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55歳には始めたい「定年準備」を人材コンサルが解説

人生100年時代といわれる今、定年は人生の折り返し地点。現状多くの組織では、60~65歳で定年を設定していることが多い。いずれは70歳まで定年年齢が引き上げられていくだろうが、まだそれには少し時間がかかりそうだ。

会社によるが、定年年齢を迎えた後も、雇用延長であと数年間同じ組織で働き続けることが既定路線になっている職場もあるだろう。実際、多くの人がそれを見越しているはずだ。

健康寿命は高齢化し、まして昨今の物価高などを見る限り、長生きするリスク(嫌な言葉だが)が注目を集めるようにもなってきていることを考えれば、どの世代であっても定年準備はしっかりと考えておく必要がある。特に、自分の年齢を55歳から差し引いてみたとき、その年数がプラスマイナス1桁になった人は定年準備を始める適齢期にあるといえよう。定年後の働き方準備について、人材コンサルタントが解説する。
 

仕事を辞めるための定年準備と仕事を続けるための定年準備がある

まず定年準備は、定年年齢を迎えたときに仕事を辞めることを決めている場合と、定年年齢を迎えた後も仕事を続ける場合の大きく2つに分類できる。

最初に「仕事を辞めるための定年準備」について注目しよう。長い年月にわたって働き詰めであったことから、定年後は悠々自適な生活をしたいという人は一定数いる。これまで、時間に余裕のある旅行をしたことがない、好きな趣味に十分な時間をかけられなかった、スローライフを送ってみたい、家族と過ごす時間を増やしたいなど、人それぞれ理由はある。

実際、肉体的にも精神的にも若さをまだ実感できるのが60代。この選択を求める人の場合、それなりに貯蓄があり、まさに「やりたいことリスト」を準備できている人もいる。ただ、この場合でも注意は必要だ。

たとえば、「定年後にやりたいことリスト」の上位に位置する海外旅行は、定年してから始める人には、体力・気力的な面で意外にハードルが高く、あまり長くは続かないことが多い。最初の頃に予定以上に散財しすぎて、途中から資金不足になる人もいる。たとえばちょっと贅沢してビジネスクラスで旅をしてみた、一流ホテルに泊まってみた、というのは楽しい経験だが、一度それを経験すると、その後も同様なサービスを求めるようになる。よほど資金的に余裕がない場合、資金が枯渇してしまって当初の旅行計画を変えざる得ないことになる場合もある。

趣味も同じで、こちらは体力的な問題はあまりないが、それまでの長い人生で趣味だけに多くの時間を没頭したという経験がない場合、突然趣味だけに毎日長時間没頭することができないという人も多い。

つまり、「仕事を辞めるための定年準備」にとって一番大切なことは、定年までの残された期間(理想は直前の10年間、足りなくても長ければ長いほどいい)、定年後の生活を具体的にイメージして、少しずつ生活スタイルを調整していくことである。

まだ定年はしていないが、以前よりも海外旅行に行く回数を増やすこと、そして趣味に充てる時間も意識して伸ばしてみるのである。定年まで我慢に我慢を重ねて、定年したら一気にはじけて好きなことをするという計画ではなく、少しずつ感覚を慣らしていくことが大切なのだ。実際に経験してみれば、気づくことは多いものだ。そうすれば定年後の計画案を正しく修正もできる。海外旅行や趣味に没頭する生活が本当に自分にはできるのかどうか、これは定年前に長い時間をかけて自ら検証してみる価値がある。

そうでなければ、テレビを惰性で1日中つけたままにして、家にじっと閉じこもるような日々が定年直後から始まってしまうかもしれず、そうなってしまってからもとの生活リズムを変えていくことの難易度は高い。定年後の生活を充実させたい人は、十分に「仕事を辞めるための定年準備期間」を設けて、定年を迎えた時に劇的な変化が起きないようにするといい。
 

「仕事を続けるための定年準備」に必要な3つの新しい発想

いずれ定年を迎えた後も仕事を続けたい、そう考える人は日に日に増えているのではないか。健康であることが前提になるだろうが、今の60代や70代を見ていると、明らかに元気で活発な人が多いことに気づかされる。

では定年後も仕事を続けることは本当に可能なのか。これはうまくいく人とそうでない人、明暗がはっきりと分かれるようだ。IT化やAIの活用などで、多くの業種で働き方に変化が生まれ、それに必要とされる経験やスキルも変化している。何が明暗を分けているのか。「仕事を続けるための定年準備」に必要な発想は主に3つある。

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