怜人は見どころ満載の男です
――完成した映画を観た感想は?菊池:僕はやはり男性目線で観るので、さっきもお話ししたように、男性の登場人物のいろいろな感情が理解できました。でも、彼らの嫉妬や甘えの感情は、普通は表に出すものではないのに、彼らは出しちゃっているから「おいおい、そこは言っちゃダメだろ!」と、心の中でツッコミを入れていましたね(笑)。
正直、自分の心の嫌な部分を見られているような気もしましたが、そんな男たちを愛してくれる女性たちは、まさに超越した存在。「ありがとう!」という気持ちです。 ――ご自身の演技については? 「ダメ男になりきれているな」とか、思うところはありましたか?
菊池:怜人の見どころはたくさんあります! 「そんな格好でそんなこと言う?」みたいな面白さとか、真面目に理不尽なことを言ったり、論理が破綻していたり……。あそこまで突き抜けちゃうと「クズだな~」と笑って言える。どこか憎めないキャラクターになっていると思います。
お客さんの反応が気になってドキドキする日々
――菊池さんは、バラエティーやドラマ、映画、Sexy Zoneとしての活動など、多方面で大活躍ですが、仕事の幅が広がったなと思うところはありますか?菊池:いろいろなお仕事をさせていただいていると思っています。バラエティー番組に出演している僕を見て、映画やドラマの依頼をしてくださる方が意外といたり、一方で、舞台を見て、バラエティー番組の仕事を依頼してくださる方もいたりして、そんな風につながるものなんだと。芸能界は面白い世界だと改めて思っています。
そうやって、いろいろなつながりから僕の仕事の幅も広がっていっているので、活動範囲が広がったという自覚は芽生えています。
――そうやって活躍の場を広げていって、新たに感じたことなどはありますか?
菊池:バラエティーや舞台は、観客の皆さんも含め、周りのリアクションがすぐに得られるので、うまくいったとか、イマイチだったとか、手応えを瞬間的に感じることができるのですが、映画やドラマは、監督のOK以外リアクションが分からないから、どうなんだろうと、どこか気持ちがフワフワしますね。
特にこの映画では、クズ男の役だったので、これで芝居ができていなかったから目も当てられないなと……。自分ではできたと思っているけど、お客さんの反応が気になりますし、今でもドキドキしています。
もっといろいろな映画の撮影現場を体験したい
――この映画で2作目ですが、この経験を経て、映画への出演欲が生まれたりしましたか?菊池:もっと映画に出演したいと思いました。ドラマも好きなんですけど、映画とドラマでは、やはり作り方が違うんですね。特に連続ドラマは、タイトな時間で動いているので、時間との勝負みたいなところがあります。でも映画は、時間より現場で何が撮れるかが最優先。だからドラマとはスケジュールの組み方が違うと思いました。
また、映画の撮影はどんな画が撮れるか、どんな表情を捉えることができるかというのにフォーカスしていて面白い。僕は映画の経験が浅いので「他の映画の現場はどうなんだろう」と興味が沸きましたし、いろいろな映画の現場を経験したいです。 ――『もっと超越した所へ。』は個性的な俳優さんたちが多く出演していますが、印象に残ったことはありますか?
菊池:脚本の読み合わせを、それぞれのエピソードに出演している2人ずつでやったのですが、僕と前田敦子さんの前に、オカモトレイジさんと伊藤万理華さんが本読みをしていたんです。それが聞こえてきたのですが、伊藤さんがセリフを絶叫していて、それにすごくビビったことが印象に残っています。本読みのときからトップスピードで臨んでいるんだなと。僕は本読みでの演技が恥ずかしいタイプなので、刺激になりました。
いつか男くさいアウトローの役を演じたい!
――恋人役の前田敦子さんとの共演はいかがでしたか?菊池:僕が抱いていたイメージとちょっと違ったかもしれません。静かな雰囲気をイメージしていたんですが、すごく気さくで積極的に話しかけてくれて、親しみやすい人でした。今度共演するときは、恋人というより友達みたいな関係で共演したいです。前田敦子さんのフレンドリーな感じをお芝居で見たいなと思いました。 ――映画で「こういう役を演じたい」という願望はありますか?
菊池:アウトローみたいな役がいいですね。男くさい感じの。ドラマではやらないようなキャラクターを映画で演じてみたいです。
――では最後に、『もっと超越した所へ。』を楽しみにしているみなさんにメッセージを。
菊池:人間の弱いところが描かれている作品で、この映画を観て「自分にも心当たりがある」という瞬間に遭遇する方もいると思います。特に恋愛面においては、他の人には理解されなくても「ふたりで得られる満足感と幸福感があるよね」ということが描かれています。
ダメ男ばかりが出てきますが、意外と自分も相手も許せるような、結構スッキリ、スカッとできる映画です。そんな素敵な映画をぜひみなさんに観ていただきたい! よろしくお願いいたします。
取材・文/斎藤 香
菊池風磨(きくち・ふうま)さんのプロフィール
1995年、東京都生まれ。2011年にSexy Zoneとして「Sexy Zone」でCDデビュー。アーティスト活動をしながら、バラエティ番組「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」(フジテレビ)での体当たりチャレンジや「ニノさん」(日本テレビ)での軽妙なトークで人気を博す。ラジオ「Sexy ZoneのQrZone」(文化放送)のパーソナリティーを務め、ジャニーズ公式YouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」にも出演している。近年の主な出演作は、ドラマ『イタイケに恋して』(2021/日本テレビ)『ファイトソング』(2022/TBS)のほかに、舞台『HAMLET―ハムレットー』(2019)、2年連続で主演を務める舞台『DREAM BOYS』(2021、2022)などがある。
映画『もっと超越した所へ。』
2022年10月14日(金)公開監督:山岸聖太
原作・脚本:根本宗子
出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
(C)2022『もっと超越した所へ。』製作委員会
【あらすじ】
デザイナーの真知子(前田敦子)は、怜人(菊池風磨)とひょんなことからお付き合いすることになります。積極的な彼は彼女の家に転がり込み、なし崩し的に同棲へ。しかし、怜人は典型的なヒモ男で、生活は全て真知子に頼りっぱなしで働こうとしません。突然プレゼントをくれることもありますが、どこか恩着せがましく……。やがて、真知子はふたりの関係に違和感を覚え始めるのです。