タスマニア原生地域
絶滅が危惧されているタスマニア・デビル。この世界遺産は登録基準を7つもクリアしており、中国の「泰山」と並んで最多記録となっている
タスマニア島は大陸の南約250kmに位置し、大陸で絶滅してしまったタスマニアデビルをはじめ、ワラビーやウォンバットなど、ゴンドワナ時代の血を引く動植物が数多く生息している。島の2割は原生地区として保護されており、氷河によって大胆に削られた大渓谷や、水深10~20mながら深海生物が暮らす湾など、独特の景観を見せる。アボリジニによる1~2万年前のロックアートも多数発見されており、文化・自然両面が評価された複合遺産として登録されている。
ウルル・カタ・ジュタ国立公園
エアーズロックの名でも知られるウルル。ウルルはアボリジニの言葉で「偉大な岩」、カタ・ジュタは「たくさんの頭」の意味
世界で2番目に大きい一枚岩ウルルと、マウント・オルガの名を持ち一枚岩が割れてできたカタ・ジュタからなる世界遺産。ウルルは高さ約350m、周囲約9kmの大岩で、古くからアボリジニの聖山として知られており、1,000年以上前のロックアートが確認されている。伝説では、神はこのウルルを中心に世界を創造したということで、「大地のヘソ」「世界の中心」とも呼ばれる。カタ・ジュタは36の岩からなり、こちらも聖地として崇められていて、現在も数々の儀式が行われている。
クイーンズランドの湿潤熱帯地域
ケアンズとキュランダ村を結ぶキュランダ観光鉄道と、クイーンズランドの熱帯雨林。キュランダ村へは熱帯雨林を空から眺めるスカイレールで訪れることもできる
かつてオーストラリア大陸は森林に覆われていたといわれるが、現在ほとんどが砂漠になってしまった。世界最古の森のひとつといわれ、かつての大陸の緑が残されているのがクイーンズランドだ。この場所には1億2千万年ほど前から森があったようで、多数の動植物がオアシスのように残ったこの地に集中したようだ。他の大陸には存在しない固有種、たとえばカンガルー、コアラなどの有袋類やユーカリなどは数々の種が確認されている。
ロイヤル・エキシビジョン・ビルとカールトン庭園
ロイヤル・エキシビジョン・ビル。メルボルンは砂漠の中にあるオアシス都市ながら高度な水利システムを有し、この噴水は動力を使わず70m以上も水を噴き上げた
1850年代、発見された金鉱によってゴールド・ラッシュがはじまり、わずか30年で大英帝国第二の都市に成長したメルボルン。1880年、国威発揚の場である万博ははじめて南半球に渡り、メルボルン万博が開催された。ジョセフ・リードが設計したそのメイン・ホールがロイヤル・エキシビジョン・ビルだ。また、カールトン庭園はヨーロッパ幾何学式の整然とした庭園に、オセアニアの大木や池を自由に配したアジア風の庭園風景をあわせた混合庭園で、メルボルン子たちの憩いの場となっている。
紹介記事はこちら>>ロイヤル・エキシビジョン・ビル/オーストラリア
シドニー・オペラハウス
世界三大美港のひとつに数えられるシドニー港とオペラハウス。ウッソンはこの港に調和しつつ、単独でも美しいデザインを目指してデザインしたという
シドニー港の一角にたたずむ20世紀建築、シドニーのオペラハウス。まっ青な海と空に調和するヨットの帆のようなデザインが港を美しく飾り立て、オーストラリアの象徴として国民に愛されている。ヨーン・ウッソンによる設計で、1973年の竣工。世界遺産には2007年に登録されており、完成からわずか34年で登録された最速の世界遺産でもある。高さ約180m、幅120mで、内部にコンサート・ホールやシアター、オペラ劇場、スタジオなどを装備している。