中国新聞デジタルの記事によると、山口県の50代女性がインターネットの匿名掲示板に実名をさらされ、身に覚えのない不倫をしているという醜聞を書き込まれました。加害者は特定され、名誉毀損の疑いで送検された一方で、書き込みは消せないままでした。困って弁護士に削除依頼したところ、「税込み55万円」と言われてしまったといいます。
この女性は、まったくのとばっちりでこのような目にあっており、我々にとっても決して他人事ではありません。インターネットに誹謗中傷を投稿されてしまい、削除したいと考えた時、我々はどのようにすればいいのでしょうか。
ネット上の誹謗中傷削除依頼の方法
そもそも、インターネット上の誹謗中傷は罪に問われる可能性がある行為です。内容により名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪などに問われる可能性があります。そのような刑事告訴の他、民事上で損害賠償請求をされることもあります。精神的損害に対しては50~100万円程度の損害賠償が認められることが多く、営業上の損失が認められた場合はさらに高額の損害賠償が認められることもあります。
ネット上で誹謗中傷を書き込まれた場合、投稿者やアカウントが分かっていたら、相手に削除を求めるのが一番早く確実な方法です。「削除しなければ法的措置に訴えます」などと連絡することで、応じてもらえる可能性が高くなるでしょう。
書き込んだ相手が分からない、または削除してもらえない場合は、証拠として書き込みを保存した上で、書き込まれたSNSや掲示板などの削除依頼フォームなどから削除依頼をしましょう。書き込まれたURL、書き込みの証拠、自分のどのような権利が侵害されているか等を連絡しましょう。
それでも削除してもらえない場合や、返事も来ない場合もあります。その場合は、裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる必要があります。個人でも申立は可能ですが、困難な場合は弁護士に頼むことになります。
削除依頼の料金は「弁護士事務所による」
気になる削除依頼の料金ですが、実は決まったものがあるわけではありません。費用は弁護士事務所によって異なり、依頼内容や削除の難易度でも変わってきます。先に紹介した事例のように50万円を超えた例もあります。そのため、必ず複数の事務所から見積もりを出してもらい、比較検討することをおすすめします。その中で、過去の実績や評判、料金総額などで比較検討するといいのではないでしょうか。削除依頼の他、誹謗中傷をした相手の情報開示請求もできますが、別料金となることが多いようです。
料金体系も、弁護士事務所によってバラバラです。初期費用がかからず、着手金なしという料金体系のこともあれば、着手金がかかる代わりにトータルでの費用が抑えられていることもあります。着手金ありの場合は、削除できなくても着手金は返金されないなどの違いがあるので、料金体系についても確認する必要があるでしょう。
なお、同じインターネット上の誹謗中傷でも、削除したい、情報開示請求したい、心の悩みを相談したいなど、人によって求めるものが違うはずです。法務省によって「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内」が紹介されています。目的によってふさわしい相談先を調べることができるので、参考にしてください。
インターネット上の誹謗中傷は、心だけでなく、社会的な評判までも傷つける行為です。泣き寝入りせず、素早い対処をすることで風評被害を防げるようになります。無料で削除対応してくれる機関などもあるので、諦めずに相談してみてください。
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