定年・退職のお金/老後の生活設計・ライフプラン

60歳でリタイアしても大丈夫なのはこんな人!3つの条件って?

60歳で仕事を辞めたい!と思っていても、誰もが実現可能なわけではありません。60歳で仕事を辞めるには、60歳までに老後の資金をきちんと準備し、老後の生活設計ができていないといけません。どのような人が60歳で仕事を辞めることができるのでしょうか?

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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65歳定年制や定年70歳努力義務など、会社員にとって60歳を過ぎても働くことが普通になってきました。とはいっても、60歳になったら仕事を辞めてリタイア生活を楽しみたいという人もいるでしょう。となると、気になるのが老後のお金事情。60歳で仕事を辞めても大丈夫といえるのはどのような人でしょうか?

【ガイド・福一さんの動画もご覧ください・老後貧困や定年後の収入源について】


 
 

1)公的年金で生活できる

老後に必要なお金を考えるとき、一番困るのが「何歳まで生きるか」。この設定次第では、必要なお金が数千万円違うこともでてきます。そこで、安心して老後の生活を送るためには、公的な老齢年金でどこまで生活費をカバーできるかがポイントとなります。この老齢年金は終身にわたって受け取ることができるので、何歳まで生きるかという長寿のリスクをカバーしてくれます。公的年金だけで生活できると、何歳まで生きても家計は安泰となります。
 

老齢年金の受給額を確認する

公的年金で生活できるかどうかを知るためには、まずいくら受け取れるかを知る必要があります。将来の年金額を知るには、「ねんきんネット」を利用しましょう。年金記録を確認し、年金見込額を試算することができます。将来の働き方などで年金額の変化をシミュレーションすることもできます。
 
ねんきんネットを利用するには、年金基礎番号もしくはマイナンバーカードが必要になります(マイナンバーカードのみだと一部利用できない場合があります)。わからない場合は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」があれば、問い合わせられるようになっています。今後の働き方や受け取り開始年齢など詳しい条件からも受給額を知ることができます。
 

老後の生活費を知る

次に、老後の基本生活費を予想します。老後の生活費は現役時代の7割程度といわれています。今、月にいくら出費しているのかを把握しておきましょう。その7割程度を老後の生活費として考えます。
 
ただし、教育費や住宅ローン返済などの老後の出費には含まれないものは除いて考えます。住宅ローン返済が老後に残っていては大変です。60歳までに完済の計画を。税金やマンションの管理費、修繕積立金などは将来減ることはないので、今の負担がそのまま続くと仮定して老後の生活費をだします。
 

「老齢年金>老後の生活費」を目指す

老後の年金額と生活費、収入と支出の予測がでました。年金額のほうが多ければ問題ありません。まずは、60歳リタイアの第一関門突破です。年金額のほうが少ない場合は、対策が必要です。今の生活費を見直せれば、老後の生活費も減ることでしょう。生活費を見直すことができないなら、老齢年金の受給額を増やせないかを「ねんきんネット」で試算してみましょう。
 
年金額の増額は、現在の給料を増やすか受給開始を遅らせるかのどちらかです。妻の働き方をパートから正社員に変える、私的年金で70歳まで生活できるように工夫するなど対策がとれそうであれば、60歳リタイアが少し現実的になります。
 

2)老後のイベント費用をシミュレーションできる

基本的な生活費が年金でまかなえることを確認できたら、これら以外にかかるお金について考えます。海外旅行に行く、週に1回はゴルフに行く、季節ごとに国内旅行に行く、家をリフォームする、地方に移住する等々。老後の暮らしの中で予定しているイベントをもれなくリストアップします。
 
次に、これらのお金がいくら必要かを算出します。かかると思われる金額を多めに見積もります。有料老人ホームへの加入を希望する場合は、それらの入居費や必要になるお金も忘れずに。最終的に、これらのお金を余裕で準備できる人が、60歳でリタイア可能ということになります。
 

3)必要なお金を貯めている

最後に、60歳までに老後に必要なお金を貯められるかを確認します。基本的な生活費は年金でまかなえるわけですから、老後のイベント費用とその他の必要なお金が貯まっていれば、60歳で仕事を辞めてよいことになります。
 
イベント費用以外に必要なのは、医療や介護にかかるお金でしょう。介護に要した費用の平均は月8万3000円、介護期間の平均は61.1カ月(生命保険分化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」)。月8万3000円が仮に10年続いたとすると996万円。ここで、介護費用に必要なお金を1000万円と考えます。
 
医療費は高額療養費制度などがあるため、極端に高額な費用が必要になる場面はあまりないでしょうが、一般的には500万円ほど、個室などをのぞむ場合は500万円ほどを加算して考えておくと安心です。
 
その他予備費として1000万円はみておきたいところ。

予備費1000万円、介護費用1人あたり1000万円、医療費1人あたり500万~1000万円。これらとイベント費用をあわせた合計額が安心して老後を迎えられるお金ということに。これらのお金を60歳までに準備できるかどうかを確認します。退職金と現役時代に積み上げた預貯金、資産でまかなえたら、60歳で仕事を辞めることができますね。
 
現役時代にしっかりと準備すると、60歳リタイアも夢ではありません。今の生活を整えて、老後の生活をシミュレーションし、老齢年金の受給額を知ることが安心した老後生活の始まりです。

【関連記事・動画をチェック!】
・福一さんが動画で家計のお困りごとにアドバイス!


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・参考
生命保険文化センター『2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査』
https://www.jili.or.jp/research/report/8361.html
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