「就職氷河期世代」とは1970~1982年頃に生まれた人
氷河期世代(ロスジェネ世代)というのは、1970~1982年頃に生まれ、2022年時点の年齢は40~52歳の人をいいます。この世代が就職活動をした1993~2004年頃は、就職氷河期といわれています。理由は、1991年3月から1993年10月にかけてバブル経済が崩壊し、景気が大きく落ち込んだため、企業は正社員ではなく、雇用調整のしやすい非正規雇用(※)を多く採用したからです。つまり、氷河期世代は、正社員として働きたいと思っても、非正規雇用として働かざるを得なかった人が多くいる世代なのです。
※非正規雇用とは、正社員以外の働き方をすべて指し、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員、臨時社員、嘱託社員などのこと
今回は、氷河期世代の人たちの、老後の資金準備について考えます。
ロスジェネ世代は「老後のお金」をどう準備すればいい?
氷河期世代に多い非正規雇用が抱える問題
氷河期世代にはどのくらいの非正規雇用がいるのか、「労働力調査基本集計(2018年平均)」に基づき内閣府作成内閣府が2019年に発表した「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」で確認してみましょう。2018年の時点においては、就職氷河期世代の中心層となる35~44歳(2022年時点では39~49歳)は、約1689万人います。そのうち非正規雇用は、約25%の371万人となっています。非正規雇用が抱える問題には、以下の3つがあります。
・雇用が不安定であること
正規雇用と比べ、雇用調整の対象となる傾向にあります。
・低賃金であること
正規雇用に比べ、低賃金となる傾向にあります。
・職業キャリアの形成が不十分であること
正規雇用と比べ、能力開発の機会が不足する傾向にあります。
これらの問題から、非正規雇用で働き続けていると、スキルの蓄積が得られにくく、もし転職しようと考えても、培ったスキルが限定的であれば、社会的に評価されにくい場面に遭遇することもあるでしょう。
その結果、正社員を希望していながら、その機会が与えられない「不本意非正規雇用」となるケースが多くなります。先述の「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」でも、371万人の非正規雇用のうち、不本意非正規雇用で働いている人は50万人という結果になっています。
就職氷河期世代、老後資金の問題を解決するためには?
さまざまな問題が重くのしかかる40代の就職氷河期世代にとって、老後資金に対して問題があると感じていても「対処する余裕なんてない……」というのが本音なのではないでしょうか。しかし、老後は誰も避けて通ることはできません。「ムリだから」といって、問題を先送りしても、さらに問題は大きくなるばかりかもしれません。老後が近くなって問題が解決できないほど大きくなることを防ぐために、まだ時間のある今のうちから解決策を考えましょう。
自分の経験を棚卸し、まずは収入アップを目指してみましょう
老後資金を準備するには、毎月、貯金する必要があります。しかし非正規雇用で、そもそもの収入が少ないのであれば、なかなか余力となる資金の捻出が難しいこともあるでしょう。その場合、まずは収入を増やすことを考える必要があります。今まで約20年間で、いろんな面で積みあがった経験を活かしつつ、付加価値のつく資格取得にトライしてみるなど、スキルアップにつながる可能性を検討しましょう。また、イラストなどの絵を描くこと、写真を撮影すること、手芸で作品を作ること、料理をすることなど、趣味などでの得意スキルがある人は、それを人に教え対価を得ることも考えてみましょう。さらに、自身の作品を、ネットなどで販売して収入を得ることも可能性としてあります。「自分の中に、社会に役立つものがあるはず」という気持ちで、自分自身の経験を棚卸してみると、収入が増えるキッカケを見つけ出すことができるはずです。