“ダメ男”との恋だけど、ふたりの世界は幸福かもしれない
――怜人と真知子の恋人関係については、どのような解釈をしましたか?菊池:真知子の方が怜人より、少ししっかりしていて大人です。一方、怜人は子どもっぽい。真知子は、その子どもっぽさも愛おしいと思っていたのではないかと思います。
――菊池さん自身の恋愛観とは全然違いますか?
菊池:僕とは全然違います。でも、怜人と真知子にとって、ふたりの関係は理想郷。側から見ると「生活の全てを真知子に頼って、彼女はクズな男に捕まっちゃったな」と思われるのは火を見るより明らかですが、真知子は怜人に精神的に支えられているのではないかと思うんです。
怜人のダメさを感じつつ、「でもこの関係、心地良いからいいかな」というような。すごく閉鎖的だけど、彼らなりに幸せなのかもしれません。 ―なるほど。怜人と真知子は、他人が口出ししたくなるような関係だけど、ふたりが満足していれば、それでいいわけですからね。
菊池:恋愛の本質的なところを描いているのかなと思います。当事者同士は満足しているのに、周りから否定されたり、叩かれたりすることはあるじゃないですか。この映画を観たら、皆さんもあれこれ言いたくなるはず。「あんな男はクズだ」「あり得ないでしょ」とか。でもふたりはこの関係で幸福だと思います。
女性に思い切り甘えるという普段できないことをやりました!
――山岸聖太監督からは、どのように演出されましたか?菊池:どうしようもない男だけど、かわいげは残したい。どこか許せちゃうような、女心をくすぐるかわいさや弱さを見せてほしいという話がありました。今回は、かっこよさを追求するのではなく、いかにかわいく魅力的に見せていくかにポイントを置いて、監督と話し合いながら、怜人を作っていきました。 ―演じているときはどう考えて演じていたのでしょうか?
菊池:もう甘えられるだけ甘えてしまおうと思っていました(笑)。もともと僕自身は甘えるタイプじゃないんですが、これは役だし、仕事だからこそ、相手に甘えられるというか。普段できないことをやっていく面白さがありました。
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