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ロシアがウクライナに侵攻、TwitterやFacebookはどう使われているか

一連の軍事侵攻に伴い、TwitterやMetaはどのような対応を行ったのか、SNSはどのように利用されているのか。また今回の件がTwitterのトレンドを通してどのように人々に受け止められているかを解説します。

福田 正人

執筆者:福田 正人

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戦争のカタチを変えたSNS

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、これまでの戦争と違う側面を見せています。それは一般市民によるSNSを利用した情報発信です。

戦争が勃発すると、当事国はまず自国にとって都合の悪い情報を遮断しようとしてテレビ局を占拠したり、海外メディアを締め出したりします。ところが今回の一連の軍事侵攻では、一般市民がSNSを利用して情報を発信することで、これまでになかった戦争の「可視化」が行われています。

今回の件で大手SNSはどのように対応し、SNSはどのように利用されているのでしょうか。
 

FacebookやTwitterはどのような対応を行ったのか

米国時間10月28日に社名変更したMeta(旧Facebook)

米国時間10月28日に社名変更したMeta(旧Facebook)

Meta(旧Facebook)やTwitterといった大手SNSは、今回の侵攻に際し、ユーザーの安全性を守るための方策をとっています。

SNSアカウントは個人情報とリンクしているため、敵国にとって都合の悪い情報を発信するユーザーは危険にさらされる可能性があります。

そこでFacebookを展開するMetaは、ウクライナのユーザーを守るためにプロフィール設定画面から「Lock Profile」を選択することで、友達以外のユーザーがプロフィール写真やタイムラインの投稿を閲覧できなくなるようにしました。※この機能は現在日本のユーザーは使用できません
 
Twitter社は、紛争地など危険地でTwitterを利用する際、位置情報の表示をオフにしたり、ハッキング防止のためにパスワードの強化や2要素認証を利用したりするように注意を喚起しました。
 

ウクライナ・ロシア政府によるSNSへの対処

ウクライナとロシアの両政府によるSNSへの対処は対照的です。ウクライナは戦況をSNSを通じて積極的に世界中に発信し、国際世論を味方につけようとしています。また、戦況を示す動画や写真をSNSに投稿してほしいと自国民に呼びかけてもいます。

一方、ロシア側はSNSに対する締め付けを強化しています。Metaはウクライナ侵攻に際して誤った情報が拡散しないように、ロシアの国営メディアなどの4つのアカウントの投稿に対してファクトチェック(情報の正確性・妥当性を検証する行為)を行っています。

ロシア当局がこのファクトチェックなどの対応の停止をMetaに求め、Metaがこれを拒否したところ、ロシア当局はこうした規制は検閲にあたり違法だとして、国内におけるFacebookへのアクセスを制限する措置をとりました。アクセス制限の具体的な方法は明確になっていませんが、通信速度を下げる措置とみられています。
 

一般市民によるSNSの利用

現地ではSNSがどのように使われているか(画像はイメージ)

現地ではSNSがどのように使われているか(画像はイメージ)

ウクライナ市民はSNSを通じて戦闘の様子やロシア軍の動きを投稿しています。

ロシア政府は、ウクライナ国境での演習を終えた部隊の一部が撤退する様子を報じましたが、ウクライナ市民による投稿でこれが嘘であり、ロシア軍がウクライナに接近していることが明らかになりました。

また、ウクライナ市民がガス欠で止まったロシア軍の戦車の周囲にいる兵士に話しかけた動画が拡散されました。これにより補給が上手くいっていない可能性、ロシア軍兵士の士気が高くない可能性を読み取る意見も出てきました。

さらに、ウクライナ人によるロシア兵捕虜への「尋問」動画も拡散され、戦争の生々しい側面が拡散されています。
 

SNSで拡散されるフェイクニュース

このように無数の情報が拡散される中で避けて通れないのがフェイクニュースの問題です。

フェイクニュースには政府が戦略的に流すもの、一般ユーザーが面白半分に流すものとさまざまな性質があります。誰でも動画の加工を簡単に行えるツールが広まったことも、フェイクニュースの拡散に拍車をかけています。

フェイクニュースに惑わされないためにはどうすればよいのでしょうか。米国で行われた研究によると、4人中3人が、情報の真偽を判断する能力を過大に評価しており、そのような人ほど真偽を見極めることができないことが明らかになっています。

つまりフェイクニュースには誰でもだまされる可能性があるということを自覚することが大切です。ショッキングな情報に接触したら、まずは即座に反応せず、安易に拡散しないことを心掛けることが重要です。
 

Twitterトレンドを通したウクライナ、ロシア国民の反応

現在、ウクライナ情勢はTwitterトレンドでは両国にどのように受け止められているのでしょうか。過去24時間の上位トレンドを調査したところ(3月5日午前10時時点)、ウクライナでは、

1位#RussianUkrainianWar(ロシアウクライナの戦争)
2位#StandWithUkraine️(ウクライナを支持する)
3位#StopPutinNOW(プーチンを止めろ)


と、当然ながら戦争関連のトレンドが上位を占めています。また、攻撃を受けた「ザポリージャ原子力発電所」が急上昇し、現在のトレンドで4位に入っています。
 
それに対し、ロシアのトレンドでは、

1位#RussianUkrainianWar
2位#StopPutinNOW


となっており、ロシア側でも戦争反対の声が多いことが伺えます。

「ザポリージャ原子力発電所」は現在のトレンドで3位に入り、この事件がロシア側にも衝撃をもって受け止められていることが伺えます。

比較的に言論統制が激しいロシア国内にあって、反政府的発言が匿名とは言え多くなされていることに、SNSの強みを感じることができます。
 

SNSの有用性と危険性

ウクライナ侵攻に際し、SNSがどのように関与しているかを解説しました。情報を拡散したい側にとっては有利に働き、逆に情報を秘匿したい側にとっては不都合なのがSNSであるといえます。

しかし、フェイクニュースのように情報の正当性や妥当性を見極めるのは困難であり、SNSが世論を都合よく操作するためのツールとなる可能性も秘めていることに注意しなければなりません。

また、日本でもロシア料理店が中傷を受けるなど、感情的になった人による心無い行為が見受けられます。やり場のない怒りや不安を抱える人が多い中で、氾濫する情報に惑わされず、冷静に事実を受け止めることを心がけることが重要であるといえます。
 
 

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