ご近所で起こる掃除トラブル3選……音・におい・衛生
ご近所トラブルを招く「におい」
けれども、ごく近く、時にほんの一枚の壁を挟んだ程度の距離に他人が暮らしているような住まい環境では、多かれ少なかれ何らかの影響……「迷惑」を及ぼしてしまいかねないことを、念頭に置いておく必要があります。
掃除がらみのトラブルに発展しやすい【音】【におい】【衛生】。
今回はこの3つのポイントを中心に、他人への迷惑回避の方策を考えてみたいと思います。
掃除トラブル1. 「音」の迷惑
掃除に関する騒音問題の代表例といえば「掃除機」によるものでしょう。ポイント1. 騒音問題の“意外”な原因
ウィーン、キーンという高音域のモーター音に加え、キャニスタータイプ(吸入ヘッド、ホース、本体の三部分で構成され、コンセントを使用するタイプ)の掃除機の場合には引きずり回すゴロゴロといった車輪音が他の家まで響き、しばしば問題になります。
また、作業音自体はさほど大きくないはずなのですが、「ほうき」を使う音、「フローリングワイパー(フローリングモップ)」や「粘着シート」の使用でも、「うるさい」という苦情が出ることがあります。
その他、あまり日常的にではないにしろ「高圧洗浄機」もモーター音、放水音、共になかなかの音量を伴い、クレームの元になることがあります。
大きな音の出る、大がかりな掃除道具は往々にして大掃除などの気合を入れた掃除のときに使用することが多いもの。ついつい徹底的に掃除したいという思いから長時間使用になりやすい(うるさい時間が長引く)という点も、トラブルの火種になりがちです。
音の問題は、戸建か集合住宅か、木造か鉄筋コンクリートかといった住まいの構造自体の違いにも左右されるところが大きく、音を感じる人の感受性にもより、なかなかクリアカットな判別がつきにくいのも問題をややこしくしています。
ポイント2. 騒音トラブルの回避策
いずれにしろ「他人」に影響を及ぼさないためには、「早朝と深夜には絶対に掃除の作業をしないこと」「作業中にはなるべく窓を開けないこと」が、地味ながらも効きます。
まあ窓を開けないようにとはと言っても、もちろん「換気」は大切なことですし、欠かすことは現実的ではありません。ですので、音の出る作業がすべて終わった後のタイミングで窓を開け、換気を行うというのがポイントです。
実のところどんなに強力に吸引し掃き清めても、その作業中に微細なホコリが部屋の空気中に舞い上がることは避けられません。
その舞い上がったホコリを家の外に出すためには、「掃除中に窓を開けておき、終わったらすぐ閉める」というのはむしろ悪手だということは覚えておくといいでしょう。
とにかく音の出る掃除作業はできるだけ「短時間」で済ます意図をもつことも大切です。
長時間に及ぶ大掃除、特に業者に依頼するような作業の際には、集合住宅なら面倒でも管理組合に予告、掲示してもらうほうがトラブル回避になります。ご近所にもひとことご挨拶できればなおいいでしょう。
掃除トラブル2.「におい」の迷惑
ベランダや家の裏からなど漂う一時置きの「生ゴミ」の臭いなどは最たるものですが、掃除絡みで近年無視できないのが暮らしの生活臭漏れというものです。ポイント1. 無視できない「生活臭」の漏れ
よその家から漂う「柔軟剤」「芳香剤」「お香(お線香)」のにおいのせいで、食事や日常生活が不快になったり、人によっては心身の健康を害してしまうほどのダメージを受けてしまう、これは深刻な問題です。
生活臭は窓を開けての自然換気や、洗濯物の外干しなどで漏れ出るのみならず、キッチンやトイレ、浴室などの換気扇から日常的に排気される際にも出てしまいます。
たとえば自宅をヤニで汚さないためにキッチン換気扇の下でタバコを吸う人がいます。それがダクト経由でベランダに排気され、ご近所に流れ、その臭いに悩まされているなどというようなこともよくあることですが、良かれと使う香料臭もタバコに勝るとも劣らぬダメージを与えてしまいかねないという認識が必要なのです。
ポイント2. においは物理的に“くっつく”可能性も!
においは目にこそ見えませんが、鼻で感知できる時点でにおい分子として存在しており、隣の洗濯物の柔軟剤臭がうちの洗濯物にまで物理的に「くっついてしまう」ようなことも起こり得ます。
玄関などであれ強いにおいの発生するものは漫然と長時間使用(放置)しない、スプレー等で使っても短時間で切り上げる、また定期的に生ゴミのみならずゴミは捨て、においが発生するほど溜めこまない、過剰な芳香剤を使いたくなるほど悪臭を発するカビや菌を生やさない、などの「におい」視点での心がけを、個々が持ちたいものです。
これらはひいては自分自身の健康を、一番守ることになるはずです。
掃除トラブル3. 「衛生」の迷惑
今日日わが家の衛生状態を最も危惧してしまうときというのは、どんなときでしょう?寝ていてダニに噛まれる、ひっきりなしにゴキブリを発見してしまう、海外旅行でナンキンムシを連れ帰ってしまい毎晩刺され放題に、ペットにノミが大発生してしまった、などなど、明らかな「害虫発生」の折など、特に切羽詰まった感を抱くのではないでしょうか。近年の都市部では、さらにネズミの発生も衛生上、深刻です。
ポイント1. 害虫の「避難」場所
そんなとき大活躍する、殺虫・忌避成分を強力に住まいの隅々に広げる「燻煙剤・燻蒸剤」。使ったことがある人は思い当たるかと思いますが、「煙」の状態で薬剤が行き渡るため、その効果は非常に強力です。
そうして、確かに「わが家」からは害虫が駆逐される……のかも知れませんが、その虫の一部が家の外、ご近所に「遭難」「避難」してしまうことがあります。
ご近所の立場からするとこれまで全く出なかったゴキブリが、よそで燻煙剤を使った後、突然家に現れ出す、などということもまま起こるのです。
ポイント2. 害虫駆除で大事なこと
必要に迫られ、自宅で「燻煙剤・燻蒸剤」を使う際には、家全体の窓を閉め切り、換気扇も止め、きっちり部屋を密封するかたちで成分を隅々に行き渡らせることが大切です。
ただその際、可能な限り、軒下や廊下などに飛び出た虫の死骸の始末は自分で行いましょう。また燻煙剤を使った後は換気が必須ですが、その際にはなるべく短時間で効率良く風を流すようにしましょう。
人に「迷惑」をかけないために
昨今、人の働き方やライフスタイル、価値観は多様化し、戸建であれ集合住宅であれ「隣は何をする人ぞ」となってしまいがちです。とはいえ自分の暮らしを不必要に詮索されたくない、自分のプライバシーを大事にしたいのであれば、それと同じくらい他人のプライバシーも守られなければならなりません。生活時間や暮らしの優先順位の違いは、お互いが自由であるほど生じてしまうもの。その摩擦の上に浮かび上がる「迷惑」を、「人それぞれ」「お互い様」と、許しあえるか否か?
最低限の【音】【におい】【衛生】のポイントに留意しつつ、それぞれの快適な生活をお互いに維持して行けるとよいな、と思います。
【関連記事】