お酒をとめどなく飲めてしまう3つの理由

飲酒

水だけを飲み続けるのは苦痛なのに、お酒はとめどなく飲めてしまいます。これはなぜでしょうか?

私は体質的にそんなにお酒には強くないですが、みんなとお酒を酌み交わすのは好きです。最近は、コロナ禍の影響や、自分の年のせいもあって、夜遅くまでお酒を飲む機会はほとんどなくなってしまいましたが、若い頃はよく飲みに行って、気がついたらお酒のビンが何本も空になっており、よくぞこんなにたくさんのお酒を飲めたものだと驚くことがありました。水やジュースだと絶対に飲めないような量を、なぜかお酒だと飲めてしまうんですね。しかも、やたらとトイレに行きたくなります。みなさんはどうでしょうか。

お酒がとめどなくたくさん飲めてしまう理由は3つあります。

まず第1に、水とお酒では、飲むときの気持ちが違います。水はあまり味がありませんから、汗をかいたり咽が渇いたときに水分を補給するために飲むだけです。一方、お酒には独特な味や香りがあり、それを楽しむために飲みます。また、お酒を飲むと楽しくなり、会話がはずみます。楽しい気持ちが、さらにお酒を飲もうという気にさせますから、自ずとたくさん飲むことになります。

第2に、水とお酒では、体への吸収のされ方が違います。口から飲んだ水は、食道を通って胃に達しますが、水だけだと胃ではほとんど吸収されません。飲んだ量がそのまま胃を通り過ぎて、小腸や大腸に達してはじめて体に吸収されます。一方、お酒を飲んだ時は、お酒に含まれるエタノールの2割くらいが胃で吸収され、このとき一緒に水も吸収されるようになります。胃で吸収されなかった残りのエタノールは小腸で吸収され、ここでもエタノールと一緒に水が速やかに吸収されます。つまり、水だけを飲んだ時は水が体に吸収されるまでに時間がかかるため胃や腸の中に水が残りやすいのですが、お酒を飲んだ時はエタノールと水が一緒に速やかに体に吸収されるので、お腹の中が空っぽになりやすいのです。このため、お酒の方がガブガブ飲めるというわけです。

第3に、水とお酒では、体からの排泄のされ方が違います。水だけを飲んだ時に比べて、お酒を飲んだときには、尿がたくさん出ます。また、お酒に含まれるエタノールの一部は吐く息とともに体の外に出て行きます。お酒の方が体から出ていくのが速いので、次々飲めるというわけです。
 

お酒の利尿作用・トイレが近くなるわけ……脳下垂体のはたらきとの関係

上で説明したように、お酒を飲んだ時は、エタノールとともに水分が速やかに体に吸収されます。おまけに、お酒はガブガブとたくさん飲めてしまいますから、自ずと尿の量も増えるというわけです。これは、水を少し飲んだ時とたくさん飲んだ時では尿の量が違うのと同じことですが、お酒にはこれ以外にも、尿を出しやすくする作用があります。

体に入った水の一部は、尿や汗などとして再び体の外へ出て行きますが、水は生命を保つために欠かせないものですから、私たちの体にはできるだけ水を失わないようにする仕組みを備えています。そのひとつが、脳の下部にぶら下がっている脳下垂体という部分から分泌される抗利尿ホルモンです。

抗利尿ホルモンはバソプレシンとも呼ばれ、腎臓に作用して尿中に含まれる水分を回収する働きをします。通常は抗利尿ホルモンが働いているおかげで、尿が出過ぎないように保たれています。

お酒を飲んだ時、胃腸管から吸収されたエタノールは血液中に入って全身をめぐり、間もなく脳下垂体にも達します。するとエタノールは脳下垂体の活動を低下させ、抗利尿ホルモンの分泌を減らします。その結果、尿中の水分が回収できなくなり、たくさんの水が尿として対外へ出て行くというわけです。
 

飲酒後の頻尿は、夜尿症(おねしょ)の状態と同じ

睡眠中に本人の意識なく排尿をしてしまう病状を一般に「夜尿症」と呼び、とくに幼児で起こる場合は「おねしょ」とも言われます。夜尿症の原因はさまざまですが、一部は抗利尿ホルモンの分泌低下が原因で起こります。抗利尿ホルモンが働かないと、腎臓で作られた尿の水分量を減らすことができず、膀胱に尿がたくさん溜まり、ついつい就寝中に漏らしてしまうというわけです。

お酒を飲んだ時も、エタノールの作用で抗利尿ホルモンの分泌が低下してトイレが近くなるわけですから、両者は似ていると言えます。もともとトイレが近い傾向の人は、お酒を飲むと抗利尿ホルモンが分泌されなくなりさらにトイレが近くなりますから、お酒を飲むのは控えた方がいいでしょう。
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