アドバイス1 あと10年は現状維持で、60歳時点でマンション購入してOK
住まいが一番の不安要素というのは、よくわかります。ただ、パートナーとの関係がはっきりしないうちは、マンション購入は待たれた方がいいのではないでしょうか。自分の幸せを第一に考えることはとても大事です。それがマンション購入なのか、生活を充実させることなのかは、もう一度考えてみてください。もう少し貯蓄もしたいということですから、できればあと10年、60歳まで現状維持で過ごされ、60歳時点で貯蓄に応じてマンションをキャッシュで購入されるといいのではないでしょうか。住宅ローンを抱えながら、将来の不安も感じながらの生活では、かえってストレスにならないか心配です。
現在、毎月10万6000円の貯蓄とボーナスから約50万円の貯蓄ができています。年間で約177万円ですから、あと10年で1770万円。現在の貯蓄が2000万円、退職金が1000万円で、合計すると4770万円です。これが60歳時点での金融資産となります。
上限2500万円として、マンションを購入しても老後資金として2270万円が残ります。その時点でパートナーとの関係がどうなっているのかはわかりませんが、もし一人だとしても、2000万円以上老後資金があり、マンションも所有できていると思えば、今抱えているような不安は解消するように思います。いかがでしょうか。
アドバイス2 65歳までは持ち出しになるが、65歳から公的年金でカバーできる
60歳で退職した場合、公的年金受給がはじまる65歳までの5年間は、貯蓄から取り崩しの生活にはなります。ただ、家賃がなくなる分、支出は削減できます。マンション購入後は、管理費などのコストがかかりますので、まるまる削減できるわけではありませんが、12万5000円程度には収まるでしょう。年間で150万円。5年間で750万円は貯蓄からの支出になります。65歳時点で約1500万円となりますが、公的年金の見込み額が14万5000円とのことですから、65歳以降は貯蓄を取り崩すことなく、十分に生活していくことができるでしょう。
60歳以降、できれば働きたくないとのことですから、ここまでの計算で不安がなければ、働く必要はありません。趣味の時間を大切にしながら、少しだけバイトして収入があれば、その分は好きなことに使えばいいでしょう。無理することはありません。
アドバイス3 現時点で整理できることをやっておくことも大事
あと10年は現状維持という前提でアドバイスをすすめてきましたが、現時点で整理しておくことはあります。まず、現在の賃貸契約です。保証人の変更、もしくは保証料はかかりますが、保証会社への変更を不動産会社に相談なさってください。保証人のことが不安要因の一つになっていると思いますので、早めにスッキリされるといいと思いますよ。もうひとつは、保険です。入院した経験があり医療保険に加入し続ける気持ちは理解できます。しかしながら、ご相談者の場合、十分な貯蓄がありますから、もう医療保険に頼る必要はありません。今すぐ解約をする必要はありませんが、割り切れるようになったら、保険も整理しておくといいでしょう。少なくともこの先、一生涯、保険料を払い続ける必要はありません。
今の貯蓄ペースが維持できれば大丈夫ですから、不安になることばかり考えずに、ストレスのない生活を送ってください。健康に気を付けて、あと10年。頑張ってみてくださいね。
相談者「いっこ」さんから寄せられた感想
今回検証していただき深野FP様には感謝いたします。マンション購入は可能とのこと、またいったん60歳で退職してもよいとのことで、バイトでもいいんだ、と少し安心しました。パートナーのこともありますのですぐ買うより、60歳近くでキャッシュ購入を検討します。保証人は大家さんと仲良くしているので、すぐではないですが、タイミングを見て相談します。保険は高いようにも思ってましたか解約は不安です。しかしネットでも保険はあるので勉強してみます。あと10年頑張ります。60歳以降でもバイトなど社会貢献ししつ、楽しみながら生き生きした自分でありたいです。ありがとうございました。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談はすべて無料になります)
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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