子育て

家出、暴力…親の独裁や無関心が青少年の「非行」を招く?子どもの問題行動を防ぐ親子関係の心得8つ

「非行」の原因は、親子の性質・学校・社会のあり方が複雑に絡み合っているといわれています。我が子が非行の道に走るのを防ぐために親子関係において大切にしたいことを解説します。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

「非行」は親子の性質・学校・社会のあり方が複雑に絡み合っている

家出をして夜の街を徘徊する若者、金銭目的で見知らぬ人々に身を任せる女の子、大麻やドラッグで逮捕される若き芸能人……青少年の問題行動がメディアで報道されるたび、どうしたら、我が子が同じような道を歩まないですむのかと、心配になる親御さんもいるでしょう。

では、子どもはなぜ非行に走るのでしょうか?
非行

青少年はなぜ非行に走るのでしょう

内閣府の世論調査によると、非行の原因の1位は「保護者が教育やしつけに無関心」であるためといいます。これは世論調査ですから、大多数の人々がそう思っているということ。しかし実際には、より複雑な要素が入り交ざっているといえるでしょう。

長年の心理学の研究からも分かっているように、周りの親と同じような対応をしたとしても、子どもの生まれ持った性質や特性が子育ての難しさに拍車をかけることもあります。また、子どもが1日の多くの時間を過ごす学校環境や友人関係も大きく関わります。

非行の原因は親であるとする世間の眼差しは、ただでさえ社会的に孤立しがちな現代の親を追い詰めることにもなり得ます。親子や家庭だけでなく、学校を含めた社会の問題としてとらえるのがいいでしょう。

世論調査では、2位に「スマートフォンやインターネットなどに依存している」、そして3位に「家庭にも学校にも居場所がなく孤立している」があげられています。現代では、手元のボタンをひとつ押せば、いつでも家庭の外から情報が流れ込んできます。家庭にも学校にも安心できる場がないと感じる子どもは、ネット上でのやり取りに依存しがちにもなることもあるでしょう。

以上のことを踏まえつつ、では、親として何ができるかについてみてみましょう。
 

“独裁的”または“無関心”な子育てだと子どもが非行に走りやすい

これまで50年近くかけて積み重ねられてきた心理学や人類学の研究の中で、子どもが最も非行に走りやすい子育てスタイルというものがあると報告されています。それは、次の2つのスタイルです。

×独裁的子育てスタイル
子どもの意向や感情的ニーズに関知せず、頭ごなしに命令し、従わない場合は(体)罰をもって接します。怒りを爆発させて怒鳴ったり、子どもが「どうして?」と聞こうものならば、「どうしてもこうしてもない! 親の言うことを聞きなさい!」などと答えます。また、親の期待に答えられないと、「なんでこんなこともできないの!」と非難したり、親の望まない行為に対して、愛情表現を減らすという形で罰を与えることもあります。
 
×無関心な子育てスタイル
衣食住の供給といった最低限のニーズは満たすものの、しつけや子どもの感情的ニーズに無関心です。子どもがいてもいなくても生活は何も変わらないと思い、子どもは自分のことは全て自分でするものととらえます。また、親は自分のことで頭がいっぱいで、子どもについて思う余裕がありません。
非行

子どもがため込んだネガティブな思いが非行というかたちで表れます

〇民主的子育てスタイル
逆に、知的面、情緒面、社会面全てにおいて、最も健やかに育つのが民主的子育てスタイルと分かっています。子どもの意向を尊重しつつ、かつここは越えてはいけないという境界を設定し、ルールを守るよう促しながら、親が期待することの理由を説明し、子どもの感情的ニーズにも責任を持って寄り添うスタイルです。
 

非行を防ぐために親にできる8つのポイント

自らの子育てをできるだけ民主的子育てスタイルへと移行するよう心がけてみましょう。それには、子どもが、自身の思いや気持ちを尊重してもらえ、家族の一員として大切にされていると感じられるよう対応していくことです。

そのためには、次のような8つのポイントを念頭に入れたいものです。
 
  1. 子どもが何を思い、どう感じ、何に興味関心を持っているのかを観察する。
  2. 「どう思う?」と聞いたり「どちらがいい?」と選択肢を与えて、子どもが自分自身の気持ちや考えを表現することを励ます。
  3. 親の意見とは違っても、「説明してみて」と話し合う機会を与える。
  4. 子どもが動揺していたら、まずは「残念だったね」などの共感やスキンシップを通して寄り添う。気持ちが落ち着いたら、問題を解決するための話し合いをする。
  5. してはいけないことやルールの背景を説明し、「どうしたらいいかな?」と話し合い、子ども自らが守るよう導く。
  6. 何かをして欲しい時は、「あなたはどうしたい?」と尋ねて、その子自身の意向や気持ちを考慮する。
  7. 普段できていることに目を向け「頑張ってるね。ありがとう」と認める声かけをする。
  8. 「~させなければならない、教えなければならない」といった思いをいったん横に置き、一緒に楽しむ時を持つ。
 
未来を担う子どもたちのために、親として、できることをしていきたいですね。

【参考資料】
内閣府による平成27年世論調査

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