どのような場合に扶養控除や配偶者控除などが受けられ、どのような手続きを行えばいいのかを解説します。
国外居住親族とは
まず、国外居住親族は、「非居住者」である親族のことを指します。「非居住者」とは、国内に住所がないこと、現在まで引き続き1年以上居住していない個人のことです。例えば「国外留学をしている子ども」などをイメージすればいいのではないでしょうか。国外居住親族の扶養控除等の要件とは
居住者であっても、非居住者であっても扶養控除や配偶者控除などの適用要件は変わりません。例えば扶養控除の適用要件を判定するためには、- 民法に規定する親族、つまり6親等内の血族および3親等内の姻族であること
- 納税者と同一生計であること
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者で給与の支給を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと
国外居住親族の扶養控除等を受けるための手続きとは
ただし、日本ではなく海外に住んでいるわけですから、上記要件の中で、「民法に規定する親族であること」と「同一生計であること」を証明するために一定の書類の提出、または提示がもとめられます。「民法に規定する親族であること」を証する書類とは「親族関係書類」といわれ、例えば以下のようなものです。
- 戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類、あるいはパスポートの写し
- 国外居住親族の氏名、生年月日および住所または居所の記載がある外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類
「同一生計であること」を証する書類とは「送金関係書類」といわれ、例えば以下のようなものです。
- 居住者(つまり扶養する人)から国外居住親族へ、為替取引で送金したことを明らかにする金融機関の書類またはその写し
- 国外居住親族がクレジットカードを使って商品等購入するが、そのクレジットカードの支払いをするのが居住者(扶養する人)である場合、それを明らかにするクレジットカード発行会社の書類またはその写し
控除が受けられるのは扶養控除や配偶者控除だけではない
このように、非居住者であっても扶養控除や配偶者控除の適用要件に変更はなく「親族関係書類」と「送金関係書類」の提出(または提示)が加わるだけ、とおさえておきましょう。また、適用要件を満たせば扶養控除や配偶者控除はもちろんのこと、配偶者特別控除や障害者控除も国内居住・国外居住の区別なく適用できます。
年末調整時や確定申告時に誤りなく適用するようにしてください。
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