年金の繰下げ受給の増額率は、最大で84%にも?
公的年金である老齢基礎年金・老齢厚生年金は、65歳から受け取ることが可能ですが、もらう時期を繰り上げる、または繰り下げてもらうことも可能です。公的年金の支給は、原則として65歳からですが、65歳を待たずに60歳から65歳になるまでの間に年金の受給を開始することもでき、これを「年金の繰上げ受給」といいます。
ただし、繰上げにより、65歳よりも前に年金をもらい始めたときには、年金受給額は最大で24%減額(昭和37年4月1日以前生まれの人の減額率は最大30%)されることになっています。65歳を迎えた後も、減額率は一生涯変わりません。
一方、65歳で年金をもらわない場合は最長で75歳になるまで年金を繰下げすることができます。75歳まで繰り下げた場合は、もらえる年金額が最大で84%増額されることになります。この増額率も生涯続きます。
増額率とは、0.7%×65歳に達した月から繰下げ申し出月の前月までの月数で計算できます。
単純に、65歳でもらえる年金額が10万円の人が10年繰下げ受給を選んだ場合の年金受給額は、18万4000円となります。
もし、65歳以降も定期的に収入があり、65歳の時点で公的年金をもらわなくてもよいのなら、繰下げ受給を選ぶだけで、一生涯、年金の増額率をアップすることができます。ある意味で確実な金融商品と、とらえることもできます。
ただし、昭和27年4月1日以前生まれ、もしくは平成29年3月31日以前に老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取る権利が発生している人の場合は、繰下げの上限年齢が70歳までのため、増額率は最大で42%ですので注意してください。
元気で働き続けることも、ひとつの資産運用ともいえる?
年金を75歳までもらわないなんてあり得ないと思うかもしれませんが、1年だけ繰り下げても十分に効果はあり、12カ月繰り下げて、66歳からもらい始めたときの増額率は8.4%になります。ちなにみ、68歳からは25.2%、70歳からは42%の増額率となっています。近頃では60歳以降も再雇用やアルバイト等で働く人が増えていますので、元気で働けるうちは働いて収入を得ておくのも大事です。年金を受け取るタイミングを繰り下げるだけで、増額率は一生涯続き、長く生きれば生きるほど、もらえる年金の総額が増え、大きなリターンが得られるともいえます。
健康を維持しながら働くことが老後資金不足を解消するための方法のひとつと、覚えておいてください。
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