお金の貯め時
50代は子どもが独立して教育費から解放される方が多いでしょう。住宅ローンから解放される方もいるでしょう。収入(※)もピークを迎える時期でもあります。一方で、役職定年になると収入が2割減り、60歳で再雇用になると4割減るともいわれています。
したがって、50代は「最後のお金の貯め時」といえます。この最後の貯め時を逃すと、年金がもらえるようになっても、生活のために働かざるを得ないかもしれません。自ら働きたくて働くのと、働かざるを得ないのでは大違いです。
将来の収入減に備えて、早めに生活のダウンサイジングと同時に貯金を始めましょう。
※厚生労働省の2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況(P10)によると、世帯主の平均所得金額のピークは50代
50代からお金を貯める方法
一般的に、お金は自然に貯まるものではありません(仕事が忙しくてお金を使う時間がない方を除く)。また、「収入が多ければ必ず貯まる」というわけでもありません。なぜなら、お金というのは「パーキンソンの法則(※)」といって、あればあるだけ使ってしまうものだからです。
そこで、しっかりと貯める意思を持って、「収入>支出」のルールを守ることが大事です!
※【パーキンソンの法則】
第一の法則:仕事量は与えられた時間を使い切るまで膨張する
第二の法則:支出は収入の額と一致するまで増加する
さあ、次の3つのことから始めましょう。
1. 先取り貯金
先取り貯金とは、貯金の王道で、毎月のお給料から先に決まった額を貯金していく方法です。
最低でも収入の10~20%は貯金に回してください。貯金に回したお金は最初からなかったものとして、残りの金額で生活していきましょう。
さらに教育費や住宅ローンなどの支払いが終わったら、その分を貯金に回してください。子どもの手が離れ、配偶者も働き始めたら、あっという間に貯まることがあります。
なお、貯金ゼロから1000万円を貯める場合、ボーナスを併用せずに貯金するなら毎月8.3万円、ボーナス月10万円なら毎月6.7万円、ボーナス月15万円なら毎月5.8万円……それぞれ10年で約1000万円になります。
毎月の貯金の一部を税制優遇が受けられるiDeCoやつみたてNISAで運用すると、将来の退職金運用の練習にもなります。
表(利息の考慮なし)から、これなら自分にもできそうだという金額はありませんか?
2. 固定費の削減
固定費は一度見直すだけで、削減効果がずっと続きます。金額の大きいものから見直しましょう。
子どもが独立して家を出たら、コンパクトな家に住み替えるのもいいかもしれません。保険についても、教育費がかからなくなったのであれば、死亡保障の必要はありません。高い保険料を払い続けていませんか?
通信費は大手キャリア(docomo、au、ソフトバンク)なら格安料金プランへ、あるいは楽天モバイル、mineo、LINEMOなどの格安SIMへ変更するだけで大きく削減できます。
光熱費についてもいろいろな比較サイトを利用して、よりお得な会社への乗り換えを検討してください。
3. 使途不明金をなくす
使途不明金とは何に使ったかわからないお金のことです。コンビニでのちょこちょこ買い、使ってないカードやサブスクの料金、ATMの手数料など覚えていない支出のことです。ムダな支出が含まれている可能性がありますので、家計簿アプリなどを利用して、最低でも2~3カ月分の支出は全て把握してみましょう。使途不明金が見つかったら極力なくすようにしてください。
まとめ
2022年の敬老の日のニュースでは、65歳以上の高齢者人口は過去最多となり、総人口の約3割(29.1%)ということです。今後、日本の人口もどんどん減っていく予想があり、超少子高齢社会が進みます。公的年金制度の支え手である現役世代が減っていくと、制度が今のまま続かないのは間違いないでしょう。自分で老後のお金を準備するという自助努力も大事です。今回はゼロから1000万円貯める方法についてみていきましたが、60歳で退職金が入ってくる方も多いでしょう。50代のうちから資産運用に慣れ、退職金も上手に運用できれば、お金をさらに増やすことができます。
50代から準備することにより、老後破産することなく、自分の寿命よりも、お金の寿命を長く伸ばすことができるということになります。
人生は一度きりです。しっかりと老後のお金を準備して、セカンドライフを思いっきり楽しみたいですね!
文:辻村洋子(CFP(R)認定者・1級FP技能士)
損保会社を定年退職後、ファイナンシャルプランナーに。「お金は人生を豊かにするためのもの」をモットーに、セカンドライフを充実させたい人への家計改善、老後資金の準備、遺言・相続などに関する相談を得意としている。お金の寿命をのばす専門家として相談者の不安や悩み相談を受けている。