話し方・伝え方

丸投げ・気分屋・育成能力ゼロ……5つの「理不尽上司」別、上手なかわし方

皆さんの職場に理不尽な上司はいるでしょうか。よくある5つのタイプの上司がやりがちな具体例と、上手なかわし方について解説します。ストレスが溜まりすぎると心身に不調をきたしてしまうこともあります。対処法を確認しておきましょう。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

2022年4月から「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」がすべての企業で義務化になります。あからさまなパワハラは減ると思いますが、理不尽な上司がいなくなるまでにはまだ時間がかかりそうです。どんなケースがあるのか。よくあるケース5選と対処法をご紹介します。
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理不尽上司に耐えるだけの時代は終わりました

 

理不尽上司ケース1)指導放棄の「丸投げ上司」

「部下に任せる」というと聞こえはいいですが、指導やフォローがまったくない場合は「丸投げ上司」といえるでしょう。

なんでも自分で調べてやってみたいタイプの人やベテラン社員とは相性がいいものの、まだ仕事に慣れていない人の場合、なかなか大変な相手となります。なかには、質問をすると「そのくらい自分で考えろ」と、指導放棄を棚にあげて怒りだす人もいるので注意したいところです。

このタイプの上司の場合、上司が思っていたのと違う形で仕上げてしまうというトラブルが起こりやすくなります。

【対処法】
対処法としては「理解の確認」という形で質問をすることです。仕事に取りかかる前にあれこれ質問すると怒ってしまうタイプの場合には、途中経過を報告しながら、方向性のすり合わせをするのがいいでしょう。
 

理不尽上司ケース2)評価基準がブレブレの「気分屋上司」

「早く仕上げるのがいい場合」「丁寧に作り込む方がいい場合」など、評価は状況によって変わることがあります。しかし、あまりにも評価基準が曖昧で、自分の気分で変えてしまう気分屋上司はいませんか?

「こういう仕事が評価されるだろう」と努力しても、気分で評価が変えられてしまうと徒労感が募ってしまいます。人あたりがよくても部下にストレスを与えるという意味では迷惑度が高い部類といえるでしょう。

【対処法】
このタイプの上司には、言質を積み重ねていく自衛策がおすすめです。「先日ご指導していただきました〇〇を反映しまして」など、あなたの指示でこうなりましたということを他の人にもわかるように伝えていきましょう。

そのためにも、いきなりできあがったものを見せるよりも、進捗状況の報告をして、意見をもらうようにするのがいいでしょう。完成した場合には、「部長のおかげでクオリティがあがりました」といったお礼の言葉でダメ押しをします。自分の指示があったことに気づいてもらうことにより、気分で評価を変えられてしまうというトラブルを減らすことが期待できます。
 

理不尽上司ケース3)優秀なことが裏目に出る「育成能力ゼロ上司」

さまざまな実績を持つ優秀な上司なのに、できない人の気持ちがわからないため部下を育てるのが下手という人もいます。このタイプの上司には、いわゆる「いい人」が多いです。

しかし、自分はあたりまえにできてしまうが故に指導のプロセスがわからないので、部下は苦労するかもしれません。つまずいた経験も少ないので、壁にぶつかった部下に「気合いで」といった精神論での指導をしたり、「お前ならできる」という根拠のない楽観的なアドバイスをしたり、指導の仕方が雑になりがちです。

【対処法】
このタイプの上司には、指導を期待することよりも、困ったときに具体的な相談をして手を貸してもらうのがおすすめです。「どうしたらいいでしょうか」という質問に答えるのは苦手でも、「納期の交渉に一緒に行ってもらえないでしょうか」といったことなら得意な人が多いはず。具体的なトラブル対応では、頼もしさを感じるはずです。
 

理不尽上司ケース4)叱りと怒りを混同する「直情型上司」

「仕事は厳しいのがあたりまえ」とばかりに怒鳴り散らす人はいませんか。昭和の価値観のまま生きている人の中でも、怒り感情の制御をしないタイプが「直情型上司」です。パワハラがこれだけ問題になっても「お前のために言っている」と、悪気がないので態度変容には時間がかかるかもしれません。

【対処法】
このタイプの上司にあたってしまった人は、意外かもしれませんが、顔色をうかがいすぎないようにするのがおすすめです。怒鳴り散らす人というのは、職場の人たちもわかっています。忖度をして気疲れをした挙句、上司の顔色ばかり見ている人という評価をされるのは避けましょう。

心身の不調をきたさないよう、なるべく接触回数を減らすこと、ストレスを溜めないことに気をつけてやり過ごすのがいいでしょう。
 

理不尽上司ケース5)上ばかり見て意見を変える「風見鶏上司」

指示通りやったのに、上からの評価によって意見を変えるのが「風見鶏上司」の特徴です。部下は急な変更で振り回されてしまうこともあるでしょう。自分が無理をさせているということに気づいてくれていれば大変なだけで済むのですが、完成までに時間がかかることを、いつの間にか部下のせいにする人には注意が必要です。

【対処法】
このような上司への対処法は、周囲にもわかるように言質をとることです。指示を仰ぐ場合にはなるべく人がいる場所を選ぶ、それができない場合には人がいる場所で確認をするなど工夫をしてみてください。メールはccで関係者を入れるといった自衛もよいでしょう。急な変更による遅れを部下のせいにする人もいるので、変更を強いられた場合にはその日時が他の人にもわかるようにしておくのもおすすめです。
 

部下は上司を選べない! 重要なのはストレスコーピング

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自分に合ったストレスコーピングを見つけよう

職場の人間関係は一朝一夕では解決しにくいものです。心身に不調をきたさないようにするためにも、ストレスとうまく付き合うようにするのは大切です。以下に、おすすめの方法を挙げましたので、自分に合いそうだなと思うものから始めてみてください。

(1)「よくあることだ」と一般化してみる
「こんなひどいことをするなんて」「普通はこんなことはしない」と思うと、相手を許しにくくなってしまいます。できるだけ「よくあることだ」と考えてみましょう。

(2)リラックスできる時間を作る
心が常に緊張している状態ではストレスが溜まってしまいます。休憩時間には好きな飲み物を飲む、健康維持も兼ねて歩く時間を作る、寝る前に瞑想するなど、自分に合いそうなことを試しながら、リラックスできる時間を意識して作りましょう。

(3)接触回数を減らす
理不尽な上司とはなるべく顔を合わせる回数を減らせるよう工夫してみましょう。指示や報告など、メールやオンラインで代替できるものはないでしょうか。「中間報告はメールで」といった申し出をしてみるのもひとつの方法です。

(4)人に相談する
悩みを一人で抱え込んでしまうと心身に影響が出てしまうこともあります。職場とは関係のない友人などに話を聞いてもらうだけでも効果はあるので、まずは友人に話を聞いてもらいましょう。どうしても辛い場合には、職場の上司などに相談してみるのもアリです。健康や命より大事な仕事も人間関係もありません。無理をしすぎないようにしましょう。

心理的安全は、仕事の効率にも大きな影響を与えます。職場環境の大切さは少しずつ認知されてきてはいるものの、困った上司がいなくなるには、もう少し時間がかかりそうです。我慢しすぎて身体を壊さないよう、十分に気をつけ、無理になってしまう前にアラートを出すようにしましょう。あなたの勇気が、困っている他の誰かを助けることになるかもしれません。
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