お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

38歳専業主婦、貯金40万円。子ども3人の教育費がかかり、見通しが立たず、不安で眠れません(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、3人のお子さんを持つ38歳の専業主婦の方。教育費のピークが近づく中、貯蓄が増えないことで悩んでいるとのこと。どうすれば貯蓄ができるか、また教育費を準備できるか、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 資金援助がどの程度可能なのかを明確に

ご相談の内容は、貯蓄がなかなかできず、教育資金等がご心配ということですが、まずは、いただいたデータで試算をしてみます。
 
家計収支ですが、データどおりであれば、月3万円の黒字ですが、児童手当を差し引くと5000円の赤字。さらに、教育費はあとでまとめて差し引くので、現在計上している月1万円はここではないものとすると、月5000円の黒字。ボーナスからは11万円が貯蓄に回っていますので、これで年間17万円。第3子の方が大学卒業となる18年間で306万円となります。
 
これに、今後受け取る児童手当の総額は280万円前後、学資保険の満期金が250万円×3人分で750万円、学資保険の保険料の支払いが18歳で終了しているので、余計に計上している分を貯蓄に回したとすると、これらを合計してざっと1400万円。これに今ある貯蓄を加えると1460万円ということになります。
 
この資金で、お子さん3人の教育費がカバーできるかどうかですが、当然、進路によってかかる費用も異なります。大学費用は私立文系だと4年間で400万円、私立理系で540万円、国立であれば250万円ほど。全員、私立理系に進学すると、それだけで足りません。自宅通学になるとしても、通学費や教科書代なども考慮すると、全員が私立文系でも余裕はないと思います。しかも、そもそも高校、中学等の費用が含まれていません。食費など日々の生活費も、お子さんの成長につれてアップするはずです。匿名希望さんが心配されているとおり、現状では3人分の教育費を用意するのはきびしい、と言わざるを得ません。
 
もうひとつ気になるのが、資金を援助されている親御さんです。現在、学資保険2本と、第1子の方の塾費用、さらに金額は不明ですが、ご主人の生命保険の保険料も負担されています。これだけで年間100万円近くになるのではないでしょうか。
 
支援を受ける行為自体、何ら問題はありません。子どもとして、親に甘えられるなら甘えていいと、思います。ただし、それがいつまで続くかということ。そこはある程度、明確にしておく必要があります。
 
親御さんに大きな資産があり、その支援が贈与税や相続税の節税対策も兼ねているなら、今後も受けられるかもしれません。しかし、親御さんにも老後資金は必要ですし、これ以上新たな援助を期待できないのであれば、マネープランは大きく変わります。
 

アドバイス2 妻の収入確保が教育資金づくりの大きなポイント

親御さんの資金援助がこれ以上望めないとすれば、対策としては節約と収入アップとなります。
 
匿名希望さんも節約を意識され、家計を抑えるよう頑張られていることは、データからうかがえます。ただし、現時点で生活費からはあまり無駄は見受けられません。よく家計管理されています。逆に言えば、これ以上の節約の効果はあまり望めないということ。もちろん、できる節約は継続すべきですが、無理をすればかえって逆効果となり、貯蓄の継続そのものが難しくなることもあります。
 
そうなると、有効な手段は、匿名希望さんの収入となります。予定として「第3子が10歳くらいに働きたいとは考えている」とありますが、前倒しでもっと早く収入を得る必要があると考えます。少なくとも、第3子の方が小学校に入学するタイミングでは働きたいところ。また、収入は「当初3万~4万円を想定」とありますが、これも可能なら8万円程度を目指してほしいと思います。
 
仮に、匿名希望さんが3年後からパート収入で月8万円を得るとします。これを第3子の大学卒業まで継続すれば15年間で1440万円。つまりは、先の試算1440万円にこれが加算され、トータルで2880万円が用意できます。
 
中高がともに公立なら、6年間でかかる教育費(塾等の学校外教育費も含む)は平均280万円ほどと考えます。3人分で840万円。これに2人分の小学校費用の平均額を加算して、ざっと1200万円。結果、残り1680万円が大学費用に回せますので、大学までの資金準備はできると考えていいでしょう。
 

アドバイス3 60歳以降も働くことで老後対策を

しかし、用意した2880万円が教育費とその他の子育て費用でほぼなくなった場合、老後資金はどうなるでしょうか。
 
56歳(第3子の大学卒業時)以降は、お子さんたちも経済的に独立され、生活費も今より下がるでしょうし、ボーナスからの貯蓄率も高まるはず。パート収入も継続して得られるとすれば、年間130万~150万円程度は貯蓄できるかもしれません。ご主人定年までの4年間で仮に600万円貯蓄できたとして、退職金400万円と合わせて1000万円。これが老後資金となります。
 
ですが、ここでリタイアしてしまうと、65歳の年金支給までの5年間は、生活費を老後資金から捻出しないといけません。もしそうなると、月20万円必要(ボーナスでカバーしていた部分も月割りで加算)なら年間240万円ですから、それだけで年金支給までに老後資金は底をついてしまいます。
 
したがって、途中、相続等で大きな収入を得られないとすれば、ご夫婦とも65歳までは働き、少なくともその間は老後資金を取り崩さないことが必要になってきます。
 
また65歳の時点で、老後資金1000万円が残ったとして、それで足りるかどうかですが、目安となるのは生活費に対して、公的年金がどれだけ不足するかです。月1万円の不足なら、30年間(こ夫婦とも95歳まで)で360万円。3万円不足なら1080万円。これを老後資金で補うわけですから、3万円不足だと1000万円では心許ないと言えるでしょう。
 
それでも、ご主人64歳のときに住宅ローンが完済しますから、その分、生活費は抑えられます。公的年金だけで生活できる可能性もあります。しかし、住宅のリフォームや病気・介護など、不測の事態や不定期支出に備えるために、余裕資金として500万円程度は少なくとも準備したいところ。
 
そう考えれば、65歳以降も働いて収入を得るか、匿名希望さんがパートではなく、フルタイムを目指す。収入がアップするだけでなく、厚生年金加入することで、公的年金の受給額も増えます。難しい部分も当然ありますが、目指す価値は十分あります。
 
ただし、フルタイム勤務にせよパート勤務にせよ、お子さん3人の子育てをしながら働くことは、容易ではありません。そのため不可欠となるのが、家事や子育てでのご主人の協力、ご夫婦の助け合いです。匿名希望さん一人が頑張っても、長続きはしません。また、必要に応じて、上手に息抜き(外食、レジャーなど)もしてください。そのための支出は必要経費と考えていいと思います。
 
最後に保険について。データでは、加入されているのは学資保険だけなので、ご主人の死亡保障とご夫婦の医療保障が足りません。ただし、親御さんが保険料を負担する、ご主人が被保険者の生命保険があるとのことのこと。そこでまず、その保障内容を必ず確認してください。死亡保障額と、特約等で医療保障も付いていれば、その内容も。必要な保障の目安は、死亡保障が2000万円、医療保障は入院給付で日額5000円ほど。
 
保障の不足分は新規加入で補います。死亡保障だけなら割安の定期保険(保険期間15年)か、同程度の収入保障保険で。また、医療保障もないなら合わせて共済で確保してもいいでしょう。
 
また、匿名希望さんは現状、医療保障の確保として、医療共済や医療保険で確保します。やはり保障の目安は入院5000円。あるいは、近く働いて収入を得ることを考慮して、死亡保障と医療保障がセットになった共済でも構いません。
 

相談者「匿名希望」さんから寄せられた感想

頂戴したアドバイスを拝読しました。このような貴重な機会を設けていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。すでに節約を意識し家計を抑えるよう頑張っていると言っていただけてそこはとてもうれしかったのですが、その半面これ以上の切り詰めは難しいという点にハッとしました。

今は親も健在ですし、墓にお金は持っていけないからと言って快く援助してくれていますが、やはりそこにいつまでも甘えてはいられないという思いがさらに強くなりました。老後を迎えるまでの期間やそれにかかる費用などを具体的に教えていただいたことで、これからどうしていけばいいのかもかなり具体的に見えてきたように思います。

今までは漠然とした不安が常にまとわりついていたのですが、不必要に恐れることなく未来から逆算して今をどう過ごすかが大事なのだということがよく分かりました。第3子が小学生のうちが最後の貯め時と心得て、しっかり貯蓄できるよう、これまで通り無駄なく過ごすとともに、まず私は就職活動に励もうと思います。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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