温泉/温泉を楽しもう

温泉の基礎知識(2ページ目)

温泉という言葉が意味するものは、実は非常に広範囲です。お湯自体の意味だけではなく、温泉地や温泉宿、そして独特の風情や文化まで含めて、温泉なのです。ここでは温泉を、改めて広く深く考えてみたいと思います。

藤田 聡

執筆者:藤田 聡

温泉ガイド

掛け流しが大切な理由

温泉
掛け流しは手段であり、泉質を楽しむ事こそが目的
「掛け流し」とは、お湯を循環させずに、湯口から常に新鮮な湯を投入し、湯船から溢れた湯を再利用しないことです。お湯を再利用しない限り、加熱や加水は問いません。それに対して循環とは、湯船の湯をろ過して再利用することです。

最近になって掛け流しという言葉が、広く一般に通じるようになりました。これは非常に画期的なことです。それまでは、掛け流しの重要性を説き、理解してもらうだけで一苦労だったのが、それが当たり前になり、その先にある温泉に関して本当に大切な話を、いきなり始められるからです。

五感を総動員して温泉の泉質を楽しむこと、その重要性は既に述べた通りです。しかし、それには前提があって、温泉の湯が再利用されていないこと、掛け流しであることが必要なのです。

例えば、泡が付く温泉の場合、それが天然のものであれば、地下の地質の神秘に思いを馳せ、太古のロマンを感じることができます。しかし、温泉をろ過し再利用すれば、その泡も失われてしまうのです。循環後でも、すべすべ感など、いくつかの要素は残る場合がありますが、そうした人工的な手の加わった湯から、感得すべきことは少ないのです。

このように、温泉にとって泉質を楽しむ事が一大事であり、楽しみの中心であると考えれば、「掛け流し」の重要性は実に当然のことなのです。一方で、掛け流しはあくまで手段であり、目的は泉質を楽しむ事だということも、忘れてはなりません。

温泉の様々なタイプ

温泉
自分に合った温泉のタイプやジャンルを探し出そう!
「掛け流し」の重要性を指摘しましたが、もちろん循環では全然駄目だと言っている訳ではありません。既に述べた通り、温泉とは実に多用な意味を持ち、そのタイプやジャンルも様々です。そうした中で、特に高級な温泉宿に循環の風呂が多いのも、また事実です。完璧な温度管理と、完璧な衛生管理を追及した結果として、宿のポリシーとして循環を採用しているのです。そうした在り方も、一つのタイプでありジャンルであると言えます。同じ温泉でもタイプやジャンルの違いにより、価値観まで違うので、自分に合った、自分が本当に求めている温泉のタイプやジャンルを知ることが重要になります。

他に、極端なタイプとして、野湯と呼ばれるものもあります。山奥で自然に湧いているだけのお湯に浸かろうというものです。有名な場所では立派な湯船のようになっている場合もあり、一般の温泉好きでも楽しめることもあります。しかし、山の知識や装備が必要な場所も多いので、野湯に精通した方と一緒に行くべきです。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます