ハンディファンで注意すべき危険な使い方……熱中症リスクが高まることも
暑さ対策として手軽に使えるハンディファンだが、使い方によっては逆効果となることも
暑い時期の屋外での運動や活動時に、ハンディタイプの扇風機(ハンディファン)を使用している人をよく見かけます。うちわや扇子などは常に自分で手を動かさなければなりませんが、ハンディファンはスイッチをつけるだけで自動的に送風してくれるので、手軽で便利な暑さ対策グッズと言えるでしょう。
ところがこのハンディファンは使い方を誤ると、熱中症を引き起こす一因となることがあります。暑さ対策のために用いるものが、なぜ逆効果になってしまうのでしょうか。
1. 汗による体温調節機能を妨げる
私たちの体は外気温に左右されないように体温を一定に保つ機能が働いています。暑さを感じると汗をかいて体温を下げようとしますが、これは汗が蒸発するときに体の熱を奪う気化熱によるものです。ところがハンディファンを使用していると、汗をかいても体内にこもった熱を奪う前に蒸発してしまうため、体温調節としての機能が果たせなくなります。体温を下げる手段が妨げられると体に熱がこもり、熱中症のリスクが高まることになります。
2. 高温の風による影響
外気温が35℃を超え、湿度が低い空気が乾燥した状態の時にハンディファンを使用すると、送られてくる風もまた35℃の温風が体に吹き付けられることになります。首元には大きな動脈(頸動脈)があるため、そこに温風をあてると温められた血液が全身を巡ることになります。体温に近い温度の風にあたりつづけ、汗による体温調節が働かない状態では体に熱がこもってしまい、熱中症を引き起こすことが考えられます。
3. 特に注意すべきベビーカーへの使用
子どもの暑さ対策としてベビーカーにハンディファンを取り付けている光景も見られますが、こちらも使い方には十分に注意する必要があります。もともと子どもは身長が低く、地面からの照り返しによる輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすいといわれています。ベビーカーも同様に大人よりも地面に近いところに位置するため、大人が感じる以上に暑さの影響を受けやすく、ハンディファンによって温風が体にあたりつづけると知らない間にグッタリとしてしまうことも考えられます。ベビーカーで使用する場合は至近距離から風を送るのではなく、日陰をつくり出す幌(ほろ)の先端やハンドルなど高い位置から涼しい空気を送るようにしましょう。
ハンディファンで安全に暑さ対策! 濡れタオルやミストとの組み合わせが効果的
暑さ対策としてハンディファンを使う場合、濡れタオルやミストなどと組み合わせることが勧められています。濡れタオルを首元に巻いておけば、水が気化熱によって体温を下げる役割を果たします。スポーツのシーンであれば濡れタオルを首元に巻いてもさほど不自然ではありませんが、日常的に使う場合であれば、携帯用のスプレーボトルに水を準備しておき、ミスト状にして顔や体に直接吹きつけてからハンディファンを使うのも良いでしょう。ハンカチに吹き付け、それを繰り返し顔や首元にあてながら使う方法も同様に体温調節に役立ちます。
暑い時期は少しでも涼をとるためにハンディファンを使いたい機会もあると思います。今回ご紹介したように、使い方を間違えるとかえって逆効果になってしまうことも考えられるため、まずは正しい使い方を押さえましょう。歩きながら使うときには周囲への配慮を忘れずに、適切にうまく使って、暑さ対策に役立ててください。
■参考
・熱ゼロ研究レポート:日差しを遮るシェードの効果は?(「熱中症ゼロへ」プロジェクト・一般財団法人日本気象協会推進)