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いま話題の「NFTアート」とは? 3つの特徴や購入方法を解説

ブロックチェーンとデジタルアートを組み合わせた「NFTアート」が注目を集めています。NFTアートの市場規模は拡大しており、投資対象としての可能性も秘めています。NFTアートの仕組みから購入方法までを幅広く解説します。

福田 正人

執筆者:福田 正人

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ブロックチェーンとデジタルアートを組み合わせた「NFT(Non-Fungible Token)アート」が注目を集めています。NFTアートの市場規模は拡大しており、投資対象としての可能性も秘めています。

本記事では、NFTアートの仕組みから購入方法までを幅広く解説します。
 

NFTアートとは?

NFTアートとはデジタルアートの一種です。デジタルアートとは、PCやタブレットなどのデジタルデバイスを用いて作成されたアート作品で、コンピュータ上でゼロから作成された作品もあれば、写真など既存の素材を加工して作成された作品も含まれます。

このデジタルアートに仮想通貨で使われる「ブロックチェーン」技術を組み合わせたものを「NFTアート」と呼びます。NFTアート作品には75億円もの高値で落札されたものもあり、大きな注目を集めています。
  

デジタルアートの一種であるNFTアート

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デジタルアートとは

そもそもデジタルアートとは何でしょうか。一言で表すとコンピュータを使って作られたアート作品のことで、以下のような種類を含んでいます。
  • デジタルイラストレーション:コンピュータを利用して描かれたイラスト
  • デジタル絵画:水彩画や油彩画等の従来の絵画手法をデジタル的に応用して作成された絵画
  • デジタル写真:デジタルカメラで撮影された写真、またはそれをコンピュータ上で加工した写真
  • 電子音楽:コンピュータを用いて作成された音楽
  • VFX:CGまたは合成処理によって実写映像を加工すること
  • プロジェクションマッピング:プロジェクターを使用して空間や物体に映像を投影すること
  • アルゴリズムアート:アルゴリズムによって作成されるビジュアルアート
これらのデジタルアートはデジタルデータとして記録されます。通常、デジタルデータは容易に複製・拡散が可能です。そうするとアート作品に不可欠な唯一性(ただ一つしか存在していないこと)が保証されないことを意味します。その欠点を克服したのがNFTアートです。
 

NFTアートの特徴

複製・改竄可能であったデジタルアートを唯一無二のものに発展させたものがNFTアートです。これは仮想通貨技術に使われている「ブロックチェーン」という技術を応用することによって実現されました(ブロックチェーンについては以下で解説)。

NFTはNon-Fungible Tokenの略で、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれます。
 
NFTアートには大きく3つの特徴があります。
  • 唯一性を証明可能
  • 改竄が不可能
  • 作成者/所有者を記録可能
これら3つの要素により、アート作品としての価値が保たれ、作成者/所有者の履歴が追跡可能になり、デジタルアートであっても従来のアート作品のように高額で売買されることが可能になったということです。
 

投資対象としても人気を集めるNFTアート

歴史的にアート作品は、鑑賞目的だけではなく、投資家による投資対象としても注目されてきました。ですがデジタルアートは、そのコピー可能な性質から投資対象にはされていませんでした。

昨今は前述のようにブロックチェーン技術の応用によってデジタルアートの唯一性が担保されたことで、NFTアートもまた投資の対象となってきています。
 

法律上の注意

NFTアートはコピーそのものが不可能になったわけではありません。データ自体はコピー可能ですが、その所有権が明確になったということです。つまり、仮にその作品が数多くネット上に広まっていたとしても、その所有権が誰に属しているかを証明することが可能になったということです。

この所有権は著作権と混同されやすいので注意が必要です。

著作権とは、英語ではCopyright(コピーライト)と呼ばれ、作品を自由に「コピーすることができる権利」といえます。

所有権とは、物体としての「アート作品そのもの」を所有する権利です。例えばCDを購入した場合、その著作権は作曲家のものですが、CDの所有権はCDを購入した人に与えられます。

NFTアートを購入しても所有権を得られるだけで、著作権自体を得ることはできません。したがってNFTアートを購入したからといって、その作品をコピーして販売したり、二次利用で収益を得たりすることはできないということです。

NFTアートは実体がないためこのあたりの解釈が難しく、法律的にもまだ整備が進んでいないのが現状です。
 

ブロックチェーンについて

NFTアートを実現したのがブロックチェーンと呼ばれる技術です。これは仮想通貨(暗号通貨)を実現するために開発された技術です。

暗号通貨はデジタルネットワーク上に存在する資産です。これまでの常識で考えれば、「悪意のある人間がデータを複製・改竄しないのか」「管理者が自己都合でサービスを終了・改悪しないのか」という疑問が生じます。

これまでのシステムは中央集権的であり、管理者の都合で変更したり、管理者への不正アクセスを行う人による悪用が可能でした。

一方、ブロックチェーンは、自律分散システムと呼ばれ、全ての参加者が自律して取引履歴をコピーし続けています。サービス提供者であっても記録されたデータの消去や改竄はできず、参加者が自身の取引履歴を消すこともできません。

分かりやすく言うと、これまでのシステムではリーダーが1つの台帳を所有していたのに対し、ブロックチェーンでは全ての参加者が台帳を所有しており、参加者の誰かが不正に台帳を改竄しても、その他の参加者に正しい記録が残されているため、事実上改竄が不可能になるというものです。

この技術を応用することで、NFTアートはデジタルデータであるにもかかわらず、所有権の履歴が残されることで信頼性のある売買を可能にしています。
 

NFTアートの購入方法

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NFTアートはどこで購入できる?

NFTアートは「NFTマーケットプレイス」というプラットフォームで売買されています。 上記のような複数のNFTマーケットプレイスが存在しています。多くのNFTマーケットプレイスは日本円に対応していないため、日本円で取引したい場合は仮想通貨を利用するために取引所の口座を作成する必要があります。

購入の大まかな流れは以下のようになります。
 
  1. 仮想通貨取引所のアカウントを作成(CoincheckbitFlyer等)
  2. 仮想通貨のウォレットを作成(MetaMask、Coincheck ウォレット(口座開設時に自動作成)等)
  3. NFTプラットフォームとウォレットを紐づけ
  4. NFTプラットフォームでNFTアートを購入
 

 NFTアートの注目ニュース

以下では、NFTアートにまつわる最近の注目ニュースを紹介します。

・NFTアート作品が約75億円で落札
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NFTアート作品が約75億円で落札

デジタルアーティストであるBeepleによるNFTアート作品「Everydays:The First 5000 Days」がオンラインオークションで約75億円で落札されました。このニュースをきっかけにNFTアートは大きな注目を集めました。

・12歳の少女がNFTアートで約6億6000万円の売り上げ
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12歳の少女がNFTアートで約6億6000万円の売り上げ

Nyla Hayesは4歳で絵を描き始め、9歳のときにスマートフォンを使って代表作である「Long Neckie Ladies」というシリーズを作成しました。首の長い多種多様な女性を描いたこのシリーズは、出品後わずか数時間で売り切れとなり、総額は約1億8000万円にも上りました。彼女はこれまでにNFTアートで約6億6000万円を売り上げたということです。
 
・日本初のNFTアートを取り扱う美術館
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日本初のNFTアートを取り扱う美術館

徳島県の「鳴門ガレの森美術館」は「NFT鳴門美術館」と改称し、日本で初めてNFTアートを取り扱う美術館として再スタートしました。美術品及びアート作品の展示のみならず、アート作品に関するNFTの発行、審査、販売、流通を行うということです。
 
・手塚治虫のNFTアート作品1000点が1時間で完売
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手塚治虫のNFTアート作品1000点が1時間で完売

手塚プロ初の公式NFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」シリーズ第1弾「鉄腕アトム」のNFTアート1000点が出品され、1時間ほどで完売しました。
 

アーティストにとって広がる可能性

これまでデジタル作品の所有権の帰属先は曖昧であり、クリエイターやアーティストは収益化について悩まされてきました。しかしNFTの登場によって、その所有権は明確化されることが可能になりました。

所有権が明確になることで、投資家や富裕層はデジタル作品を「購入/保有」することに価値を見出し、高い値段がつけられます。それにより、デジタルアートに携わる人の収益が確保される可能性が広まったといえます。


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