雇用保険料引き上げの背景
給与や賞与から引かれる雇用保険料の計算方法
年収400万円で労働者負担料率が0.5%となった場合の負担増は?
まとめ
雇用保険料引き上げの背景
雇用保険料引き上げの議論の発端は、「雇用調整助成金」の支払いが増大したことにあります。雇用調整助成金とは、事業を縮小した会社が、従業員の雇用を確保するために「雇用調整(休業)」を行った際に支払う休業手当の一部を補助する制度です。新型コロナの影響で、雇用調整助成金の支払い累計額が5兆円を超えています(*)。雇用調整助成金の財源は雇用保険料です。そのため、2022年度の秋より雇用保険料率を上げることが検討されているのです(2021年12月20日時点)。
*2021年厚労省データ
給与や賞与から引かれる雇用保険料の計算方法
それでは雇用保険料はどのように決められているのでしょうか。雇用保険料率は勤務先の会社の事業形態によって異なります。例えば一般の事業の場合であれば労働者が0.3%、事業主は0.6%の合計0.9%です(2021年・令和3年度)。 皆さんが負担する雇用保険料は、毎月の給与の「支給総額(額面)」に労働者負担料率をかけることで決められます。賞与も同様であり「支給総額(額面)」に労働者負担料率をかけて決まります。なお2022年度秋からの新料率として、一般の事業であれば労働者を0.5%、事業主負を0.85%の合計1.35%とする案が浮上し、検討されているようです。
年収400万円で労働者負担料率が0.5%となった場合の負担増は?
それでは労働者負担料率が0.5%となった場合、年収400万円の人であれば負担額はいくら増えるのでしょうか。前述したように雇用保険料は給与・賞与のそれぞれの支給総額(額面)に労働者負担料率をかけることで計算されますので、400万円に現在(令和3年度)の料率をかけた額と新料率をかけた額の差が負担額の増加分となります。現在料率:400万円×0.3%=1万2000円
新料率:400万円×0.5%=2万円
増加分:8000円
*一般の事業の会社に勤務している場合で、2022年度からの労働者負担料率が0.5%として計算
このように、政府が検討している案通りに2022年度秋から一般事業の労働者負担料率が0.5%となった場合、年収400万円の人であれば雇用保険料の負担は年間8000円増えることになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、2022年度秋からの雇用保険料率改定で年収400万円の方の負担がどのくらい増えるかを計算してみました。現在検討されているのは一般事業では労働者負担料率0.3%を0.5%に上げる案ですが、引き上げには与党内でも慎重な意見が出ており不透明な状況です。いずれにせよ引き上げ率が上がれば労働者の雇用保険料の負担は増えますので、今後の動向には注視していく必要がありそうです。
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